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同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」

橋本美穂は「毒味する」をこう表現した!

2019年4月号から始まった連載『同時通訳者・橋本美穂の「英語にないなら作っちゃえ!」』は、読者参加型企画として、皆さんと一緒に「新しい英語」を作っていくコーナーです。

2021年4月号からは誌面もリニューアルし、橋本美穂さんの特別音声解説も付いて、さらにパワーアップしました!

3年目を迎えたこの企画、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!

 

さて、今回のお題は…?

お題:毒味する

GolfGTIさん(東京都)
quarantasting
理由:quarantineとtastingを合わせた。

Toshi_luvsyouさんさん(東京都)
play food-bingo
理由:当たりかハズレかわからないドキドキ感をビンゴゲームになぞらえて表現しました。

tarlieさん(青森県)
a guinea-pig tasting
理由:実験台となって味見する(毒味する)。

Faronさん(兵庫県)
toxamine
理由:(toxicとexamineを合体させた)力業です。

RKさん(神奈川県)
shield tasting
理由:大事な人を守るために行う味見なので。

井上智夫さん(埼玉県)
bite the apple for Snow White
理由:毒リンゴと知っていながらかじるのは、勇気がいりますが……

ヤスミンさん(大阪府)
litmus taste
理由:リトマス試験のように味を見てみる感じ。

むっくさん(東京都)
goldminesweep
理由:金鉱(goldmine)と地雷除去(minesweep)をかけて、おいしいけど危険な任務を表現しました。


さて、橋本美穂さんは一体どのように「毒味する」を表現したのでしょうか?

 

私ならこうしちゃいます

the butler’s bite/sip

今年の夏に公開された映画『パンケーキを毒見する』をきっかけに生まれたお題ですが、季節は巡って当政権は幕を閉じましたので、パンケーキをネタにしたトレンディーな英語を作るよりは、むしろ王道の、正真正銘の毒味が行われていた時代になぞらえて表現してみようと思いました。あらためて毒味の歴史を調べてみると、なかなか面白い雑学がたくさん出てきました。中でも興味深かったのは、江戸時代には料理が出来てから運ばれるまでの間に毒味が何度も行われ、将軍の口に入る頃には飯が冷め切っていたという話や、古代ローマ時代の皇帝は毒を盛られることが多かったため、「毒味奴隷」という職業があったという話。当時の奴隷はさまざまな職業に就き、社会を支えていたそうです。そんな時代に思いを馳せているうちに、きっと他の国でも大統領や王様の世話役、つまり「執事」が毒味をしていたのかなぁ、という私の妄想からbutler’s bite/sipが生まれました。
 今ではまずそうな、あるいは腐っていそうな怪しい食べ物を試食するときに、「じゃあ、ちょっと毒味するわ」と冗談混じりに使われている言葉ですので、英語でも“I shall take the butler’s bite/sip.”とユーモラスに言えば、「ねぇ、どうどう?」「大丈夫?」と盛り上がるでしょう!

 

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著者略歴

  1. 橋本美穂

    アメリカ合衆国テキサス州ヒューストンで出生。東京都で幼少期を過ごし、6歳で再び渡米。サンフランシスコにて小学校時代を過ごし、帰国後は兵庫県神戸市で中学・高校時代を過ごす。慶應義塾大学総合政策学部卒。

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