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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.78「ディクテーションにはどんな効果がありますか?」、Q.79「50歳を過ぎて勉強を始めて英語はペラペラになるのか?」

 

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.78「ディクテーションにはどんな効果がありますか?」

 最近英語の勉強を始めたのですが、高校の時に学校の先生からディクテーションがおすすめと言われたのを思い出し、最近練習に取り入れています。正直なところ、書き取れないことも多いのですが、ディクテーションを続けるとどんな効果があるのでしょうか?

 

ディクテーションを自己評価に役立てる

 最近英語学習を始められたとのこと、大変嬉しいです。学校での英語学習が終わっても、自発的に英語学習をするという姿勢がすでに一歩前に進んでいる現れですね。しかも、高校時代の先生にディクテーションを勧められたのを覚えていて、それを取り入れていらっしゃるところがさらに素晴らしいです。ここでは、ディクテーションの学習効果について紹介させてください。

 まず、発音を聞き取る力をアップする効果があります。ディクテーションは、聞こえてくる音声を単語に置き換える作業を繰り返します。英語を読むときには、単語と単語の間にスペースがあり、それぞれを単語として容易に認識できます。しかし、聞き取る英語では、単語と単語をひとつひとつ区切って発音されることがないので、音の繋がりを理解して単語に分けることが必要になります。例えば、

oneofthegroupmembersisasonofafamoussinger.

と聞こえてきたら、瞬時に

One of the group members is a son of a famous singer.

 と言っていると認識できなければなりません。Oneとofの発音はそれぞれ/wʌn//əv/ですが、そのように別々に区切って発音することはなく、実際には/wʌnə(v)/と発音されています。このような音の繋がりの理解を積み重ねていくことで、聞こえない音が聞こえてくるようになり、単語として認識できていくようになります。

 また、英語にある強勢と弱勢のうちの弱勢を知識で埋める力がつきます。実際に意味を解釈する場合には、ハッキリと聞こえてくる強勢の置かれた単語を聞き取っていけば十分なことも多いのですが、ディクテーションとなると弱勢でハッキリ聞こえてこない単語も書き取る必要があります。I’ve sent them.もI’ve sent him.もほぼ同じように聞こえてくることもよくありますが、これはthemとhimが弱勢でハッキリ発音されないためで、聞き取りだけではなかなかうまく聞き分けできません。文脈から、複数の人に送ったのか一人の人に送ったのかを理解していれば、弱勢でハッキリ発音しない単語もしっかり書き取ることができます。

 これらに限らずですが、これらのスキルが身につくことで、総合的にリスニング力が向上することが期待できます。ただし、ディクテーションもやりっぱなしでは効果がありませんので、オススメの方法を紹介させてください。

 ①まず、音声を聞いてディクテーションします。数回聞いても構わないので、自力で書き取れるだけ書いてみましょう。

 ②次に、書き取った英語のみから全体の意味を理解してみましょう。その解釈があっているかどうか、日本語訳を見て確認しましょう。

③正しい意味の確認ができたら、今度は聞き取りだけでは埋められなかった部分を自力で埋めてみましょう。ここでは、語彙知識や文法知識を使ってできる限り全文完成させます。

④最後に、スクリプトをみて答え合わせします。もちろん、間違っている部分があると思いますが、そこが今後学習するべき箇所という指標になります。

短いものからで構いません。ご自分が学習すべき部分が露わになる学習方法なので、是非継続してやってみてください。

 

Q.79「50歳を過ぎて勉強を始めて英語はペラペラになるのか?」

 子育てがひと段落したこともあり、何か今までやってこなかったことをしようと思い、50を過ぎて英語の勉強をはじめました。どうせならペラペラに話せるようになりたいと思い、英会話スクールなどに通おうと思うのですが、その前にまず単語とか文法とかは自分で勉強したほうがいいですか?ペラペラに話せるようになるために手軽に始められる方法はありますか?(あきえ、52歳、主婦)

 

文脈を利用した語彙・文法学習をする

 子育てお疲れさまでした。今度はご自分のために英語学習を始められたということが大変嬉しいですし、また、頭が下がります。仕事で必要だから英語学習を始める方は大勢いらっしゃいますが、自発的に英語の勉強を始められたので、今後がとても楽しみです。英会話スクールに通うのも悪くないです。グループレッスンなどで、知り合いができると一緒に楽しみながら学習ができて継続学習に繋がります。英会話レッスンもいいですが、ここでは、ご自身でできることをいくつか紹介させてください。

 まず、大事なことですが、言語学習はインプットつまり、聞くことと読むことから始まります。このステップを飛ばして英語学習をすることはできないことを忘れないようにしてください。

 「英語を聞いて、あるいは読んで意味が理解できるようになる」というのが最初にやるべきことなるので、まずは今のご自身のレベルにあったテキストを探してみてください。

 テキストを選ぶ際には、ひとつひとつの文や単語が列記されているものではなく、いわゆる長文を使って文法や語彙学習ができるものがいいでしょう。読んで意味が理解できるというステップを飛ばさずに英語を学習できますし、長文を読み進めたり聞いたりしながら、語彙学習も文法学習もできるというのが英語学習のいい形です。

 逆に、文脈がなく、文のみあるいは単語のみを使用しているテキストでは、いわゆるテストのために一時的に覚えることを目的にしているようなものなので、今回のペラペラ英語を話すという目的には合っていません。文脈を理解し、その文脈の中で使用されている語彙表現を身につけることで、同じ文脈に出くわした際にその表現を引き出しから取り出すことができるようになります。英語を使用することを目的とした学習では文脈が必ず必要です

 また、年齢と英語学習についてですが、これは文法説明やルールを理解するという点では言語学習に長けているといわれる幼いこどもよりも大人が優れています。また、知識や経験が豊富なことも、英語学習の最初のステップである英文理解に役立ちます。書かれている英文や聞こえてくる英文にある言語情報だけに頼らず、ご自身の知識や経験を英文理解に活かすことが重要ですので、それほど年齢について意識する必要はありません。

 年齢が高くなれば徐々に学習に時間がかかってしまうというような話も聞くこともあります。ある程度の年齢になると、社会的な責任があり、純粋に英語学習に費やす時間やエネルギーが限られてくることも要因だと考えられます。しかし、個人差があるにしろ、英語学習は年齢がどれほど高くても、継続して学習すれば必ず効果が出ます

 長文などで、文脈を使った単語や文法の解説のあるテキストを使用して、継続してみてください。必ず上達しますし、いつかペラペラ話せる日が来ます。応援しています!

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター講師
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、など

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