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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.105「コロナ渦での学習モチベーションの保ち方」

通訳ガイドの資格をとりました。しかし、資格をまったく活かせず、英語力も落ちてモチベーションを保つことができません。どのように勉強を続ければいいのか困っています。(まつこ、50歳、無職)


 

ある程度のレベルになると、すぐに英語力は下がらない

通訳ガイドの資格はハイレベルな国家資格ですので、すでに相当高い英語運用能力をお持ちだと思います。英検で言えば、最低でも1級レベルはお持ちなのではないでしょうか。ここまでの英語力があれば、しばらくの間英語を使用しなくても、そこまで英語力が下がることはないとは思います。

ですが、新型コロナ感染拡大の影響で、海外からの訪問者が激減していることから、お仕事で英語を使用する機会が奪われてしまい、不安な状況が続いていると思います。一日でも早く感染が終息し、通訳ガイドのお仕事が再開できることを願っています。

これまでは実際のガイドのための英語学習、試験合格のための英語学習をされてきたかもしれませんが、折角高いレベルの英語力をすでにお持ちだと思うので、それをさらなるレベルアップに利用してみてはいかがでしょうか。

 

日本の良さを英語で配信してみましょう!

昨今、ソーシャルメディアを通して、様々な情報が発信されています。プロが作成した有料コンテンツもあれば、誰でも思ったこと、感じたことを簡単に投稿したものもあります。

英語力を維持するために、私がオススメしたいのは、日本に興味のある海外にお住まいの方向けに、日本の地理、歴史、文化などを紹介するために情報を配信することです。ソーシャルメディアと言っても様々ですが、日本らしいものを紹介するという目的であれば、やはり画像があったほうが魅力的だと思います。たとえば、インスタグラムで画像と一緒にテキスト情報を配信するのもいいですし、YouTubeなどで動画配信するのもいい考えだと思います。

これはご自身の英語力を維持するあるいは向上させるのが目的なので、読者や視聴者、フォロワーを集めるということを目的にしなくてもいいと思います。しかし、日本について書いたテキストや口頭で説明したものに対して、誰かからフィードバックがあるとさらに学習効果高まると期待できます。それを実際に見てくれている方が一人でもいるなら、継続しやすいですし、さらに良いものを配信したいというモチベーションにも繋がっていきます。

 

配信仲間を見つけて切磋琢磨していこう

もし可能であれば、一緒に配信してくれる相手を少なくとも一人見つけるのが理想的です。たとえば、金閣寺について、一人は画像と文章を作成して配信準備をし、もう一人はナレーション付きの動画作成を担当します。そして、次に銀閣寺についての配信準備では、文章と動画の役割を入れ替えてやってみるというアイデアです。これは、配信する以上、二人とも内容も表現も良い物にしたいという思いがあるはずなので、配信準備の段階で、お互いが作成したものにフィードバックができ、それぞれの作品がよりよいものになっていくことが期待できます。

内容や画像の修正等はもちろんですが、文章や話し方のどこをどう修正すれば、その場所の魅力を簡潔に、上手く伝えられるかを考える良い機会になります。このプロセスはフィードバックをする方にもされる方にも、表現力の向上が期待できます。

配信仲間はネイティブである必要はありません。上級者であれば日本人でも高い学習効果が期待できます。理想的には、同じような英語レベルの方と一緒に取り組むのが良いと思います。お互いの原稿や動画を評価し合って、2人が納得する投稿のみを公開するという形を取れば、継続して推敲や撮り直しができ、新しいトピックについて定期的に取り組むことができると思います。

 

一人で配信する場合も、良い学びにつながる

一緒に取り組む相手がいない場合でも、自作の動画をご自身でご覧になると、改善点が見つかることがよくあります。私自身も教材用ビデオを制作する際、一人で何度も見返し、細かい部分の修正を行っています。発音に関する修正点はもちろんですが、実際に聞いてみると分かりづらい箇所も少なくありません。そのような場合には、表現を変えてみて再度収録し直して、録画を再生し、しっかり視聴者に内容が伝わるかどうかを念入りにチェックしています。この反復により、英語表現力、プレゼン力の向上に繋がったと実感しています。

また、記事の原稿については、もちろんご自身で推敲を重ねることも上達のコツとなります。原稿を書いてから少なくとも1日は時間をおいて、読み返してみてください。セルフチェックでもかなりの修正点が見つかると思います。

ご自身による推敲ももちろん上達には欠かせないプロセスですが、加えて、時にはプロの力に頼ると大変勉強になります。有料ではありますが、proofreadingをしてくれるサービスがあります。プロのproofreaderが校正してくれて、さらにコメントをくれるサービスもあります。とても勉強になるので上級者の方にはかなりおすすめです。

これまでの学習で得た高い英語運用能力を使って英語学習を継続することを考えると、やはり実在する視聴者向けに何かを配信するというのが、ご自身はもちろん、視聴者のかたにも大きなメリットになります。

コロナ禍で日本に入国できない方々、日本に興味のある方々向けに、日本の良さを大いに伝えて欲しいと思います。世界のどこかに、その情報を待っている人がいるはずです!通訳ガイドというお仕事の特徴を活かして、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 


●担当編集より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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