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同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」

橋本美穂は「終活」をこう表現した!

2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。

2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!

4年目を迎えたこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

 

さて、今回のお題は…?

お題:「終活」

あかねさん(東京都)
closing preparations
理由:人生を終えるということでclosingという単語を選びました。

もちさん(岐阜県)
paradise-journey packing
理由:浄土への旅の荷造りというふうに考えました。

はむこさん(沖縄県)
preparation for heaven
理由:あの世で待っている人に会いに行くための準備をしているという感覚を表したくて。

かぴさん(東京都)
farewell-to-life activities
理由:人生に別れを告げるイメージ。

Shpookyさん(神奈川県)
ready-anytime activity
理由:困ることも困らせることもなく、いつでも終わりを迎えられるイメージで作りました。

合田直之さん(千葉県)
life wrap-up tasks
理由:「人生を終えるに際してやるべきこと」を素直に表現するとこうなるかな、と思いました。

Onaka Ippai@市立南さん(神奈川県)
the last life plan
理由:残りの人生を気持ちよく過ごすための準備だから。

強帯さん(神奈川県)
terminal provision
理由:終末への準備というより「備え」の意味。

 


さて、橋本美穂さんは一体どのように「終活」を表現したのでしょうか?

 

私ならこうしちゃいます

 

pack for heaven

「終活」、いかにも日本的な言葉ですね。日本は高齢化が進んでいる国ですから、よく耳にする言葉です。この「活」という漢字は本当に便利で、「就活」からはじまり、「婚活」に「終活」。「腸活」からの「免活」に、ヌードル好きの「麺活」。「朝活」から「ヌン活」、アイドルの「推し活」まで、色々出てきました。

しかし、英訳するのはひと苦労ですよね。「漢字で統一するなんてズルいぞ、英語にそんなものは無い! どうすりゃいいんだ」と頭を抱えます。活動→activityと置き換えれば済むという話でもないのです。それは、日本人同士なら雰囲気で通じちゃう「〇〇活」も、動詞を明確にしなければ英語にならないからです。例えば、免活=immunity activityは通じないですよね。免疫力を「高める」活動ですから、activities to boost immunityになります。同様に、就活はjob hunting、婚 活 は finding a life partner、腸活 はpromoting gut health、ヌン活に至っては I’m really into afternoon tea these days. (最近アフタヌーンティーにハマっているんだ)と文章にした方がスッと伝わります。

天国なんてあるのかわからないけれど、pack for heaven は、その目的地へ旅立つための荷造り。動詞はpack(荷造りをする)です。このような柔らかい表現があれば、少しは寂しさも和らぐでしょうか。

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著者略歴

  1. 橋本美穂

    アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで出生。東京都で幼少期を過ごし、6歳で再び渡米。サンフランシスコにて小学校時代を過ごし、帰国後は兵庫県神戸市で中学・高校時代を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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