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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.98「自分に合う英語の勉強法の見つけ方」

25年位前にTOEIC700点を取得しましたが、10年前に英語の勉強を中断。去年再開して、英検準2級に合格しました。TOEICの勉強として「金のフレーズ」や「文法特急」に加えて、「音読パッケージ」を勉強しています。英会話は、簡単な英語しか話せないので、あまり興味を持てません。仕事では、英語のプレゼンをしたこともあります。仕事で、英語を使わなくなってから約10年経ちます。

英語力を上げたいと思いますが、公式問題集を勉強した方が良いのか?音読を続けて良いのか?迷っています。森沢洋介先生によれば、音読、瞬間英作文、精読、多読とありますが、どんな勉強が良いのでしょうか?

( KAZUchan、65歳、会社員)


 

|英語力を定義して目標を明確にする

英語学習を再開されて、英検準2級にも合格されていますし、TOEICの学習も複数の教材を使って学習されているようで、大変熱心に英語学習を進めていらっしゃるのがよくわかります。さらに様々な学習方法に関する知識もお持ちのようですし、本当に頼もしいです。

 

今後の英語学習を進めるのに、ここで改めてご自身で確認していただく必要がある重要ポイントがあります。それは、英語力をどのように定義されているかという点です。英語力をいくつかに分類してみて、どのスキルを身につけたいのかということを明確にすることで、どの学習方法が自分の目指している英語力の達成に必要かが分かってきます。ここでは、英語力を大きく分けて、語彙力、リスニング力、スピーキング力、リーディング力、ライティング力の5つに分けて考えてみましょう。

 

|語彙力を高めるのは、精読と多読

まずは、語彙力です。過去に学習したあるいは仕事で使用していた語彙を効率良く活性化してしてくれるのは、やはり精読と多読の組み合わせです。たとえば、ご使用されているTOEICの問題集のリーディングパッセージなどで十分ですが、辞書などを使いながら、丁寧に登場する語彙を一つ一つしっかり学習していきましょう。この精読では、新出単語が多く含まれる読み物で学習を進めると効果があります。平行して行うと良いのが多読です。こちらでは一切辞書を使わなくても意味の理解に困らないレベルの読み物をGraded Readersの本の中から選んで、とにかく沢山読んでください。そうすると、たまに含まれている新出語句なども、辞書を使わずして、意味が理解できるようになります。これが自然に起こっている語彙習得です。日本語に上手く訳すことは難しいかも知れませんが、このように多読を通して習得した語彙は正しく使うことも期待できます。

 

|自分に合ったレベルの英語をたくさん聞こう!

次にリスニング力です。リスニングも難しい語彙表現を含む比較的短い教材を使用して、日本語と英語の音の違いを細かく分析しながら克服するのが一つのやり方です。もうひとつは多聴というもので、Graded Readersに付随する音声などを利用して、内容理解にあまり苦労しない内容の音声をとにかく多く聞くことをオススメします。それにより、訳すという手間を省いて、英語を英語のままでスラスラ聞き取れるようにする練習になります。

 

|同じテーマで繰り返し話す練習を

そして、スピーキング力を上げるにはスピーキングの練習が不可欠です。読んだり聞いたり語彙の学習をいくら進めても、スピーキング力を上げるのは難しいと考えてください。簡単な内容ではなく、もう少し難しい内容にチャレンジしたいようでしたら、是非挑んでみてください。話し始める前に準備時間を設けて、話す順序などを予め決めておくのも良い練習になりますし、語彙学習で学習したばかりの新しい語彙などを積極的に使って、話す内容を自由に決めて話すと良いと思います。但し、どうしても欠かさず行っていただきたいのは反復です。一度話すだけで終わらず、同じことについて話すのは最低でも3回は行ってください。そうすることで、流暢さの向上にも役立ちますし、語彙の使い方や文法の使い方まで定着に繋がります。

 

|書いた量が上達につながる

ライティング力もスピーキング力と同じように、書かずして上達はあり得ません。どんなに素晴らしい文章をどれだけ沢山読んだとしても、素晴らしい文章が書けるようにはなりません。実際にライティング力が必要になる場面が想像できないかも知れませんが、Emailのように身近で使えるライティングもありますし、最近ではSNSに投稿するために英語のライティングを練習する人もいます。いずれにしても、自分で書いた文章を数日後にもう一度読んで、自己評価をするだけでも、かなりライティング力は向上します。自己評価は想像以上に効果があり、ご自身の書いた文章であっても、相当量の間違いに気づくことができます。それを繰り返すことで、総合的なライティング力が上がります。

 

|検定試験をスキル測定に使おう!

これらとは別に検定対策というのもひとつの達成目標として重要な役割を果たしてくれます。また、それぞれの検定試験がどのようなスキルを測定してくれているのかしっかり把握しておくのも重要です。例えば、TOEIC L & Rではスピーキングとライティングの力を測っていないので、いくらスコアがよかったとしてもスピーキングとライティングができるということは言えません。このように、それぞれのテストが測定しているスキルから、ご自身が目指す英語力にピッタリ合う試験を選んで、その合格あるいは高得点を目指す学習を進めるのはとても効果的だと思います。それぞれの試験には対策用の問題集等が多く出版されているので、信頼できる著者のものを選んで学習をしてみてはいかがでしょうか。

 

このように英語力というのをご自身で再度定義してみて、その定義を基に何を目標にしているのかをもう少し具体的に考えてみてから、ご自身の目標達成に合った学習方法をしてみてください。

 


●担当編集より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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