Q.21 「英語のニュースを字幕なしで見れるようになるには?」、Q.22「Writingに必要な論理的思考の方法」
Q.21 「英語のニュースを字幕なしで見れるようになるには?」
定年を機に英語の勉強を再開し、今年で3年目になります。学生時代に勉強した文法や単語を学びなおしつつ、近所の英会話学校にも通っているので、日常での簡単な会話くらいであれば、難なくこなすことが出来るようになってきています。
ですが、英語のニュースを聞き取ろうとすると、個々の単語は聞き取れたりするのですが、全体として何を言っているかほとんど検討がつきません。聞き取る力が足りないのかなと思い、市販の教材を買ってみてみたりするのですが、こちらは聞き取れるのです。話すスピードが違うのはもちろん分かりますが、ニュースの音声を聞き取れないのはそれだけではない気がしています。英語のニュースを聞き取れる為には、どんな勉強をしたら良いでしょうか。教えて下さると幸いです。
(新太郎、68歳、無職)
A:ニュースに関する知識と関連語彙学習のススメ
定年後に英語学習を再開されたという点、英語教育に携わる者として本当にうれしい限りです。しかも日々英語力の向上を実感されているという点は本当に素晴らしい限りです。
さて、英語のニュースについてですが、私も同じような経験があります。特に海外に行ったときに、ホテルのテレビをつけてニュースを見ると、聞き流しながらもすんなり意味が頭に入るニュースとそうでないニュースがあります。第二言語習得理論の観点を踏まえた上で、私なりに出した結論は、聞き手の持つ経験や知識が、リスニング力に影響を及ぼすもののひとつだと考えます。
たとえば、私は政治にそれほど詳しくありません。大統領の名前くらいは分かったとしても、その他の議員の名前も知らなければ、それなりに有名な役職名もあまり詳しくありません。そのような私にとって、政治関連のニュースは新しい言葉や名前だらけで、音声として入ってくる情報が多すぎて処理できずに、結局理解までには至りません。一方、交通事故や天気予報など、日常耳にするようなニュースに関しては、地名などの固有名詞以外は、ほぼ既知の語彙や表現が使われるので、問題なく情報の処理ができ、理解にも困りません。
ニュースを聞き取り、理解するようになるには、それぞれのニュースに関する予備知識を得た上で、それらに関する語彙を習得しなければなりません。馴染みのあるニュースでも、英語となればすんなり理解できるレベルで語彙が身についていないこともよくあります。また、語彙学習では聞き取りの語彙なので、発音も併せて学習してください。
また、ニュースには独特の構成があります。構成を理解して、その構成に関する知識を最大限に利用して、理解に役立てる必要があります。母語で聞き取りをする場合には、この構成に関する知識を無意識に使っているのですが、外国語となるとそうはいきません。導入では、トピックの紹介、そして今日起こった出来事、次にはこれまでの経緯、そして今後の動向に関する一言といったような構成を知ることで聴解の助けになります。
語彙学習も英語学習も地道な努力が必要ですが、その分だけ達成感があります。是非、継続して学習してください!
Q.22「Writingに必要な論理的思考の方法」
わたしは大学受験で英語の外部試験利用入試を受けるので、英検の勉強をしています。この間、英検2級に受かったので今は英検準一級の勉強をしています。
英検準一級の勉強を進める上で、一番のネックがWritingです。先生もご存知かと思いますが、数年前に変更があったみたいで、英検準1級のWritingでは与えられた質問と指定の語句を入れてエッセイを書くことになっています。わたしなりに自分の意見を考えて書いているつもりなのですが、塾の先生に見せると、論理的になっていないと言われます。たしかに正解例を見てみると、意見とその理由に説得力があるように思います。
でも、解答例をもとに自分で書いてみても、どこか違う気がしてしょうがないです。先生はもっと論理的に書きなさいと言いますが、「そもそも国語の授業でさえ論理的に考える訓練なんて受けてないので、書けないのはしょうがないのに」とか「そもそも論理的って何?」と思ったりもします。
来年は本格的に受験勉強をしなくてはいけないし、英語だけ勉強しているわけにはいかなくなるので、なんとか今年中に受かりたいです。うまくWritingが書けるコツや論理的な思考(?) の学び方があったら教えてください。よろしくお願いします。
(結衣、17歳、高校生)
A:「なぜ?」に答える文章を書く
外部試験利用で英検を受験されるんですね。高校生で準1級合格を目指すというくらいですから、きっと英語は得意だと思います。ただEssayを書くとなると、英語そのものだけでなく、Essayの書き方を学習する必要があります。
検定試験で書くEssayは時間が限られているので、できれば5分以内に、Essayの全体の構成と書く内容を決めて、アウトラインを作ってから実際にEssayを書くようにしましょう。Essayを書きながら、各内容を考えるというのは、支離滅裂で論理的ではないEssayになる危険性が高くなるので、必ず書き始める前に次のようなアウトラインを作りましょう。
Introduction:
トピックの紹介と読み手の興味を引く内容
Thesis Statementで課題の質問に対する答え(Main Idea)
Body Paragraph 1:
Main Ideaの理由1
その裏付け(具体的な例、データ、事実など)
Body Paragraph 2:
Main Ideaの理由2
その裏付け(具体的な例、データ、事実など)
Conclusion:
Body Paragraph 1と2の概要
それに基づく提案や未来の予想など
特にBody Paragraphのアウトラインでは、やはり論理的な構成をしっかり作ることが重要です。たとえば、Japanese consumers will purchase more imported products in the future. という意見をMain Ideaだとします。そして「輸入品は安い」という理由を挙げるとします。一見理由になっているように見えますが、このままでは論理的とは言えません。
論理的な文章を書くコツは「なぜ?」と問い続けることです。ここでは、「なぜ輸入品が安いと日本人は輸入品を買うと思うのか」を説明します。「友人も家族も周りの人はみな、何かを買うときに値段を見て買うかどうかを決めることが多い」という経験談から値段が安いと買う人が増えるということを経験上知っていることが説明できます。
まだまだこの「なぜ?」という疑問が使えます。たとえば、「なぜ輸入品が安いと思うのか」という疑問も考えられます。このように、「なぜ?」という疑問が浮かばなくなるまで「なぜ?」と問い続けていくと、論理的な文章が書けるようになります。
つまり、論理的な文章を書くには、読み手が知らないこと、読み手は違う意見を持っていることを前提に、その人たちに一からすべて、説得するように説明していく必要があります。
全体的な構成をしっかり作った上で、「なぜ?」と繰り返し問うことで、論理的な文章が書けるようになるはずです。少しずつでもいいので、試してみてください。