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英語学習お悩み相談室

Q.19 「TOEICを勉強して本当に英語はできるようになるの?」、Q.20 「留学するにはどのくらい英語力が必要?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。

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Q.19 「TOEICを勉強して本当に英語ができるようになるの?」

大学生のケンと言います。僕はそんなに英語が好きというわけではないのですが、出来ないよりは出来たほうがいいだろうと思って、最近TOEICの勉強を始めました。学校で受けさせられたIP試験でのスコアは500点台にギリギリ届く程度だったので、まずは600点を超えるように問題集で勉強しています。

この間、英語の得意な友達がTOEICで700点を超えたと言っていたので、英語ペラペラなのかと聞いたらそうでもないとのことでした。700点越えたら今よりずっと英文も読めるし聞き取れるし、会話だって出来るだろうと思っていたので、すこし残念でした。

TOEICで何点くらい取ったら英語がしゃべれるようになりますか?もしかして、TOEICを勉強しても「英語ができる」ようにはならないのでしょうか?

(ケン、19歳、大学生)

 

A:L&Rは聞く力と読む力

 昨今ではTOEIC受験者が多く、企業でも大学でもTOEIC受験を広く勧める傾向にあります。実はこのTOEICにはL&R(リスニングとリーディング)のテストとS&W(スピーキングとライティング)のテストの2種類があります。「500点台」あるいは「700点」という話の内容からL&Rテストの話をしていることがわかります。このL&Rテストですが、その名の通り、このテストのスコアが表すのはコミュニケーションに必要なリスニング力とリーディング力です。したがって、このスコアからスピーキング力やライティング力を正確に把握することはできません

 

英語というとどれも同じかと思われがちなので、音楽に譬えて説明させてください。

大勢の人が音楽をかなりの時間聴いて楽しんでいると思います。個人差もありますが、音楽をたくさん聴けば、自然と音楽の好みや良し悪しが理解できてくるとは思います。しかし、長時間音楽を聴いたからといって、歌がものすごくうまくなるわけではありませんし、楽器がうまく演奏できるようになるわけではありません。音楽を聴くということ以外に、歌う、あるいは楽器演奏の練習が必要です。英語も同様で、リスニングをしたからと言って、自動的にスピーキングがものすごく上手になるわけではありませんし、リーディングが上手になったからと言って、自動的にライティング力が大幅に向上するわけではありません

 

しかし、何も効果がないわけではありません。リスニングやリーディングによって、聞いたり読んだりして理解できる語彙や文法の基盤ができます。このように蓄積された語彙や文法の基盤から、少しずつスピーキングやライティングで使う表現の蓄えができるようになります。つまり、リスニング力やリーディング力の向上なしではスピーキング力やライティング力の向上はできないということです。リスニングとリーディングでしっかり基盤ができれば、スピーキングとライティングができるようになりますので、TOEICの勉強は役に立つはずです。L&Rのスコアで何点あれば話せるようになるというのは言えませんが、話せるようになるには話す練習が必要です。少しずつでも構いませんので、毎日話す練習をしてみてはいかがでしょうか。

 

 

Q.20 「留学するにはどのくらい英語力が必要?」

 横本先生こんにちは。私は来年の春で大学を卒業し、卒業後はカリフォルニアの大学に聴講生として留学することが決まっています。

ですが、正直なところ、英語力のほうはあまり自信がありません。出願は英文の願書とGPAの提出だけだったので、英語のスコアを取得する必要はありませんでした。無事に合格したので、今はTOEFL受験を考えています。

そこで、最低どれくらいの英語力があればいいのか教えて頂きたいのと、留学前にこれだけは準備しておいたほうがいいこととかあればおしえて頂きたいです。滞在は1年間だけですが、良いものにしたいのでよろしくお願いします。

(ゆりか、21歳、大学生)

 

A:英語を学ぶ以外の目的を見つけて、アカデミックな英語学習をしよう!

 大学を卒業してから聴講生としての留学に行かれるのですね。英語のスコアを取得する必要がなかったようですし、英語力にあまり自信がないようですが、留学の目的が気になります。

留学生の多くは、留学にあまり目的をもっていないことが失敗の大きな原因となります。英語力向上のために留学をするというのは、成功例が多くないので、気をつけるといいと思います。英語ではなくて、英語を使って何かを学ぶことを目的とする方がより効果が期待できるので、そのような目的がないのであれば、まず英語を学ぶ以外の目的見つけることが先決だと思います

 英語力としての準備ということであれば、すでに考えていらっしゃるTOEFL対策の勉強はとても役立つと思います。TOEFLに出題される問題は、多角的なスキルを合わせないと解答できない仕組みになっているので、とても勉強になります。また、扱われるトピックが多岐に渡っていて、学生生活からアカデミックな内容まで、大学生活、大学での学習の基盤となることは間違いありません。具体的なスコア目標としては高ければ高い方が望ましいですが、TOEFL iBTであれば、100点あればそれほど苦労することなく学生生活を楽しめると思いますし、80点あれば多少の苦労はしても学び多き生活が送れると思います。

 また、聴講生でも課題の提出をすることになると思いますが、文献引用のあるレポートを書くはずです。課題に関連する論文を読み、先行研究の結果を踏まえて、自分の考えを論じるというスキルが必要ですが、もちろんそれを英語でする必要があります。TOEFLの勉強と併せて、興味のある分野の論文を読んで、論文の中でどのように他の研究結果が引用されているかなどを知っておくととても役立ちます。英語力だけでなく、英語での論文の書き方を学ぶ良いきっかけですので、是非試してみてください。

 聴講生とは言え、英語力は高ければ高いほど得るものが大きいのは確かなので、留学前にできるだけの英語力は身につけていってください。

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター講師
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、など

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