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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.101「問題集を使い分けて、TOEIC400点からスコアアップ!」

こんにちは。会社で受験が勧められていることもあり、ここ1年ほどTOEICを勉強しています。今は各パートの問題が載っている総合対策本に取り組んでいるのですが、900点を超えている友人に言わせると「公式問題集をひたすら解くのが一番いい」と言います。しかし、公式問題集は自分には少しハードルが高いようにも感じられ、上級者向きの勉強法なのかなと思います。

そこで、400点代の受験者にはどんな勉強をしていけばいいでしょうか?やはり単語帳を地道にやるべきでしょうか。リーディングとリスニング、どちらを重視するべきでしょうか。よろしくお願いします。

(コハラ、28歳、会社員)


 

|2種類の問題集を使い分けてスコアアップを目指そう!

上級者の方のアドバイスを取り入れたいというお気持ちとてもよく分かります。ただし、TOEIC Listening & Readingというテストの特性を考えると、必ずしも上級者の学習方法で、初中級者の学習者にも同じような効果が表れるとは考えられません。それを踏まえて、公式問題集のような全パートがセットになった問題集と、対策用のテキストや問題集の特徴とそれぞれの使い方についてまとめてみたいと思います。

 

|公式問題集の利点と注意点

まず、公式問題集をはじめ、本番のテストと同じようにListeningセクション4パートとReadingセクション3パートで合計200問が1セットになっていて、それが複数セット含まれているような問題集について簡単に説明します。これらの最も適した用途は予想スコアを知る点にあります。特に公式問題集は、クオリティが非常に高いので、それぞれの問題が本番のものにとても近いものになっています。こちらを使用して、本番と全く同じ条件で時間を計り、中断や休憩なしで受験練習をすれば、本番で獲得できるスコアがかなり正確に予想できます。

ただ、公式問題集は、個々の問題の質が高い一方、解説が比較的端的です。問題の種類や自分の弱点を把握するには、情報量が十分ではありません。上級者ともなれば、不正解だった問題を見直すと、自分で何が原因で間違えたのかを理解できるので、公式問題集のみを使用しても次のステップに向けて学習が進められますが、初中級者にとっては不正解だった理由を詳しく説明してくれる教師が必要かもしれません。

 

|タイプ別問題集で、弱点を把握しよう!

しかし、書店では公式問題集以外にも全200問を3セット程度収録した問題集が多く販売されています。これらの問題集では、全問題がタイプ別に分けてあることも多く、自分の弱点を把握しやすいと思います。また、解説も初中級者にも分かりやすく丁寧に書かれていることが多いので、上級者でも間違えるような問題の解説でも、読めばある程度理解できるように書かれています。

 

|おすすめの3回チャレンジ法!

これらの問題集の最大のメリットを生かすには、3回チャレンジ法を取り入れるといいでしょう。まず1回目の受験をします。これは、学習開始時の自己診断用だと考えてください。本番と同じ条件で、時間を計りながらPart 1から7まで一気に受験します。1回目の受験が終わったら、答え合わせだけして、まだ解説は読みません。ここでは単純にマークシートに記入されたご自身の解答に正誤を付け予想スコアだけを算出しておいてください。

次に2回目の受験です。こちらは、時間制限一切なしで受験します。時間制限はありませんが、辞書などを一切使わず、あくまでも100%自力で解きます。これで全問解き終えたら、答え合わせをします。

1回目と2回目の受験では、スコアにもちろん差があると思いますが、2回目の受験のスコアが現在の実力で全力を出し切って獲得できるスコアの最大値となります。

 

2回目の受験の後は、学習期に入ります。数週間掛けて、2回目の受験の際に、間違えた問題と、あまりよく理解できていなかったものの勘で正解した問題の解説をしっかり読んで、どこをどう間違ったのか、何の知識が不足していたのかなどを分析しながら学習を進めましょう。親切な問題集には問題タイプが書かれています。それによって、自分が間違えやすい問題タイプなどを把握できると、今後の学習を更に効率良く進めることができます。

学習期を終えたら、3回目の受験をします。1回目と同様、本番と同じ条件で、時間を計って受験します。こちらは、すぐに答え合わせをしてみてください。3回目でも正解できなかった問題は再度見直すことが必要です。

また、さらに重要なのは全問最後まで解けなかった場合の対策です。時間のかかる問題とそうでないタイプの問題がありますので、解説にある問題タイプの説明などを読んで、解答に時間がかからない問題タイプを見極めるスキルを身につけて、実際の受験時に、時間のかからない問題から解答していくようにします。

 

|スコア別の対策問題集は、苦手分野の把握に!

それとは別に、スコア別の対策問題集があります。こちらは、レベルにあったテキストを使用することを強くオススメします。次回までの受験にどれくらいの時間が残されているのかにもよりますが、現在のスコアが400点台ということですので、600点を目標としている問題集を購入されると良いと思います。先ほどの全パート問題集と同様、問題をタイプ別に分けてくれている問題集も少なくありません。これらを使用すれば、ご自身の自己診断で苦手だと分かっているタイプの問題を強化できます。

 

レベルのあった対策用の問題集で強化が進めば、全パート問題集の2つ目のセットを使用して3回チャレンジ法をやると、さらなるスコアアップに必要な自己診断ができます。このように、二つのタイプの問題集を使い分けて、目標スコア達成に向けて全力で頑張ってください。

 


●担当編集より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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