朝日出版社メルマガ 第7号(2018/07/11発行)
朝日出版社メルマガ 第7号(2018/07/11発行)
今号のコンテンツはこちらです。
■新刊のお知らせ
■これから出る本のお知らせ
■重版出来!
■今号のイチオシ電子版
■編集部リレーコラム1(第五編集部)
■編集部リレーコラム2(第二編集部)
■書店フェア、好評開催中!
■イベント情報
■あとがき(編集後記)
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■新刊のお知らせ
『折る土偶ちゃん ―作って発掘・縄文おりがみ―』
譽田亜紀子 文/COCHAE 折り紙(7月11日発売)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010762/
■これから出る本のお知らせ
『誰のために法は生まれた』
木庭顕 著(7月25日発売)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010779/
■重版出来!
『博士の折り紙夢BOOK』 ☆7刷!
川崎敏和 編著
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255003788/
■今号のイチオシ電子版
『赤毛のアン』
ルーシイ=モード=モンゴメリ 作/岸田衿子 訳/安野光雅 絵
(2018年7月5日配信開始)
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010687/
『赤毛のアン』の日本語翻訳者といえば、朝のテレビ小説『花子とアン』でその半生が描かれた村岡花子さんがすぐに思い浮かびますが、本書は詩人であり童話作家であった岸田衿子さんの翻訳によるものです。
彼女と一緒に仕事をしたこともあるというのに、この本の存在は知らなかったという画家の安野光雅さんが挿絵を担当。
「いまは、衿子さんという筆力が、この本にすべて集まっているようにおもい、『他のアン』はみんな消えてしまったといってもいいすぎではない」と今は亡き岸田さんを偲んでいます。
その安野さんご自身も御年92歳。本の制作中に弊社にいらっしゃった際に、玄関前に山積みになった郵便局への発送待ちの本の小包を見て、「これはなんですか?」とたずねていらしたのが印象的でした。
何歳になっても衰えぬ好奇心。これがやはり、「生きる力」と「創造力」の源なのだなと実感しました。
■編集部リレーコラム1(第五編集部)
第五編集部の綾女です。
4年前、日経新聞の歌壇(穂村弘さん選)に載っていたとある短歌を見て時間が止まりました。
〈体積がこの世と等しいものが神〉夢の中の本のあとがき
作者は九螺ささら、というこれも不思議な名前。神様をお風呂に入れて溢れ出る湯を見たアルキメデスのごとく脳が「エウレカ!」と叫んだような気がしますが、冒頭の「体積」がもし「重さ」や「広さ」だったら「神」は出現しなかったでしょう。
この句をすぐにツイートしたところ、数日後に九螺さん本人から原稿とともに「ロックな歌集を作りましょう!」とパンクな手紙が届いたことに、先月刊行したばかりの『神様の住所』の発端があります。
できたのは歌集ではなく、「84のテーマごとに、短歌→自己解説風散文→短歌、ちりばめられた」本になったのですが……。
短歌の面白さはどこにあるのだろう、と考えてみるときに、先の日経歌壇選者のひとり穂村さんの解説(これが短歌以上に面白かったりします)が手引きになります。短歌という器の中で言語化することにより「詩が宿った」「別の世界が立ち上がった」「この世の謎が現れた」といった趣旨が頻出するのです。
カップ焼きそばにてお湯を切るときにへこむ流しのかなしきしらべ 松木秀
きっと誰もが聞いたことのあるあの音も、こうして言葉にすることで詩として呼び出されるように感じます。角度をさらにつけすぎてふにゃふにゃの麺が一斉に飛び出ることも今はストッパーフィルムのおかげでなくなりました。
夏になると思い出す以下の作品も、日経歌壇で強く印象に残ったものです。
自転車の後ろに乗ってこの街の右側だけを知っていた夏 鈴木晴香
「右側だけ」という描写が、その後の人生で知るだろう「左側」を置き去りにする青春の甘い盲目性を思い出させて夏がとても切なく舞い戻ってきます。
九螺さんの座右の銘は「できるようになる唯一の方法は始めること」なので、最後にぼくも一首詠んでみようと思います……。
五年後の予定表に平成三五と書きやめる夜あっても行けない未来がある
そうそう、『神様の住所』の特別企画として、九螺さんに新たに22首を書き下ろしていただき、それをデザイナーの吉岡秀典さんに「おみくじ」風にデザインしてもらった「短歌みくじ 告げタロー」(ふざけた名前ですみません)ガチャが都内の書店を巡回中です。
見かけたら神だと思ってぜひBe 告げtherされてみてください!(小室さんすみません)
◎現在は下北沢B&Bさんに! https://twitter.com/book_and_beer/status/1015084795481677824
■編集部リレーコラム2(第二編集部)
こんにちは。第二編集部の大槻です。木庭顕先生の本、『誰のために法は生まれた』が校了となりました。7月25日(水)あたりに書店さんに並びはじめるかと思います。
本書は、桐蔭学園の中学三年生から高校三年生までの約三十人のために、5回にわたっておこなわれた授業を記録したものです。先生が生徒に向けて一方的に話す講義形式ではなくて、木庭先生が問いを投げかけ、それに生徒さんが答えることで授業が進む、「ソクラティックメソッド」による授業です。
どんな授業だったかは、生徒さんからの感想が、いちばん物語っていると思うので、少し紹介させてください。
「あ!そういうことか!!!という発見がどんどん出てきて、授業の面白さにハマっていった」(高1男子)
「教養どころじゃなく、自分の価値観とか、ぜんぜん、すごい変わる授業」(高2男子)
「法をはじめとした、世界の仕組みは信頼によって成り立っています。そのことは知っていました。私が分からなかったのは、その信頼の製造過程でした。どうすれば信頼が発生するのか?〔中略〕難しいことを習っているはずなのに、わかりやすく、楽しく学ぶことができています」(中3女子)
「世界は広いなって思って、ぼー然としてしまう程衝撃を受けました」(高1女子)
問いかけと返答が展開し、皆の思考が集中していき思いがけない一点にたどり着くドライヴ感。これがたまらなく楽しいので、ぜひみなさんに読んで味わってほしいです。
「自由」「所有」「人権」「デモクラシー」「政治」etc...こうした言葉を私たちは知っていて、ふだんから使っています。しかしその親しんだ概念に、地殻変動が起きる。その意味が、回を追うごとに変わっていく。まったく違うものに見えてくる。
「たしかに私はこのことを知っていた、しかし、このようにではなかった」「こうとは思いもしなかった、しかし、たしかに私はこのことを感じていた」という驚き。
同じように見えた不鮮明な2つのものが、水と油のようにきれいに分離していく。言葉の布置が変わってしまう。
全5回の授業ですが、その間にも、生徒さん自身が、新しい言葉を発見し、新しい言葉の使い方をしていることに気付く瞬間が、何度もありました。
内容の説明ができませんでした。目次等はこちらをごらんください。
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255010779/
題名から、法学入門と思われるかもしれないのですが、それが全く違うのです。凡そ、私たち一人ひとりが、生きて、社会を作っていくという営みについての本です。
万人が何を大事にしていけばいいのか、紀元前にさかのぼって考え、今から何世紀も先を見通している。こういうことを知らないで死ぬのは惜しい、こんなことがあるなら義務教育で教えてほしかったよ、と思っちゃうほど。お読みいただけたらうれしいです。
■書店フェア、好評開催中!
◯3人の研究者たちが深く楽しく案内する「“学びを促す”本たち」フェア
言語学とAI、変形菌の世界、動物行動学と心の進化学び……
それらに軸足を置きながら知識の領域を広げていくような本がたくさんです。
https://twitter.com/asahipress_2hen/status/1014119418727501824?s=21
・くまざわ書店武蔵小金井北口店さん
https://twitter.com/kbc_koganei/status/1016475004534341632?s=21
(開催店舗は随時Twitterでお知らせします!)
○「縄文を発掘だ!」フェア
7月3日から東京国立博物館で始まった「縄文展」。書店店頭ではたくさんの本を並べた賑やかな棚が作られています。
・早稲田大学生協コーププラザブックセンターさん
https://twitter.com/asahipress_com/status/1012244884525203456
・千駄木 往来堂書店さん
https://twitter.com/asahipress_com/status/1015152804522909697
○「TEDブックス」シリーズフェア
・青山学院購買会/AGU Book Cafeさん
https://twitter.com/agu_book/status/1014466953870602240
・ジュンク堂書店滋賀草津店さん
https://twitter.com/shigakusatsuten/status/1014453245358379009
■イベント情報
◯『世界は変形菌でいっぱいだ』増井真那さん講演会「高校生のぼくといっしょにフシギでカワイイ変形菌の世界へ」
→8月3日(金)14時~ 神奈川県茅ヶ崎市・長谷川書店ネスパ店さんにて開催します。
https://goo.gl/daWMQJ
○第10回「BOOK MARKET 2018」
7月28日(土)~29日(日)10時~17時
会場:台東館 6階北側会場 [〒111-0033 東京都台東区花川戸2-6-5]
日本全国の個性ゆたかな出展社が「本当に面白い本」を持ち寄る、本の産直市。10回目・10周年となる記念すべき二日間、朝日出版社もブースで皆さまのご来場をお待ちしています。
http://www.anonima-studio.com/bookmarket/index.html
■あとがき(編集後記)
営業部の橋本です。
昨日よりの関西出張、3~4日で10万歩近く刻むのだろうなと初日を終え、そんな感覚を抱いています。
もう、すっかり夏。夏の終わりは言いようもない寂しさが押し寄せるものですが、真っ盛りのタイミングはときどきに変わるように思います。
書店店頭に足を運びながら四季に触れる身として、この時期はやはり夏文庫。
文庫を持っている出版社のフェアや書店独自フェアなどで賑わっています。
どれも好ましく、嬉しくなってたくさん買ってしまうのですが、なかでも好きなのが“出版業界のひとが自信を持っておすすめする”文庫フェア、「ナツヨム」です。
愛らしいラッコがキャラクターの手弁当企画が今年で7年目。こういう育ち方はなにより幸せだなと真っすぐに思いますし、本を手渡していくヒント・気づきをたくさんもらいます。
ここ数年、ご縁があって僕も選書参加させていただけることに。今年のテーマは〈ごはん〉、わくわくと迷った末に武田百合子さん『ことばの食卓』を推しました。
冒頭から描かれる、びわの果肉から溢れる生ということ。牛乳で救われる細い命、その偶然性の残酷さなど。
「ナツヨム」開催店舗で、手にしてもらえると嬉しいです。
https://ja-jp.facebook.com/natuyomu/photos/1670963559691972/
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