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朝日出版社メルマガ 第2号(2018/04/25発行)

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朝日出版社メルマガ 第2号(2018/04/25発行)

 

創刊号をお読みいただいた方々からのご感想やアドバイスがとてもありがたく、すべて参考になりました。
肩に力を入れ過ぎず、月2回丁寧にしたためて配信していきたいと思います。

今号のコンテンツはこちらです。

■新刊のお知らせ
■重版出来!
■今号のイチオシ電子版
■編集部リレーコラム1(第五編集部)
■編集部リレーコラム2(第二編集部)
■書店フェア、好評開催中!
■書評情報
■新聞広告・サンヤツギャラリー
■あとがき(編集後記)

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■新刊のお知らせ

『火星で生きる』(TEDブックス)
スティーブン・ペトラネック 著/石塚政行 翻訳(4月19日発売/電子版同日配信)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010526/

『最新版 白内障のひみつ』
赤星隆幸 著(4月19日発売)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010502/


■重版出来!

『きみの町で』 ☆9刷!
重松清 著/ミロコマチコ 絵
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255007182/

『ヒップな生活革命』 ☆5刷!
佐久間裕美子 著
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255007861/

『終末期医療の緩和ケア』 ☆2刷!
ジェイムス・F・ハンラティ+アイリーン・ヒギンソン 著/市丸みどり 訳/向山雄人 監修
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/978425510434/


■今号のイチオシ電子版

『フランス語の余白に』
蓮實重彦 著(2018年1月31日配信開始)
https://www.asahipress.com/bookdetail_lang/25553529200000000000/
長年仏文学者の間で密かに語られてきた、幻の名著が電子版でついに復活!
フランス文学者、評論家、小説家そして元東京大学総長と多面的な顔を持つ、蓮實重彦氏唯一のフランス語教科書です。
1981年の刊行以降、革新的なスタイルと魅力的な例文の数々で、学生たちに衝撃を与え続けてきた本書は、これで厳選された例文を味わうもよし、一度はあきらめたフランス語の森へ再び分け入るもよし、参考書としても、読みものとしても十分に楽しめるテキスト。
発売好調で、フランス装の書籍版の復刻も間近か!?


■編集部リレーコラム1(第五編集部)

第五編集部・藤川です。
先日、ある会で「ボタニカルソーダ」を初めて飲みました。

咲いた直後の花や新芽を煮出し、香りを移し込んだシロップでつくられた、まさに、季節の一瞬を閉じ込めたようなソーダでした。

透明な水の中に浮かぶ可憐な花や葉を眺めていると、どこかで見たような……
『赤毛のアン』に出てくる、すみれの花とモミ(新芽)でした。

というのも、現在制作中の書籍『赤毛のアン』に、安野光雅さんがモミの絵を描いていたからです。

しかも文中にはモミの「木・林」といった表現であるのに対し、描かれた絵はモミの木の全体像(クリスマスツリーのような)と、葉先を拡大した絵でした。

「モミ」というとツリーをイメージする人が多いと思います。人工のツリーに見慣れた今の子どもたちは、それさえもわからないかもしれません。

枝にらせん状につく萌黄色の葉、鋭く、触ると痛い葉の先端、爽やかな香りなど、限りなく実物(本物)の美しさを伝えよう、想像の世界を広げようという、安野さんらしい、心で描いた絵なのです。

なにかのために描く(原書に忠実であるとか、本のための絵)ことより、描くこと自体を目的としている、ということなのかなと思います。

かかれた文字や絵だけが本ではない、目に見えないものを感じる感覚、あらゆることから美しい部分を見出だす視点や、空想力を働かせて、賑やかなものにするという姿勢は、アンも安野さんも同じです。

情報はたくさんある中で、豊かさとか、楽しさはなにかと改めて考えると、それは余白なのかなと思います。

生活者としての感性を高めること、人への思いやりを忘れないこと、そして素直で真摯に生きることの大切さを両者は教えてくれます。

何歳になっても心にとめておきたいものです。

時代や国を超えて愛されてきた名作には、普遍性、自分の身ひとつでいつの時代も生き抜く術が、息づいているのだと実感しつつ、『赤毛のアン』に出てくる「いちご水」を想像しながらソーダを味わうひとときでした。


■編集部リレーコラム2(第二編集部)

こんにちは。第二編集部の鈴木久仁子と申します。2000年に朝日出版社に入社しました。

私は一般的な編集者の基準に達していない面が様々にあるのですが、いまの仕事は好きで、日々楽しさを感じながら働いています。

使える言葉も少なく、お目汚しで恥ずかしいですが、制作の裏側などをお話ししたいと思います。これから時々、どうぞよろしくお願いいたします。

私は、末井昭さんの『自殺』という本を担当していますので、今日は現在公開中の、末井さん原作本の映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』のこと、そして、最近刊行した『最新版 白内障のひみつ』のことを。

映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』は、末井昭さんの子ども時代、お母さんのダイナマイト心中から始まり、憧れの工場に勤務、その後、キャバレーの看板書きとなり、エロ雑誌編集者に、そしてその時代の終わり…という、末井さんの半生を描いた映画です。
http://dynamitemovie.jp/

公開前、末井さんに映画の印象をお尋ねしたところ、「あのー……、主人公の末井っていう人がねぇ、なんか、捉えどころがないんですよね。
何を考えているかわからないっていうか……」と、おっしゃっていたのですが、そういう映画なんですね。

末井昭役の柄本佑さんは、そんな末井さんを飄々と、ときに不気味に演じています。親友の近松さん役の峯田和伸さんは吸引力があり、ダイナマイトで隣の男と心中するお母さん役の尾野真千子さんは綺麗で艶っぽく、末井さんの奥さん役の前田敦子さんはとびきりチャーミングで素敵な奥さんです。

柄本佑さん演じる主人公は、中年になるにしたがって、外見が全体的にモクモクしていくというか…私が知っている末井さんの風貌になってはいくのですが、行動的には私の知っている末井さんとは違い(違うというか、その部分は薄まって底のほうに沈んでいるのでしょう。そしてその前に、フィクションなので違うのは当然です)、「こんな不穏な人は嫌だ…」という気持ちが、何度か湧き上がってきました。

一般公開前の2月末、プレミア上映を観終わってから、「なんか、やな人ですよね」と、末井さんに話したのですが、「やな人ですよ~」と末井さん。

ほぼ実話だということはわかっていたので、私が把握していなかったエピソード、喫茶店の離れた席でデザイン論議をしている人たちに向かって、いきなり何度もおしぼりを投げつける場面について、「あんなこと、したんですか? 知らない人におしぼり投げるとか…」と言ったら、「あんなことしません~」と末井さんは言っていました。

そうか、あれは実話ではないのか…と思っていたところ、後日、監督の冨永昌敬さんが話されていたことをネットで見つけ、末井さんが投げていたのはおしぼりではなく、漬物のたくあんだったということがわかりました。

小さなエピソードも、家族の話もほとんど実話、使われている雑誌も本物で、本当のことが満載のフィクション映画です。

毎回楽しみにしていたドラマ「anone」では、青羽るい子(小林聡美さん)が、持本舵(阿部サダヲさん)に、100円玉を川に「捨ててください」と迫り、たじろぐ舵の前で、自ら100円玉を放り投げ、「いま、ドキドキしませんでした? 100円でこんなにドキドキできるんです」と言い、二人で川に100円玉を次々と放り投げる場面があるのですが、かつての末井さんは、とくになんの高揚なく、小銭をじゃんじゃら捨てていました。

映画ではその場面も描かれています。消費税が導入されたとき、末井さんは財布を持っていなかったので、ポケットがいっぱいになって邪魔だったのだそうです。「道だとこれみよがしだから、道路の植え込みにジャッと。必要な人がいるかもしれないから…」とのこと。

確かに川に投げるよりも循環しそうです(ドラマ「anone」は循環させるためではなく廃棄のためで、大量の一万円札〔実は偽札〕を焼く女〔田中裕子さん〕と対応しているので、川がいいのですが)。

私は映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』を二度観ました。

一度目は、私は記憶力だけはいいということもあり、エピソードがほぼ全て頭に入ってしまっていて(担当した『自殺』が裏原作という事情もあり)なかなか客観的に観られませんでした。

二度目は落ち着いて楽しめたのですが、観終わってから、まず、「これをよく映画にしたなぁ……」という感慨のようなものが、じんわりとわき上がってきました。監督の冨永昌敬さんは、なんでそんなに末井さんのことが好きなのだろう、という気持ちです。

先日、映画公開記念のオールナイトイベントがあり(『天使のはらわた 赤い淫画』、『俗物図鑑』『闇のカーニバル』の3本立てで、うち2本に末井さんが出演しています)、冨永監督、柄本佑さん、末井さんの鼎談があったのですが、そこで『天使のはらわた 赤い淫画』の感想を聞かれたときも、冨永監督は、「僕は、末井さんを(いちばん)見ていました」とおっしゃっていました。

末井さんはこの映画に「がんもどきみたいな顔の編集者」と主人公の女友達に言われる役で出てくるのですが、セリフは「被害妄想だろ。あんた、そういう女だよ」という一言のみを発する役で、出演場面は3秒ほどです。
◎全文はこちら→ http://asahi2nd.blogspot.jp/2018/04/blog-post_25.html


■書店フェア、好評開催中!

○「TEDブックス」フェア~グローバルな知に触れて新たな発見を
Small books, big ideas. 建築からビジネス、宇宙旅行、そして恋愛にいたるまで、あらゆる領域を網羅した好奇心と学究心のある人にぴったりのシリーズ。
京都大学生協ショップルネさんでは関連書とあわせてのフェアが4月27日まで開催されています。
https://twitter.com/asahipress_com/status/985702568327184385

○『世界は変形菌でいっぱいだ』刊行記念~16歳の研究者・増井真那さんの本棚
昨年11月の刊行以来、さまざまな媒体での紹介がつづく本書。
「別世界に連れて行ってくれる本」「隠された仕組みを見せてくれる本」などをテーマにした著者・増井さん選書タイトルがコメント付きで展開されています。
大阪・心斎橋アセンスさんでは好評につき期間を延長してGW明けまで店頭展開予定です。
https://twitter.com/mirutanoshimi/status/985437923322425344


■書評情報

○『先史学者プラトン』メアリー・セットガスト 著/山本貴光+吉川浩満 翻訳/序文 國分功一郎
月曜社・小林浩さん「ウラゲツ☆ブログ」にて詳細にご紹介いただきました。
https://urag.exblog.jp/238462895/


■新聞広告・サンヤツギャラリー
TEDブックス『火星で生きる』『不確かな医学』(4月24日掲載/朝日新聞東京本社版)
http://book.asahi.com/sanyatsu/TOP/intro/ADTLM20180424104.html
『先史学者プラトン』(4月12日掲載/朝日新聞東京本社版)
http://book.asahi.com/sanyatsu/TOP/intro/ADTLM20180412103.html
『CNNニュース・リスニング 2018[春夏]』『スタンフォードの「英語ができる自分」になる教室』(4月11日掲載/朝日新聞東京本社版)
http://book.asahi.com/sanyatsu/TOP/intro/ADTLM20180411105.html


■あとがき(編集後記)

営業部の橋本です。
一昨日放送された、NHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」で北海道砂川市のいわた書店店主・岩田徹さんが特集されていました。

詳細なカルテをもとに、約一万円分の本を選ぶという「一万円選書」。

いわた書店さんのこの取り組みは以前より評判で、全国からの申し込みが殺到し現在は年数回の抽選方式となっているようです。

カルテを片手に、店頭在庫から一冊、また一冊と手にしていく岩田さん。

読書履歴やその人の現在の心情など、さまざまな情報から、茫洋たる本の世界を探索し薦めたい本をすっと抜き出していくこと。

それを棚前でするということが、いわた書店さんの日々の棚作りの丁寧さをあらわしているように思いました。

以前、道尾秀介さんと半崎信朗さんの共著『緑色のうさぎの話』という本を、「一万円選書分」としていわた書店さんからご注文いただいたことがありました。

FAXには岩田さんの手書きコメントがびっしりと添えられていて、担当編集とともに感激したことをはっきりと覚えています。

いつの日か、砂川の店頭を訪ねてみたいです。「一万円選書」にも、当選することを夢見て。


最近、内田洋子さん著『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』という本を少しずつ読み進めています。

表紙にある、「イタリア、トスカーナの山深い村から、本を担いで旅に出た人たちがいた」との文言に目がとまり、心躍らせて店頭で手にしました。

仮フランス装の造本もとても素敵で、ギフトブックにもすごくいいはず。(一昨日はサン・ジョルディの日でしたね)

ページをめくりながら、ずっと、一軒の本屋さんのことが頭に。和歌山県日高川町の「山の本屋」、イハラ・ハートショップさんのことです。

2014年に初めてお伺いした際、地域の人たち(特に子どもたちに)広く本を届ける、店主の井原万見子さんの姿勢に版元として背筋がこれでもかと伸びたものです。

お店の様子や、日高川町の風景、ぶらり途中下車の旅のようなレポートを以下エントリーでぜひ。
http://blog.livedoor.jp/asahipress_sake/archives/41563930.html

知らない場所に行って、知らない人に会ってみたい。読んだことのある本がその人との間をつないでくれるかもしれないし、知り合った人が未知の本を勧めてくれるかもしれない。

そんなことを、今週は特に思っています。

* * *

朝日出版社メルマガ第2号、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ご意見やご感想などお寄せいただけると励みになりますので、よろしければ以下アドレスまでお願いいたします。

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