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朝日出版社メルマガ 第29号(2019/06/19発行)

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朝日出版メルマガ 第29号(2019/06/19発行)


今号のコンテンツはこちらです。

■新刊のお知らせ
■今号のイチオシ電子版
■書評掲載情報
■編集部リレーコラム1(第五編集部)
■イベント情報
■編集部リレーコラム2(第二編集部)
■Webマガジン「あさひてらす」
■あとがき(編集後記)

━━━━━━━━━━━━━━━

■新刊のお知らせ

『狂言を生きる』
野村万作 著(6月26日発売)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255011240/


■今号のイチオシ電子版

『ハングル能力検定試験 5級実戦問題集』
李昌圭+尹男淑 著(2016年5月17日配信開始)
https://www.asahipress.com/bookdetail_lang/9784255004037/

おなじみの「英検」「漢検」から、一時期のブームがすっかり収まってしまった感のある
「ご当地検定」まで、あらゆるジャンルで行われている検定試験。

なかでも、6月と11月の年2回実施されている「ハングル」能力検定試験は、
1993年の第1回からすでに50回以上実施され、延べ出願者数は41万人を超えました。

今年の春季試験は先日終わったばかりですが、試験のレベルは1級、2級、準2級、3級、4級、5級の6段階。
本書は、韓国・朝鮮語を習い始めた初級者が5級を受験するための実戦問題集です。

5級出題の文法と語彙など合格ポイントを詳細に解説、類型別に分けられた実際の試験問題だけでなく、
模擬テストで繰り返し実戦練習ができるように作られています。

ちなみに、第49回試験の合格率は、5級が78.9%、4級が76.5%、3級が54.3%、
準2級が30.6%、2級が23.0%、1級が19.7%だったとのこと。

大学で第二外国語として学んでいる人も、韓国ドラマにハマっている人も、
BTSの熱狂的ファンの人も、力だめしに11月の秋季試験をめざしてみてはいかがでしょうか。


■書評掲載情報

○『自殺』(末井昭 著)
『文學界』7月号「むらむら読書」にて、犬山紙子さんがご紹介くださいました。
https://bunshun.jp/articles/-/12220

○『まともがゆれる』(木ノ戸昌幸 著)
アーツ前橋ミュージアムショップminaさんが取り上げてくださいました。
https://www.facebook.com/305918592916969/posts/1281257158716436/


■編集部リレーコラム1(第五編集部)

第五編集部の仁藤です。編集者になって33年間、様々なジャンルの本、雑誌の編集に携わってきました。

いちばん最初に単行本の編集をしたのは、大塚幸雄先生の上製本でクロス装の
『花のある窓―大塚幸雄随筆集』というタイトルの本です。

大塚先生は、福岡大学で教鞭をとっておられ、教え子には、
同大人文学部フランス語学科を卒業された小林よしのり氏がいます

その後は、『小学館ロベール仏和大辞典』の編集に携わりました。担当は類義語でした。
企画立案から携わった本としては『職場の精神科医が教えるイキイキ働く心の本―ビジネスマンの健康学』があります。
著者は三菱重工のメンタルヘルスを担当されていた精神科医の池田正雄先生です。

また、季刊誌『GS』第6号「特集:トランス・アメリカ トランス・アトランティック」
第7号「特集:神国/日本」『テレビゲーム―電視遊戯大全』、
GS叢書『戦争と映画―知覚の兵站術』(ポール・ヴィリリオ 著/石井直志・千葉文夫 訳)
『速度と政治―地政学から時政学へ』(ポール・ヴィリリオ 著/市田良彦 訳)の編集にも携わりました。

朝日出版では、『使いみちのない風景』(村上春樹 著/稲越功一 写真)、
『絵解き般若心経』(瀬戸内寂聴 著/横尾忠則 絵)、『ムーンライト・シャドウ』(よしもとばなな 著/原マスミ 絵)、
『悪人正機』(吉本隆明 著/聴き手 糸井重里)、『NUDE by KISHIN』(篠山紀信)、
『対訳21世紀に生きる君たちへ』(司馬遼太郎 著/ドナルド・キーン 監訳)、
『料理の辞典―おいしい家庭料理のつくり方2448レシピ』(小林カツ代 著)等に携わってきました。

そして、編集に携わった最新の本は、6月26日に刊行される『狂言を生きる』(野村万作 著)です。
芸歴85年の狂言師 野村万作氏が、芸話を通し狂言の神髄に迫ります。

戦後から現代に至る激動の時代を狂言師としてしなやかに生きてきた人間国宝である著者の狂言「芸話」、
様々な邂逅、未来の狂言へのメッセージを収めた、永久保存版と言っても過言ではない本です。

池澤夏樹氏からお薦めの言葉をいただきました。
「役者なくして芸能はない。伝統芸能は自動的に継承されるわけではない。
世代ごとに再創造されるのだ。それを舞台に即して語って無類におもしろい本。」

みなさんにぜひ読んでいただきたく、よろしくお願いいたします。


■イベント情報

○「第11回 BOOK MARKET 2019」
7月20日(土)・21日(日) 浅草・台東館にて
日本全国から45の出展が、本当に面白い本を持って大集結。朝出版も5回目の出展です!
https://www.anonima-studio.com/bookmarket/

○『自殺会議』刊行記念イベント ~精神科医・春日武彦先生と、末井昭さんの話。
7月18日(木)19時半~ 荻窪・本屋Title ※受付終了しました
https://www.title-books.com/event/6420


■編集部リレーコラム2(第二編集部)

こんにちは。第二編集部の鈴木久仁子です。梅雨の合間の晴れ間ですね。

最近観た映画は、いまさら『翔んで埼玉』、『アメリカン・アニマルズ』、『RBG 最強の85才』、『ROMA』です。
『アメリカン・アニマルズ』は、若気の至り的な事件で、ばか…ばか……と心の中で言い続けながら観るのですが、
小さな事件だからこそでしょうか、自分もそこに立っているかのような臨場感があって、
あまり見たことのない作りのノンフィクションで、観てよかったです。

『腐女子、うっかりゲイに告る。』の三浦さん(藤野涼子さん)の暴れん坊なまっすぐさが好きでした。
https://www.nhk.or.jp/drama/yoru/fujoshi/
亮平(小越勇輝さん)のブログを見て、え?、かわいすぎるのでは、と驚きました。
『きのう何食べた?』では、カブのサラダとソーメンは作りました
『いだてん』は、私はまだ序盤の6回目(先週放送は23回目)、早く追いつきたいです。

     *

5月末、フランスの絵本「こども哲学」シリーズの最新刊、
『しあわせって、なに?』『美と芸術って、なに?』『暴力って、なに?』を刊行しました。
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255011226/

たくさんの書店さんで、良い場所に置いていただき、本当にありがとうございます。
どうか、長い目で見ていただけますと、大変ありがたいです。

見本が出来上がって、訳者の西宮かおりさんと、編集部の同僚〔お〕さんと私の3人で、昼ご飯を食べました。
西宮さんは、ひたいに皺が数本ある、お爺さんの顔が大きく書かれたTシャツを着ていました。

西宮さんと〔お〕さんは10年ぶりなので、ひとしきり近況を話したあと、
今回も「子どもはいいですよ」と推奨されました。異論なし。しかしですよ。
「まったくそのとおりなんですけど…(私は前回、尋ねた際「相手の変更」という賛同できない提案をされたので置いて)
 たとえば……〔お〕さんはどうしたらいいんですか?」
と聞いてみたら、
「うーん……まず、顔を出す」
と。
確かに横から見ると、髪の毛で顔があまり見えず、表情をつかみにくいかもしれません。
前から見ても、髪の毛が顔にかかり気味です。
https://twitter.com/asahipress_2hen/status/1141160682785611776

そういえば、数年前、〔お〕さん自身、会社の近くのスタバで爽やかな男性店員に声をかけられたとき、
「風が吹いたんです!!」と言って、顔にかかった髪を自らファッと散らし、顔を何度もむき出して、
その時、心に風が吹いた様子を再現してくれたことがありました。
https://twitter.com/asahipress_2hen/status/1141160816894341120
控えめに顔がのぞくのもいいけど、風は吹いたほうがいいかもしれない。

西宮さんのアドバイスにより、翌日は髪を結んでいた〔お〕さんでした。

私の場合、相手に対し、避妊行為撤廃についての議論、可能性にさらされる性行為をしてみないかいという呼びかけ
これはできますが、それ以外のことは私の口からはちょっと。

(仕事において、交渉事といいますか、たとえば著者の方と原稿の改訂の相談をするとき、
 私なりに全力を掛けて、考えられるあらゆる方向から、つたないながらも言葉をつくして伝え、
 全く意味ないですが、メールでも頭を何度も下げながらやり取りしているので、わかるのですが)
こんな、結果に対して伝えたいことの薄い交渉では人の心も物事も動きません。

     *

前の編集長が設計した「こども哲学」シリーズの巻末には、重松清さんによる「おまけの話」という付録がついていまして、
新しい3冊にも、重松さんが小さな物語を寄せてくださっています

私は、重松さんとお会いしたことは、指で数えられるくらいしかなく、
そんな私でも思うので、きっと誰もが思うのではないかと思うのですが、
対面したときに感じるのは、いつも、そのとき一緒にいる相手のことを考えていて、
その人に向かって言葉を発しているということです。

ふつうのことのように思われるかもしれませんが、自分も含め、そうしているかというと、そうでもないのです。

映画化した、重松さん原作の『幼な子われらに生まれ』には
http://osanago-movie.com/
(映画には出てきませんが)イメクラで働く、赤ちゃんプレイが得意なアンジーという女性が出てきて、
アンジーは、アンジーのおばあちゃんから教わった、ストレスがたまらないようにする、楽になる方法として、
「いま一番そばにいる人が一番好きな人」だと思うようにする、と言っています。

ちなみに、『幼な子われらに生まれ』は、映画もすごく面白くて
(もしかしたら、以前、編集部ツイッターでつぶやいていたかもしれませんが)
バツイチ同士、再婚した主人公と、妻と、妻の2人の連れ子、4人家族で暮らしている家族。
妻の妊娠をきっかけに、長女の反抗的な態度が日ごとに増していき、「部屋に鍵をかけてほしい」と言い出す……
という、緊張感がはりつくように最後まで続く、怖い映画でもあります。

(当時、パンフレットを買ったり、いろいろ読んだときの記憶なので、間違っていたらごめんなさい)

監督の三島有紀子さんはNHKのドキュメンタリーを撮っていた人で、
シーンを順番に、時間をかけて撮影し、役者同士の即興で演じさせるのだそうです。

最後のほうに、小説にも脚本にもないシーンを監督がつくったそうで、
それは妻・奈苗(田中麗奈)のあるシーンで、田中麗奈さんはそのシーンが好きだと言っていて、
私も、その場面あって良かった、この原作・脚本・監督の組み合わせで映画が生まれてよかったなぁと思ったのでした。


5月末、近藤雄生さんの『吃音』(新潮)の刊行記念イベントで、近藤さんと重松さんのお話を聞きにいきました。

「わかる」こと「伝える」ことをめぐる、吃音がなかったら書かなかったという、お二人のお話でした。

結婚式の誓いの言葉はつらいよね、と二人で声がそろったこと、
子どもの名前は自分が言いやすい名前をつけたこと。
重松さんがテレビのインタビューで、「家族」と言いたかったのに、か行が言いずらくて
「ファミリー」と言い換えたことがずっと引っ掛かっていること。
『吃音』に出てくる、自殺してしまった、看護師になったばかりの飯山さんという方の、最後の食事が回転ずしだったこと。
うまくしゃべれない先生は、きっと大事なことだけを話すということ。

よく、ふざけて、驚いた場面などで「な、なんだ?」とやったりする人がいるけど、
ああいうの、傷つくんだ、と言う重松さん。

私も結構、どもりがあって、昔、よく友達にまねされたりしてましたが、全然気にしてなくて、
むしろ言いにくいことを言うとき(わざとでもないはずですが)自分からどもりにいくこともあったと思います。

自分にもある、すごくそばにあることなのに、この本を読むまで、まったく見えていなかったことがたくさんありました。

『吃音』の主要登場人物のひとり、高橋さんは、かつて自殺未遂をしたことがあるのですが、
訓練して、話し方が変わっていき、ある方法でコントロールできるようになるのですが、その過程にも驚くし、
コントロールできることと、吃音がなくなることは違うということも知らなかったし、
そして、そこから先への高橋さんの向かい方にも、
最後に出てくる、70代の吃音を治したいという男性が発する言葉にも、ああ、そう思うのか…とやはり驚きました。

重松さんは、伝わる文章で、誰にでもまっすぐに伝わる文章で小説が書きたいと話していました。

     *

こども哲学の「おまけの話」は、フランスの原書絵本には含まれていない内容で、でも、
いま、本当に身近なところから考えるなら…という「○○って、なに?」にまつわる、小さな物語です。

家族で、学校で、友達と、ひとりでも、いろんなことを考えたり、話したりしながら、
「こども哲学」3冊を読んでいただけると、とても嬉しいです。

また、長々と取り留めなくなりました。

あともう少しで夏ですね。しばらく雨の多い季節ですが、気持ちよくお過ごしになられますように。
編集部の〔お〕さんは、近々髪を切るそうです。

〔最近の私の悩みは、「神保町の匠」という、出版界の方々が書くところになぜか誘っていただいて、
 ふだんだったら、「私には力不足です」と、必ず辞退するはずなのですが、
 声をかけていただいた春、なんか気分を変えたいとか、ふだんの仕事の責任感が伴うかもしれない、
 などと考えてしまって、やることにしました。出版界についてであれば、何でも書いていいとのこと。

 しかし、気がつけば、書きたいことがなにひとつありませんでした

 〔お〕さんが、「鈴木さんが匠じゃないのは仕方ないじゃないですか」と言いながら、
 「○○はどうですか?△△は?」と、あれこれ提案してくれましたが、まったく書きたくありません。
 著者の末井昭さんが、ときどき、「何も書きたいことがありません」と言う気持ちがよくわかりました。

 先日、前の編集長に久しぶりに会ったとき、相談しようかと思ったのですが、
 調子にのっていると思われたらいやだな、などと考えてしまい、言えなかったのですが、
 昨日昼、「あ!、前の編集長にインタビュー的なことをすればいいじゃないか、前の編集長は匠だし、
 それに都合のいいことに、地の文で私の自己紹介もできるよ!」、と気がつきました。
 近々お願いしてみようと思います〕


■Webマガジン「あさひてらす」

朝日出版の Web マガジン「あさひてらす」は、 いま話題のテーマ、エッセイ、小説などをお届けします。
http://webzine.asahipress.com/

・16の書店主たちのはなし/第3話 文芸|海外|SF専門書店「みみずく書房」の店主のはなし
https://webzine.asahipress.com/posts/2015
・しなくてもいいことしかすることがないーヒトとゲーム/Vol.3 僕が作った「思い通りに行かないゲーム」
https://webzine.asahipress.com/posts/2004
・南国科学通信/三人よれば文殊の知恵
https://webzine.asahipress.com/posts/2051
・『絵を見る技術』刊行記念イベント再録/『吹け、吹け、冬の風』と『オフィーリア』
https://webzine.asahipress.com/posts/2036
・洪道場の白黒さんぽ/小山空也四段の心の一局(2)「閃きと緻密な読み」
https://webzine.asahipress.com/posts/2013


■あとがき(編集後記)

営業部の橋本です。

先日、奥渋谷のSHIBUYA PUBLISHING&BOOKSELLERSさんに書籍のご案内でお伺いした際、
長嶋有さん著『泣かない女はいない』という文庫を手にしました。

ありふれた日常の中で、勤め先の上司への信頼感が恋い焦がれる気持ちに動いていくさまが
淡々と、ときにユーモラスに描かれる表題作。

心の奥にとんと置かれた言葉と、自分の過去や予見される未来が浮かびあがってくる感覚に
戸惑いに近い思いで読み終えました。

解説部に進むと、小から『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』『戦争まで』を
刊行いただいている加藤陽子先生のお名前が。

驚きつつ文字を目で追うと、そこには加藤先生のお人柄があふれた言葉が綴られていました。
一節だけ、引かせてもらいます。

“小説の力にうたれて呆然としている読者を現実世界に引き戻すためには、
  カタブツの硬い文章で火照りを鎮め、カタブツの余計な解説で静寂を破るのが最適なのではないか”
(『泣かない女はいない』長嶋有 著/河出書房新

普段は歴史書はあまり読まないという方にも、加藤先生の著作を読んでもらえたらと思いました。
同時に、あまり小説やエッセイは、という方にも長嶋さんの著作を(そしてBGMにはボブ・マーリーを)。

いろんな形で、一冊の本から次の本へつながっていくことが豊かだなといつも思います。
本屋さんに行くとだいたい嬉しい出合いがある。

 * * *

朝日出版メルマガ第29号、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ご意見やご感想などお寄せいただけると励みになりますので、よろしければ以下アドレスまでお願いいたします。
 → info@asahipress.com

 

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