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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.102「英語圏留学に欠かせない!パラフレーズ力の鍛え方!」

留学をしたいと思い、TOEFLを勉強しています。ライティングの問題を解いた後の解説を読むと、パラフレーズが大事とよく書いてあるのですが、パラフレーズをお使いこなせるようになるには、どのように勉強していけば良いのでしょうか。やはり、地道に単語帳などを使って覚えていくしかないのでしょうか?

宜しくお願いいたします。(Nao、27歳、会社員)


 

パラフレーズは語彙、品詞、文構造を変える

TOEFLを勉強されているということは、大学や大学院への留学を考えていらっしゃると思います。それを考慮すると、TOEFLのライティング問題対策だけでなく、将来的にパラフレーズがとても重要になってきます。

 

論文執筆で求められるパラフレーズ力

大学では多くの課題提出が求められると思いますが、その際にパラフレーズを使いこなせることが重要になります。大学の課題提出では、参考文献を付けると思いますが、その際、引用元の文言をそのまま引用する直接引用と、自分の言葉に言い換えて引用する間接引用があります。たとえば、重要語句や課題のテーマに大きく関わるキーワードの定義をするときなど、引用元の文言そのものが重要な意味を持つ場合には直接引用を用いますが、大概の場合には、間接引用を用います。間接引用では、引用元の英文を言い換えるので、今のうちにパラフレーズの練習をしておくのはとても役に立つはずです。

 

また、TOEFLのライティング問題対策としては、パラフレーズをして同じ表現を繰り返し使わないことで、語彙力、表現力が高いことを示すことができ、それによって、スコアアップが期待できます。全体のライティングの中では、主題を一文で表現するThesis Statementがあり、それを最後に言い換えたりして締めくくりの一文とすることも少なくありません。また、各パラグラフ内でも、そのパラグラフの主題を表すTopic sentenceを言い換えて、パラグラフの最後のまとめのひと言にすることもよくあります。英語の文章では、作文全体やパラグラフ中の最初と最後で、筆者の考えを述べることがよくあります。パラフレーズする力がないと、ひとつの表現が2回登場することになり、表現力が欠落していることが露わになってしまいがちです。

 

実際にパラフレーズをしてみよう!

パラフレーズを使いこなす練習ですが、おっしゃる通り語彙力、表現力を身につける地道な練習が必要となってきます。パラフレーズは比較的高度な英語力を必要とするので、パラフレーズの練習をすることにより英語力も伸びるはずです。

 

パラフレーズの練習は、言い換えをする元の英文を書くところから始まります。ここでは、次の例文を使ってパラフレーズの練習方法を紹介します。

 

例文:

Television strongly influences the way people behave.

 

この文によって伝えたい意味にもよりますが、たとえば、類義語を使ってtelevisionmedia、stronglygreatly、influenceaffectと置き換えるだけで

 

Media greatly affect the way people behave.

 

と言い換えることができます。

また、単語レベルだけでなく、the way people behaveもhow people behaveという言い換えることができるので

 

Media greatly affect how people behave.

 

というパラフレーズができました。

これに加えて、influenceという動詞をhave a great influence onというように、influenceを名詞として使用したり、the way people behaveという形容詞節が名詞を後置修飾している構造を単純な名詞句people’s behaviorと言い換えることも可能です。つまり、

 

Media have a great influence on people’s behavior.

 

というパラフレーズができます。

ここからさらにinfluenceimpactと言い換えて

 

Media have a great impact on people’s behavior.

 

というパラフレーズが完成しました。このように、単に語彙を置き換えることだけでは終わらず、品詞を変えてみたり、そこからさらに語彙を置き換えてみたり、文の構造を変えたりすることで、様々な表現でパラフレーズができます。

 

辞典やソフトの機能も使いこなしましょう!

語彙の置き換えをする際には、類義語を調べる必要があると思いますが、ここでは、効率良く類義語を探すために、類義語辞典(Thesaurus)を活用してみてください。また、WORDで作文する場合には、言い換えたい単語をドラッグして、校閲タブをクリックして、類義語辞典をクリックすると、類義語の候補が画面上に現れます。その中から、文脈に合う単語を選ぶといいでしょう。このように辞書やWORDの類義語辞典機能を利用して、自分が書いた文を何通りかに言い換える練習をしてみましょう。言い換え練習を繰り返していくと、ご自身の語彙だけで言い換えできる表現が増えていきます。

 

他人の書いた英文を使い、文意を言い換えていく!

パラフレーズをさらにレベルアップさせるには、他人が書いた文を使用すると効果的です。問題集の長文の中から一文を抜き出して、その文をパラフレーズするといいでしょう。類義語を使って語彙を言い換えたり、品詞や文構造を変えたりする方法もいいのですが、他人が書いた文を用いて練習するときには、別の方法で練習するのも効果的です。まず、どの文をパラフレーズするか選び、その文意を理解します。そして、その内容を自分の言葉で再現します。その際、元の英文を見ずに、できるだけその文の意味を忠実に再現するのがコツです。最初は元の英文に近いパラフレーズしかできないかもしれませんが、そこから品詞や文構造を変えるなどして、元の英文とはできるだけ異なる英文になるまで練習するといいでしょう。それを繰り返していくと、少しずつパラフレーズが上達します。

 

パラフレーズはかなり高度な英語力を必要としますし、他の学習と同様、地道な努力は必要ですが、必ず上手くなります。TOEFLのスコアアップにも留学先でも役立つスキルなので、是非継続して身につけてください。応援しています!

 


●担当編集より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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