Q.113「TOEFLスピーキングセクションの勉強法」
近頃、TOEFLを勉強しているのですが、スピーキングが苦手で、上手な解答をすることができません。とりわけ、Integrated Taskが得意でなく、使っている参考書にはノートテイキングが大事と書いてあるのですが、聞きながら書くのは自分にとっては難易度が高く、なかなかできません。まずは、ノートテイキング力を上げようと考えているのですが、どのように練習すれば良いでしょうか。よろしくお願いします。(masa、23歳、学生)
内容理解が最優先!必要なことだけ数語でメモを!
TOEFLの受験対策をされているということは、留学を希望されているということでしょうか。TOEFLに登場する問題はどれも簡単ではありませんし、特にスピーキングは日本人が苦手としている分野ではないかと思います。ご指摘の通り、Integrated Taskではリスニングで聞いた内容を踏まえて答えることが必要となります。なので、お使いの参考書に書かれているように、上手くメモを取ることも重要だと思います。
TOEFLのメモ取りは、テンプレート作りを目指そう!
メモを取るという作業は、英語力とは別のスキルです。ここで一度ご自身の日常を振り返ってみてください。実際に大学などの教室で、講義を聴いている際、ノートを取ると思います。そのスキルをそのまま英語に活かしたいのですが、ノートを取る条件が違うことに気づくと思います。
まず、大学の講義では、テキストや配布物があります。そのため聞いた内容をそのままノートに書き留めるというよりは、テキストや配布物にはない内容を書き留めるという作業をしていると思います。これは、特に配布物があるわけではないTOEFLのIntegrated Taskとは大きく異なります。真っ白なメモ取り用の紙に、ゼロからメモを取るのは、大学の講義でのメモ取りよりはるかに難しいといえます。このゼロからメモを取る難しさを克服するためには、いわゆる配布物のような役割をするものを自分なりに作成していく必要があります。そこで役に立つのがテンプレートです。Integrated Taskの最終目標は、
「リスニングで聞いた内容を踏まえてスピーキングで答えること」
ですので、スピーキングに必要な部分だけメモを取ればいいことになります。TOEFL対策の参考書には模範解答だけでなく、テンプレートのようなものが紹介されていると思います。たとえば、スピーキングの問題で「レクチャーの内容を踏まえてある専門用語を説明しなさい」という内容が問われていれば、
The professor defined ----(専門用語)---- by using two examples. The first example given in the lecture was ----(例1をひと言で)----. ----(例1の詳細)----.
The second example was ---(例2をひと言で)----. ----(例2の詳細)----.
Therefore, ----(専門用語)---- can be described as ----(自分なりの説明)----.
このようにテンプレートの空欄部分だけを書き取ればいいことになります。
とはいっても、聞きながらノートを取るのは至難の業です。聞きながら書くという作業はかなりハイレベルなマルチタスクですので、かなりの練習が必要になります。そのため、様々なリスニング教材を使った練習がオススメです。
メモでは「文」を書かないように。
ノートテイキングを練習するには、まず文を書かないことが重要です。手を動かしている時間が長いとその間聞くことが疎かになってしまうのは当然の現象です。重要なキーワードのみを書き取って、あとは矢印や星などの記号を使って内容を整理しながらメモを取りましょう。
たとえば、
Intelligibility is defined as how much the listener actually understands what the speaker says, rather than how easily the listener understands the speaker.
という説明のメモを、
Intelligibility = % understand≠easy
のように記号を使い、実際に使用する単語は最小限に抑えると、メモを取るのにさほど時間がかかりません。自分だけが理解できればいいものなので、自分なりの記号の使い方に慣れておくと本番でもスムーズにメモが取れるようになります。
つぎに重要なコツは、メモを取るタイミングです。話している最中に上手くタイミングを掴むのはとても難しいのですが、講義というものは、内容が整理されて話されています。先ほど紹介したテンプレートでも分かるように、大体、トピックの紹介のような内容から始まって、具体的な例でそれを説明するという構成になっています。なので、まずトピックの紹介を話している間は、まだメモを控えて理解をすることに集中しましょう。トピックの紹介が終わったら、急いで数語のメモを取り、具体例を聞くことに集中してください。具体例を聞き終えたら、また急いで数語のメモを取るというように、話の区切り目が来るまではある程度聞き取りに集中しましょう。そうすると、不要なメモを取ることも防げ、理解した内容を元にスピーキングに生かせるメモを取ることができます。
ノートを取るよりも、まずは内容の理解を!
さらに重要なポイントは、ノートを上手く取れなくても焦らないことです。ノートを上手く取るには、まず内容を理解するというプロセスが必要になります。とにかく時間との勝負なので、不要な情報はノートに書きたくありません。聞いた内容を理解した上で、書き留める必要のある情報だけをノートに書きましょう。
ノートテイキングに拘り過ぎると内容ではなく、聞こえてきた音を頼りにノートに書き写すという作業に陥りがちです。音に頼って取るノートは、不要な情報や語彙が含まれていることが多く、内容の理解が上手くできていません。そのため、後に内容を踏まえてスピーキングを行うことができなくなってしまいます。一方、ノートを取ることよりも、まずは内容理解に集中して、内容理解が上手く出来た場合に、必要な情報だけを上手くノートに書けるということも利点ですが、万が一ノートに書くことができなくても、その内容をある程度覚えていることがほとんどです。したがって、Integrated Taskではノートを取ることを目的とせずに、内容理解をして、それを自分なりに表現することを目的として練習するといいでしょう。
いずれにしても、練習は必要です。リスニング中は内容理解に集中して、解答に必要な情報だけを数語でノートに書き取ることを意識することで、ノートテイキング力を磨いていきましょう!
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