Q.84「T O E I Cで900点超えを目指すならどんな勉強をすればいい?」、Q.85「英語に毎日触れるとどんな効果がりますか?続けるにはどうしたらいいですか?」
この連載は、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。 |
Q.84「T O E I Cで900点超えを目指すならどんな勉強をすればいい?」
転職のためにT O E I C 900点越えを目指しています。今のスコアは回によっても前後するのですが870点くらいで、最近勉強の仕方に悩んでいます。これまでの勉強法としては公式問題集をひたすら解いて来たのですが、やり尽くしてしまった感もあり、スコアがあまり伸びません。800点台後半の人が900点越えを狙う場合、どのような勉強をすればいいのでしょうか?
弱点克服プラス大量の英文処理に慣れましょう!
TOEIC900点を目指すというのは一筋縄ではいきませんが、すでに870点レベルまで達しているということのなので、是非継続して目標を達成していただきたいものです。目標達成するためには、まず、自分の弱点を知り、それを克服して、最後には大量の英文に慣れるように心掛けましょう。
TOEICに限らず、英語関連のテストには、それぞれのテスト問題が測ろうとしているスキル目標のようなものがあります。言語能力あるいは言語知識として、例えば、語彙力を測る問題や過去形の使い方を理解しているかどうか測る問題などがあります。また、理解力を測る問題でも、全体的な内容を理解できているかどうかを確認する問題や詳細を把握できているかどうかを確認する問題などがあります。このように、様々なタイプの問題がバランスよく混在して一つの検定試験を成しています。
それを踏まえると、自分の現在の言語能力、理解力を分析して、どの種類の能力や理解力が目標スコアレベルに達していて、どの種類の能力や理解力が不足しているのかを把握する必要があります。幸いにもTOEICの場合、公式認定証にAbilities Measured(項目別正答率)が付随しています。ご存じかとは思いますが、Listening、Readingセクションそれぞれに5つの項目があり、自分の弱点を把握することができます。このAbilities Measuredをしっかり見て、まず自己分析をすることをオススメします。
つぎに、弱点克服のための学習です。公式問題集をひたすら解いたというこれまでの学習方法は悪くはないと思います。公式問題集を使用する最大の利点は、問題の種類と質が本番で使用されるものにかなり近いという点です。ひたすら解くというやり方で足りない点があるとするならば、TOEICで登場する語彙はすべて学習するレベルまで学習することだと思います。
公式問題集で物足りないのは、解説の詳しさとスコアアップに必要な学習的要素です。公式問題集以外の問題集で、Abilities Measuredを取り入れたものを書店で探してみてください。最近では複数出版されているので、書店に足を運べば数点見つかると思います。それらを手にとって、問題の解説ページを開いて、解答、解説に加え、その問題がAbilities Measuredのどの項目に当てはまる問題なのかを解説している問題集・参考書を購入することをオススメします。そうすることで、自分の弱点をしっかり把握して、その弱点を強化することができます。
そして最後に重要なのは、時間との闘いです。900点取得というと全200問のうち9割近くを正解するということですから、分からないまま解かずに進めていい問題はないと考えてください。2時間という時間であれだけの英文を聞いたり読んだりして、問題を解くことになるわけですから、それ相当の英文処理能力を普段から養うことが不可欠です。TOEIC問題集でも構いませんので、問題1セット分相当の英文に日々触れるようにする習慣をつけておくといいでしょう。
必ず目標スコアを達成する日が来ます。引き続き頑張って継続学習してください!
Q.85「英語に毎日触れるとどんな効果がりますか?続けるにはどうしたらいいですか?」
よく英語を学ぶのなら毎日触れたほうがいいと聞きますが、なぜなのでしょうか?それはT O E I Cなどの問題を解くということでしょうか。英語学習書の音声を聞き流したり、簡単な短い英文を読むだけでもいいのでしょうか?
英語を道具として使うことを継続しましょう!
他の学問や科目については、異なるかも知れませんが、英語学習に関していえば、週に1日2時間ほど学習した場合と、週に5日間、10分間ずつ学習した場合の学習効果について比較した研究があります。この研究によって、合計学習時間ではなく、短時間であっても継続学習をする方が、学習効果が期待できるということがわかっています。そのことを踏まえると、少しでもいいので毎日英語に触れることが重要だということは理解していただけると思います。
ところが、触れるといっても、何も考えずに英語学習をすればいいというわけではありません。まず英文を読む場合ですが、英文を見て、日本語に訳して理解するというだけでは、英文を読んで理解したことにはなりません。それは日本語を読んで理解しているだけなので、結局は英文を理解していません。したがって、和訳してしまったとしても、その後、必ず元の英文に戻って、英文だけをみて、そこに何が書いてあるのか内容を理解できることが重要です。
リスニングの場合でも同じことが言えます。音声が聞こえてきて、それだけで内容を理解できればそれでもいいですが、理解出来ない場合には、テキストやスクリプトを見て、辞書を使って理解することになると思います。ここでも和訳を利用する方も少なくはないでしょう。その場合でも、やはり元の英語の音声に戻って、その英語の音声だけを聞いて理解できるということを確認しなければ学習効果はそれほど期待できません。
英語は言語なので、内容を理解したり、伝えたりするための道具です。英語を道具として使うための学習で、日本語を道具として使ってしまっては、学習効果は期待できません。バッティングセンターでテニスラケットを使って練習して、野球の試合ではバットを使用してヒットを打とうとしているようなものです。
学習の過程で、母国語に頼ることは多々あると思います。それは悪いことではありません。しかし、英語を道具として使用するための練習を怠らず、和訳した後も、必ず英文に戻って、英文だけで理解し、その書かれた内容、聞こえてきた内容を理解することが学習の第一歩です。
そこから、さらにもう一歩進んで学習するために、読んで理解した内容、あるいは聞こえてきた英文の内容に、自分なりのリアクションをしてみるといいでしょう。たとえば、理解した内容が、犬が飼い主を危険から救い出すというような内容だったとしましょう。それを理解したときに、自分なりに
I hope my dog will save me when I’m in danger.
とひと言でいいので感想を述べてみるというのもいい学習になります。内容を理解して、それに対して英語で反応するというのは、実践的に英語を道具として使う練習なので是非試してみてください。