橋本美穂は「中二病」をこう表現した!
2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。
2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!
3年目を迎えたこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!
さて、今回のお題は…?
お題:中二病
フジコさん(神奈川県)
Eternal Dreamer syndrome
理由::一般的かとも思いましたが、いつまでも夢見る中2のようなイメージです。
小川知宏さん(大阪府)
long-to-be-adult adolescent
理由:大人になりたい気持ちを表現しました。
donさん(東京都)
“me-gap” years
理由:「自分はこうありたい・こうあるべきだ」という理想と「実際の自分」という現実にギャップがあり、それが自分でも理解に苦しむ期間であるため。周囲からみた“me”のギャップ、そして自分自身からみた“me” のギャップの両方の意味を込めました。
bollardさん(東京都)
reverieenage syndrome
理由:reverie(空想)しがちなteenageを表現しました。
井上智夫さん(埼玉県)
the terrible fourteens
理由:まさに魔の2歳児よろしく、魔の14歳児です。
みかさん(愛媛県)
adult-imitation syndrome
理由:大人になりたい病態だから。
カプ・テテフさん(兵庫県)
the Holden syndrome
理由:小説「ライ麦畑でつかまえて」の中二病主人公、Holden Caulfieldから。scrooge「守銭奴」の語源が、「クリスマス・キャロル」に登場するドケチな商人Scroogeであるのをヒントにしました。
棚辺富士雄さん(兵庫県)
certain uncertainty syndrome
理由:何かしっくり行かない状態を表現しました。
さて、橋本美穂さんは一体どのように「中二病」を表現したのでしょうか?
橋本美穂
私ならこうしちゃいます
teenish delusion
中二病という言葉を私が最初に耳にしたのは、よりによって通訳の本番中でした。日本の現代美術アーティストが自身の作風を解説される中で、「まぁ、中二病みたいなもんですよ、私」と突然発言されたので、ドキッとしながら“like a teenager”と無難な訳で文章をつないだことを思い出します。実際の使い方としては「思春期にありがちな自己愛、妄想、背伸びなどを揶揄したスラング」として、未熟な大人への痛烈な批判や自虐的なジョークに用いられ、会話のスパイスになっているようです。
この「中二」が意図するところを一言で表現するなら、やはりadolescent(思春期の)でしょう...そこは人類共通ですからね(笑)。ただ、このままでは造語感が出ていません。中学2年生に限った話ではないので teen(13-19歳)とまとめた上で、8月号のyommishでも解説した -ishを付けることで「teenのような」とし、何歳でも使えるように仕立てました。また、病気というよりは「等身大の自分がよく見えていなくて、妄想気味で、夢を追っている感じ」を生かし、delusion(思い込み、妄想)と表現しました!ぜひ、ポジティブに熱く夢を語るときに使ってほしい言葉です。