朝日出版社ウェブマガジン

MENU

教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.94「気楽に理解!関係詞の基本!!」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
英語お悩み相談室 質問受付フォーム


Q.94「気楽に理解!関係詞の基本!!」

 新年度になったりすると、新しく英語の勉強を始めようと思い、新しく文法の本を買ったりするのですが、毎回、関係詞で躓きます。助動詞や不定詞までは分かるのですが、関係詞は説明を読んでもあまり理解できたような気がせず、確認のための演習問題でも間違えたりしてしまいます。以前、文法はとりあえず置いておいて英会話などにも通ったことがありますが、ふわっとした理解しか出来ず、結局文法に向き合わないといけないと思いました。まずは関係詞が難敵なのですか、どのように理解をしたら良いでしょう?良い方法があれば、教えて頂きたいです。(さおりん、47歳、主婦)

 

まずは気楽な姿勢で学んでみましょう!

関係詞はかなり複雑な構造をしているので、理解するのに苦労される方は多いのではないでしょうか。理解したとしても、文を構築するのに時間がかかることもありますし、会話でそれほど頻繁に使用するような文法でもないので、書くときなどにじっくり考えながら関係詞を使って文を書けるようになれれば十分だと考えて、少し気楽に学習してみてください。

 

関係詞の便利な使い方①

関係詞の中でもよく使用されるのが関係代名詞です。関係代名詞は代名詞の一種なので、ある名詞を言い換えるものだということをまず抑えてください。さてここで、電車の中にお土産を入れた袋を忘れてしまって、それを駅員にメールで伝えている場面を想像して、次の文を見てください。

I left a bag on the train.

これだけの情報では、その袋を限定できません。そこでもっと詳しく袋について、そしてのっていた電車について説明したいと思います。まずはどのような袋だったかを説明すると、形容詞を付けて、a big white bagなどということができるかもしれません。すると、

I left a big white bag on the train.

ということができますが、これではまだ他にも大きくて白い袋は沢山ありそうなので、もう少し限定したいですね。そのときに、袋に書いてある店のロゴについて説明するとどうなるでしょうか。まずは、一つの文で、The big white bag has the Yamadaya’s logo. ということができますが、このthe big white bagと電車の中に忘れてきたa big white bagは同じ袋を指すので、一つの文にまとめたいですね。これらの文を重ねてみましょう。

I left a big white bag (the big white bag) has the Yamadaya’s logo on the train.

こうするとthe big white bagの部分が繰り返しになってしまいますので、2回目に登場するものを代名詞に置き換えたいと思います。この際に使用するのが関係代名詞です。今回は物なのでwhichを使って

I left a big white bag which has the Yamadaya’s logo on the train.

同様な方法で電車も詳しくできますね。The train left Tokyo Station at 8:00 am.という文を繋げて、

I left a big white bag which has the Yamadaya’s logo on the train which left Tokyo Station at 8:00 am.

となります。このように、文中にある名詞をさらに詳しくするのに役立つので、関係代名詞が導く節は形容詞の役割をしています。

 

関係詞の便利な使い方②

もう少し複雑な構造をしている関係代名詞もあります。ここでは、違う場面を想像してみましょう。同僚が昨日メールで送ってくれたファイルが破損していて、再送して欲しい場面を想定してみましょう。依頼なので,

Could you send me the file again?

と書けますが、まだファイルがどのファイルか分かりません。ファイルに関する情報は昨日送ってくれたことなので、

You sent me the file yesterday.

という事実があります。このthe fileと再送依頼をしているthe fileが同一のファイルを指しているので、重ねてみましょう。

Could you send me the file again?

You sent me the file yesterday.

この場合、重ねてみても先ほどの袋の例のように上手く組み込むことができません。ここで、メインで書きたいことは依頼文なので、そちらはそのままにし、ファイルの説明となっているYou sent me the file yesterday.の方をどうにかしてみましょう。共通部分がthe fileなので、これを文頭に持ってきて

the file you sent me yesterday

となりました。これで重ねることができます。共通部分であるthe fileの直後にはめ込みましょう。

Could you send me the file the file you sent me yesterday again?

となりました。これで共通部分のthe fileが繰り返しになっているので、関係代名詞のwhichに置き換えて、

Could you send me the file which you sent me yesterday again?

となりました。これで「昨日送ってくれたファイルを再送してください」となります。ここまで関係代名詞の説明をしましたが、置き換えた語句、the bag, the train, the fileはすべて名詞です。これを置き換えているので代名詞、さらには節と節をつなぐ役割を担っているので、関係代名詞といいます。

 

関係副詞は副詞句の言い換え!

さて、関係詞の中でも関係副詞がありますが、こちらも簡単に説明しましょう。こちらは関係代名詞と違って副詞句を言い換えるのに使われるので、関係副詞といいます。ここで、旅行好きな二人が滞在するホテルについて話し合っているとします。

I want to stay at the hotel.

だけではどのホテルの話しをしているのか分かりませんね。ここで、このホテルの説明として、この二人が去年の夏に泊まったホテルという情報を付け加えたいと思います。

We stayed at the hotel last summer.

さて、この2文を重ねてみましょう。

I want to stay at the hotel.

We stayed at the hotel last summer.

共通部分が文頭にないので、上手くはめ込むことができません。共通部分はat the hotelという場所を副詞句なので、ここでは関係副詞のwhereを用いて、at the hotelを言い換えます。そして関係副詞を文頭に移動させて、

Where we stayed last summer.

となりました。それではこれを元の文I want to stay at the hotel.の共通部分であるat the hotelの直後にはめ込んでみましょう。

I want to stay at the hotel where we stayed last summer.

これで完成しました。

関係詞は、主となる文と、付け加え情報の文の2文を繋げるために使われますが、共通部分の語句が、付け加え情報の文の中で名詞句なら、関係代名詞、副詞句なら、関係副詞を使用して、文頭に移動させてから、主となる文の共通部分の直後にはめ込むとできます。

新しい教材にチャレンジしなくとも、同じ教材で複数回復習してみてはいかがでしょうか。応援しています。

 

バックナンバー

著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

ジャンル

お知らせ

ランキング

閉じる