余寒に響き渡る50篇の詩 後編(25年2月)
こちらの後編では、24篇と改稿作品を1篇掲載します。
ぜひご一読ください。
余寒に響き渡る50篇の詩 後編 ・時のとんずら ・透明なルール ・あったかい ・木の葉 ・ヒト ・無音の叫び ・私のすべて ・見知らぬ声 ・同調圧力 ・現実の呪文 ・限界 ・黒い声 ・しろくま(偽) ・AIなんて ・虹方程式 ・愛のチカラ ・しれっと思いやり ・人工知能に頼れば ・All Need Heart ・ゼロ ・ハラハラ ・積み木 ・寝にくい夜。 |
時のとんずら 窪田有里
文字を追う瞳 歩きながら単語帳を開く高校生 歩く時の瞳は周囲の障害物を追うはずなのに
回転する脚 エスカレーターを駆け下りる会社員 エスカレーターは動いているはずなのに
音を上げるエンジン 黄色信号でスピードを上げる車 黄色信号は止まれを意味するはずなのに
時間は逃げ回っている 人々はそれを追っている 人々が時間に追いつく日は来るのか |
透明なルール さかな先住民
「そうするのが当たり前。」 それがそれが当たり前な理由もわからないのに なぜかみんな知っている"透明なルール"
「それが常識だ。」 誰がその常識を作ったのかも分からないのに 一歩外へ歩くと"地雷の埋められた高原"
「それは少し違うかも」 それが正解かどうかなんて誰もわからないのに 自由の裏に隠された"鎖"
「みんなと同じにしておきなさい」 それが本音と同じなのかもわからないのに。 "じぶん"というものが消えて言うような感覚
過度な透明のルールに縛られすぎるな 見えない鎖を断って自分を信じろ 迷うな |
あったかい きびだんご
帰りが遅くて寒いからと 君が編んでくれた穴空きマフラー 寒いのにあったかい
練習後のお昼ご飯にと 朝早くから握ってくれたおにぎり 冷めているのにあったかい
見渡す限りの銀世界で あなたと一緒に食べたアイスクリーム 凍っているのにあったかい
空に旅たった祖母が残した 使い古した小豆のカイロ 使えないのにあったかい
何も感じなくなってしまった心に 儚くてノスタルジックな映画 凍りついた心が溶けていく
暖かい温かいあったかい あったかくないのにあったかい あったかいって幸せだなぁ |
木の葉 琴の葉
手紙に葉書に辞書 あなたは書き方覚えてる あなたは使い方覚えてる
テレビにスマホにパソコン あなたは使い方覚えてる あなたは昔を覚えてる
ひらひら ひらひら 木の葉のように 新しく生まれては散っていく
それは どれだけわたしが覚えていても どれだけわたしが想っていても
ひらひら ひらひら 木の葉のように 新しく生まれては散っていく |
ヒト Noruzen
人は虫だ 光に集まる害虫のように すぐに集まる 人は安心を求める 群れをなして自分が強くなったと思うように 自分に自信がない 人は水だ 川を流れる水のように すぐに流される 人は安全を求める いつでも他者に責任を負わせるように 自分を可愛がる 人は鬼だ 他者を傷つける鬼のように すぐに傷つける でも、人は人を求める それはどうしてだろうか 僕にはわからない。 |
無音の叫び 今西伶
不安でたまらない日々が続く 人の波に埋もれ、声が届かず ただひとり、心が枯れていく
繋がっているはずなのに どこか遠くに感じる温もり 光の中で影だけが映る
足音が響く空っぽの道 誰かの温もりも届かぬ手 静寂の中で私は迷い、叫ぶ
心の声を誰に届けようか 見えない壁が私を包み込む 寂しさだけが深く静かに広がる |
私のすべて あ
これがいいと思っても 言えば変わると分かっていても 気にして言えない私の意見
みんなと同じに飽きる日々 嫌気がさして変えたいが 気にして変えれぬ私の行動
個性のない自分 「浮いてしまう」そんな心配に 気にして着れない私の服
おもしろくなくとも おもしろみのない自分に恐れて 気にして無理に笑う私の心
どんなに疲れていても みんなの話題に置いていかれぬように 気にして休めぬ私の体
少し嫌な思いをしても みんなが楽しいならと 気にして言えない私の気持ち |
見知らぬ声 林美緒
今日もまた どこかから飛び交う 無数の言葉
見知らぬ人 見知らぬ声 見知らぬ言葉
私の心に 鋭い針が 深く突き抜ける
遠くから聞こえる 多くの笑い声 私の心に降り注ぐ雨
世界の中で 私はただ一人 孤独の中に生きている
今日もまた 部屋に一人 心の扉を閉ざす |
同調圧力 たかし
教室の空気は見えない波だ その波は突然僕を襲い 「え、まだそれ知らないの?」と囁く
波はどんどん高くなって 昼休みにはTikTokのダンスを要求 どこにもない逃げ道
こんな僕でも生きてます 同調圧力、意外と適当に流せば 案外、楽しいかもしれない |
現実の呪文 かっこんとう
上がる物価 上がらない賃金 下がるモチベーション
増える税金 懐は空っぽ 悲しみだけが増す
財布の中から 小銭が落ちる 涙のごとく
こんな世の中 変えてやろうか アブラカタブラ |
限界 人間活動
殻にこもってきた人間 自ら比べていた人生 いずれ気づいた限界
努力をしろと人は言う 自分なりにしてきたと わからなくなってきた正解
他人を見つけて自分なり 少しはしていた成長も 気づいたあいつが例外
勝手に葛藤していた自らで 敵は何だと分からずに いつもしていた警戒
失敗なら悪くないと 区切りをつけて進むこと 誰かにしていた弁解
積み重ねてきた今までも いつかは変わる さあ聴牌 |
黒い声 tzr
夢たくさんな女の子やりたいことだけ積もってく でもやれることは人より少なく 見えない誰かの声を聴く 誰かの言葉が突き刺さり 手を伸ばしててその時気づく 周りに人は一人もいない なら聞こえてたあの声はなんだ 身体に絡まる錘はなんだ それらは確かに私の身体にまとわりついて離れない ふとして鏡をのぞいてみると二人のワタシと目が合った 私に抱き着くもう一人のワタシ 不敵に笑みをこぼしてる 結局敵はこの私 鏡を割って血を流す 多少の痛みは構わない 何をやるにも私次第楽しいことをたくさんしたい 痛みや苦しみ全部ぶっ飛ばし 明日の自分へがんばれ私 |
しろくま(偽) とんだ
ジリジリジリと迫る音 もう寝坊すると焦るスヌーズの音 階段を降りるわたしの音 おきてみる鏡にはパンダ そのパンダはなかなか離れない けれど今日は私はパンダをしろくまに 毎朝パンダは知らせている 体へのレッドカード でもみんな無視している つくられたしろくまもにじむ あかるくみえて実は暗かった パンダはまた助けを求める |
AIなんて 疑心君
AIを使いたい だって課題が早く終わるんだから けど使えない下がるからね成績が
AIは便利だ だって何でも教えてくれるまるで先生なんだから けど使うと怒られる無くなるからね先生の職業が
AIは怖い だって何にAIの手がかかっているかわからないんだから この詩だって作ってるかもしれないからねAIが |
虹方程式 くんえもん
失敗した また失敗した 嵐の夜にまた枕をぬらす
落ち込んだとき いつも思い出す 虹方程式
雨上がり光がさして できる虹 立ちあがる気持ち
泣いてもいい 前を向いて歩いていこう 成功を確信して |
愛のチカラ わかさま
愛のチカラは偉大だ 大事な人が真っ赤な炎の中にいようとも 火を消す水のように助けるだろう
愛のチカラは幸せの頂点だ きっと登りきることができるだろう エベレストのような高い困難でも
愛のチカラは安心剤だ 不安になる時はそっとそばにいよう どんな薬よりも効果があるだろう
愛のチカラは恐怖ぁ 己の大量の愛の水が 花を枯らしてしまうだろう
愛のチカラは悲しみの頂点だ 愛しい人が星になった時 大量の雨で大洪水になるだろう
愛のチカラは無限大だ 己は愛し愛され続ける 空に浮かぶ無数の星のように |
しれっと思いやり 土井心
コンビニでパンを買ってみて 思いやりの袋止めシール 最近気がついたよ
バスに乗ってみて 思いやりのニーリング機能 乗りやすいね
友達が嫌な噂されている 思いやりのチクリ 自分を見直せるチャンスかも
トイレの便座があったかい 思いやりの暖房便座 冬でも嫌じゃないよ
色々なところでしれっと 思いやりの日常 心があたたかくなるね |
人工知能に頼れば おむすび
おえかきの宿題が苦手だ でも人工知能に頼れば 色鮮やかな絵ができあがる
読書感想文の字数が足りない でも人工知能に頼れば 紙に足りない分の字が咲き誇る
入社面接で話す内容が思いつかない でも人工知能に頼れば 口から流れるように言葉が出てくる
私の仕事がなくなってしまった 頼ってきた人工知能が これから私の仕事を代わりにするらしい
仕事がなくなった次はどうすればいい でも人工知能に頼ってきた脳は ずっとエラー信号しか映し出さない |
All Need Heart なつみ
クズね かっこつけてるだけで 手にあるものは何もない
バカね 仮面を被っているだけで 私が欲しいものはここにない
本当はもっと咲かせたいのに その叫びを 誰もきいてはくれない
きこえているかもしれないけど 見て見ぬフリををしている そんな世界で
一体誰が私の心をきくというの? その叫びをきくことができるのは 他でもない私自身
造花のように着飾るのは もうやめにしよう 私は私らしくいればいい |
ゼロ
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ハラハラ ペペチ
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積み木
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寝にくい夜。 |
|世話人たちの講評
・ 千石英世より
時のとんずら
タイトルが面白いですね。コミカルさ、辛辣さを加味する工夫として各連4行目に「はずなのに」そうしない結果をプラスしてみたら、もっと面白くなりそう。
透明なルール
各連に大切な警句がかかれていますね。その警句をわすれてどんなことがおこったか、そこを小さく紹介すれば、警句のするどさが深まるとおもいます。
あったかい
「○○○○のに○○○○」の形のリフレインがいいですね。ウィットがあっていいです。下から2番目の連がそれをくずしているのだが、そこをどうするか。あるいは逆に、最終連も「○○○○のに○○○○」型をやめ、直前の連に合わせる? こうして型から入ってもウィットは生きると思います。
木の葉
いいリズムがありますね。下から2番目の連、「それ」を代名詞でなく言ってしまう手もあったのでは? そうすると文明批判へとつながるようにおもいます。
ヒト
鋭い文明批判があるような気がします。貴重です。最後の「それはどうしてだろうか /
僕にはわからない。」ここもいいですね。ストレートで人のもつ人への情が感じられます。
無音の叫び
最終連、しみじみとして、しかも深いです。ことばのながれも無理がなく、各連、韻を踏むかのように「ウ」でまとめている。伝わるものがありますね。望むらくは、一か所視野のどこかに具体物がころがっていてほしい、アキかんでも、ペットボトルでも、選挙ポスターの切れ端でも、大した意味がなくてもなにか。いやいやこのままのほうが良いかも。さわらないほうが良いかも。余計なことをいいました。ごめん!
私のすべて/見知らぬ声 両者への感想
私をネガティブに語るブルース、ギターかなにかの弾き語りで、ささやき、シャウトし、ドスを効かせれば十分ブルースになる感じがします。聴いているほうが怖くなってくるようなネガティブさ、息苦しさ、全さらけ出し、のブルース。アメリカ本場の古いブルース(ブルーズ)、英語はわからないかもしれないが、そのうめき方をユーチューブで聴いてみて下さい。何か感じると思います。
同調圧力
最終連、強い。この開き直り強いです。ながすものはながす。わらってながす、そして別の風を待つ。根気よくまつことで。「こんな僕でも生きてます」のフレーズが開き直りの歌になり風になる。「意外と」「案外」がキーワードになっていますね。
現実の呪文
最終連「こんな世の中/変えてやろうか/アブラカタブラ」素晴らしい。さわやかです。とくに最後の呪文、うまい! 望むらくは、最終連に到達する前にもう何連かちょっと多めに書いてほしかったかなとおもいました。「こんな世の中」の外観を写メにとるような感じで示したら、説得力が増すと思います。
限界
うまいラップだと感心しました。ラップだと音声や音楽が概して強気だから、歌詞のほうが弱気の内容になれば、なるほどかえって彫りの深い印象を実現できるのかもしれません。それで弱気の歌詞になっているのですね。ほんとは強気と。これは推測です。でもしいかり低音のリズムが聞こえてきます。いいですね。
黒い声
ラップとして高度のものではないでしょうか。しっかりした歌詞になっています。感心しました。どんなリズムになってゆくのか、想像するのが楽しい。
しろくま(偽)
ラップに思えました。意外に苦しい内容の詩だと読みました。その苦しさを突き放し、笑ってやろうとおもうが笑えない。「毎朝パンダは知らせている/体へのレッドカード/でもみんな無視している/つくられたしろくま」。ラップは基本、ことばをぎせいにしがちというと偏見ですが、省略がふつうの詩より多いというのは現実だとすると、本作はその省略がかえって効いていて、動物の気味悪さ(評者は動物のもつ一面だとおもっています)というか不条理感がでていて面白い詩になっていると思います。
AIなんて
全くおっしゃるとおりですね。AIを使うと、つぎに先生になる人がいなくなる? AIのスタート画面のクリックの仕方を教えるだけの先生になる? 実際AIに指示して詩を書いてみた人がいるのを知っています。達者なものです。ちゃんとそれらしいものが書けますね。褒めてやると喜びますよ。でも口だけの人で、喜ぶふりをしているだけの人でした。ホンネのない人でした。
虹方程式
美しいタイトル。なかみもシンプルで良い詩ですね。この良い詩を支えているのがしゃれ、ダジャレであるのが凄い。しゃれ、ダジャレといったのでは詩に申し訳ないですから、地口といい直しますが、こうなると地口の力、あなどれないですね。
愛のチカラ
不思議な作品です。フシギな分、良い詩なのだとおもいます。論理がふつうではない。こわい作なのかもしれない。この「愛」はだれかからの愛なのかしら? だれかへの愛なのかしら? 最終連にヒントがあるようなきがしています。何度もよんでみます。
しれっと思いやり
そうですか、そんなにおもいやりがしれっとあるのですね。「友達が」の連が詩の倫理的ポイントですね。それをふんわりと、ほんわりと、さらりと、そして、しれっと日常でつつむ。脱帽です。
人工知能に頼れば
うまい! まったくどうすればいいのでしょう。昔からやられてきたことを、昔の学び方を、アナログでやりつづけることなのでしょうね。漢文の素読をし、短歌の名作を暗唱し、現代詩の名作を朗読し、英語のシャドーイングをし、例文を暗記し、英作文の添削をし、日本語作文を400字詰め原稿用紙に鉛筆と消しゴムで縦書きで書いては消し書いては消し、完成させ、朗読しあい…と明治時代にもどるのが一番なのでしょうか。そうなのでしょう、できないけど。
All Need Heart
良い詩、良い決意、良いリズム。軽快なこころ。出だしの2つの連がパンチあると思います。「ね」がかわいくてこわい、つよい。はぎれの良さ。とてもいいと思います。
ゼロ
出だし3行、新鮮そのものです。つぎの3行も良いです! 計14行の詩ですが、この流れ、まだ生きている感じがあります。もう5,6行~10行くらい流れで書けると思います。みんなとは違う主人公のありさまをもう一声描写してあげればどうでしょう。
ハラハラ
良い詩ですね。ライトヴァースっていう感じ。風刺詩でもありますね。
積み木
肯定的で前向きな詩句と不安げな詩句と、赤裸にまざっていて、ゆらぐ心がつたわってきます。揺らす「君」がいるらしい。姿はあらわさないが。この「君」のことを知ることはあくまでむずかしいですが、いるらしい。その微妙なところをさぐるように書けるといいかなとも思いますが……。
寝にくい夜
苦しいとまではいわないが、しめつけてくる何か、それへの突き放したような軽々とした反撃ですね。深刻な反撃にはみえないが、反撃は反撃です、強いです、頼もしさを感じさせます。とくに最後の2行、とくに「今日も」の「も」、ここがいい。自嘲のようい聞こえるが、それは聞き間違いですよね。主人公の自信です。おれは寝るのだ、それが何か。っていう感じ。で、タイトルが「寝にくい夜」、ここでようやく自嘲がくる。というわけで、この自嘲、強い自嘲! 力強い自嘲です。自信にみちた自嘲です。
・平石貴樹より
時のとんずら
「忙しさ」って何なのでしょうね。
透明なルール
日本は近ごろとみに「透明なルール」が多いですからね。
あったかい
いろいろ見渡してくれましたね。
木の葉
前半と後半のつながりが…。
ヒト
良い問いだと思います。
無音の叫び
現代を描いていますね。
私のすべて
わかります。すこしずつ自分らしさを見つけましょう。
見知らぬ声
つらいですね。人生よりずっと長い芸術や文学では助けになりませんか。
同調圧力
「適当に流」すことができればほんとうにいいですね。
現実の呪文
変えてください!
限界
ラップ調だから最後の「聴牌」は許されるかな。
黒い声
結論良し、がんばってください!
しろくま(偽)
パンダって目の隈のこと?
AIなんて
はい、同意しますね。
虹方程式
心意気、いいですね。
愛のチカラ
最終連がわかりにくかったです。
しれっと思いやり
「袋止めシール」と友人の反省は同じ比重なのかなあ。
人工知能に頼れば
意外に人類の運命かもしれないね。
All Need Heart
おっしゃる通りです。がんばりましょう。
ゼロ
もうすこし続きがほしいです。
ハラハラ
本当の被害者たちに叱られますよ。
積み木
上手な比喩の展開ですね。
寝にくい夜。
若々しいエネルギー、いいですね。
・渡辺信二より
時のとんずら
社会批評の視点が、警鐘として生きている。
透明なルール
社会批評の視点が、励ましとして生きている。
あったかい
事実と、事実をどう受け止めるかの落差に、ポエジーがある。
木の葉
言葉の原義である「ことのは」=「言の端」「言の葉」を思い出させる。
ヒト
比喩というよりは、ヒトへの批評として、面白い。
問いがあるので、最後の1行は、不要でしょう。
無音の叫び
今を生きる人間の不安が、12行によくまとまっている。
私のすべて
「私」は、よく「私」のことが分かっているようです。
見知らぬ声
孤独を生きるのもまた、一つの、辛いかもしれないが、価値ある人生です。
同調圧力
「同調圧力」とは、別名、「空気」のことでしょう・
「楽しむ」という受け止め方が新鮮です。
現実の呪文
抑えた怒りが表現割れています。
限界
3行ごとに、脚韻「ai」で現れるが、この詩の場合は、多分、「kai」で全て統一した方がさらに印象深いと思われる。
黒い声
趣旨は良いが、タイトル「黒い声」と最後の「がんばれ私」という声とは、どういう関係なのだろう そもそも、「黒」で良いか。
しろくま(偽)
しろくま、パンダという言葉がタイトルを含めて8回出現する中で、「レッド」が強く印象に残る。
AIなんて
AIを「使用する」のは「便利だから」 でも「怖い」というのは、確かにその通りです。
では、どうする? の回答は不要だが、示唆かヒントがあるとさらに良い。
虹方程式
「二次方程式」をもじったタイトルがとてもおもしろい。
愛のチカラ
「愛のチカラ」の多面性を表現している。
しれっと思いやり
さまざまな「思いやり」に気づくのは良いことです 最後、一捻り欲しいところだ。
人工知能に頼れば
人工知能は、これからの大きな課題です 詩さえも作れるのですから。
「どうすればいい」と途方に暮れるしか、ないか?
All Need Heart
作品の趣旨はわかる。その趣旨と、タイトルの意味と、うまく合っているか?
ゼロ
絶望を「絶望」と言語化するところから何かが見えると期待します。
ハラハラ
言葉遊びのようでいて、社会批評となっている。
積み木
木を積むところを場面にしているが、それ自体が何かの比喩なのでしょう。
寝にくい夜。
生きていく際の2面性ですね。
誠意や善意と、それらのネガティヴな面と。
答えが出ない時には、まずは、睡眠。
|総 評
春一番に喩えるのも変ですが、多くの投稿作品が届きました。嬉しい悲鳴をあげながら、全てを拝見しました。どの作品にも、批評力を感じさせる鋭い感受性や巧みな創造力、また、天翔る想像力が秘められています。着実に社会を変えてゆく言葉の力に、それぞれが確信を持っていることは、こちらにも、よく伝わってきます。
残念ながら、スペースの関係もあって掲載できる作品は限られます。詩として評価されるには、正しい主張や良き考えであっても、当たり前のことを当たり前に言うのではなくて、なるべく具体的な描写を行うべきです。起承転結や、正ー反ー合、あるいは、矛盾論法といった詩的論理、というか、ロジックのうねり、も求められます。 作品としての有機的な構成や統一性も必要でしょう さらに精進されることを期待しています。(渡辺記)
改稿作品
ここからは以前に掲載された作品で、その後、世話人のコメントを受けて、作者によって書き改められた作品のいくつかを掲載します。今回は1篇をお届けします。
しりとり 小村咲
一握の白砂と あなたの瞳と 空の色 半円くるりと 桟橋の上に寝そべる
夢とは 静かに 光の中に 歩き続けること
海鳥の矢のような声 両手両足をぐっと ペケの字に伸ばして 優雅な白い時の中
貝殻を拾い集めるように 名詞だけを並べて 最後に辻褄が合ったら そっと手を繋ぐように 海と空とはただただ 広がってゆくばかりである |
1,2連は好きなアイテムを数え上げた感じ、そしたら、4連目でぐっと世界がひろがって詩がぐっとあらわれた! ということは3連目がポイントだった。3連目に書かれていることは、ポジティヴな人生への挑戦だとおもいました。「伸び」をしたことですね。挑戦は意味があるのだと知りました。(千石記)
あさひてらすの詩のてらすでは、
みなさんの作品のご投稿をお待ちしております。
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