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同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」

橋本美穂は「ぴんぴんころり」をこう表現した!

2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。

2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!

5年目を迎えるこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

 

さて、今回のお題は…?

お題:「ぴんぴんころり」

みぽりんさん(大阪府)
constant health, instant death
理由:音感が面白いと思ったので。

Shpookyさん(神奈川県)
bulb life
理由:いきなり寿命が来る電球になぞらえて。

佐藤隆郎さん(秋田県)
doctorless death
理由:「医者いらず」を簡潔に表現しました。

とちこさん(熊本県)
hop-step-heaven
理由:”jump”の部分を置き換えることでポジティブな意味合いを表現しました。

hamazoさん(福岡県)
unbedridden death
理由:健康を保って死ぬということは、つまり病院や施設で寝たきりではないということから。

Shaggyさん(広島県)
alive and kicking the bucket
理由:日本語と同様に2語を組み合わせてみました。

halunoさん(神奈川県)
healthy sudden death
理由:健康なまま突然終わりを迎える、みたいな感じで。

★番外編
gone with the energetic wind
※こちらは2023年11月26日に開催された橋本美穂さんのトークイベントで「傑作で賞」に選ばれた表現です。


さて、橋本美穂さんは一体どのように「ぴんぴんころり」を表現したのでしょうか?

私ならこうしちゃいます

hop-skip-flop

オノマトペの真骨頂ですね! 健康、長寿、死、といった単語を1つも使わずに、誰もが憧れる死に方、いや、生き方を表現しちゃうなんて。ぴんしゃんころり、ぴんころ、PPKとも言うようです。命にかかわる話をこれほどまでに軽妙な「音」で表現しちゃうのは、長寿大国日本の余裕の表れでしょうか。

しかし、外国人には「ふざけてるのか?」と不審に思われても仕方がないほどの軽い表現ですよね。完全に理解してもらうには丁寧な説明が必要になりますが、まずは一言でどう訳すか。ちょっと洒落た訳ならgo into eternity with rosy cheeksなどが良いかなと思いましたが、オノマトペのリズム感を英語にも反映したいところです。

「ぴんぴん」はvery healthyという意味ですが、リズム感よく表すために、hop, skip, and jumpという既存のフレーズの一部を使いました。飛んだり跳ねたりしている様子から、お年寄りでも若々しい感じが出るでしょう。ただ、最後はjumpではなく、ころりと逝かなければ意味が一致しません。そこで、人が倒れる音をいろいろ検討した結果、flopにしました! 他にもthudやplopがありますが、thudは重量感のある音で、リアルすぎてちょっと怖い。plopはポチャン!という液体感があるので違いますね。軽くパタンと倒れる音に一番近いのはflopと判断しました。hop-skip-jumpと来ると思ったら最後にあっさりflop...! 

日本語も「ぴんぴん死亡」といったダイレクトな表現ではないので、英語も曖昧にflopで留めておいた方が良いでしょう。


◎連載を書籍としてまとめた『英語にないなら作っちゃえ! これで伝わる。直訳できない日本語』(EE BOOKS)、小社より好評発売中です!

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著者略歴

  1. 橋本美穂

    アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで出生。東京都で幼少期を過ごし、6歳で再び渡米。サンフランシスコにて小学校時代を過ごし、帰国後は兵庫県神戸市で中学・高校時代を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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