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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.41「音読に適した素材とは?」、Q.42「英語を学ぶ必要は本当にあるのでしょうか?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.41「音読に適した素材とは?」

 英語を勉強するにあたって音読がとても有効だと聞くのですが、音読する英文はどんなものでも構わないのでしょうか?今は英語の参考書やTOEICの問題文の長文を音読しているのですが、音読に適した英文などがあれば教えて頂きたいです。又、音読はどれくらいまで行えば良いでしょうか?今は英文をスラスラ口で言えるようになるまでやるようにしていますが、このまま続けて大丈夫でしょうか?(ひで、19歳、専門学生)

 

話し言葉のスクリプトを積極的に活用する

 音読に着目している点がとても素晴らしいと思います。私自身も、かなりの英文を音読しましたし、音読が有効だとおっしゃる先生も大勢いらっしゃいます。効果があるとはいえ、教材選びや音読をどこまで続けるのかなどは、なかなか判断が難しいかもしれません。ここで、私の個人的な意見を紹介させてください。

 まず、教材選びです。基本的には英語で書かれた文章であれば何でも効果はありますが、折角声に出して行う学習方法なので、実際の生活の中で声に出すような内容の題材が望ましいと思います。例えば、会話文やスピーチなどです。いわゆる話し言葉と書き言葉は若干表現が違います。大まかに言えば、話し言葉の方が、使用する単語は比較的簡単で、文法、文構造も比較的単純なものが多いです。実際に話す際に、これらの比較的簡単な表現を声に出せるように音読練習を活用したいので、音読の題材としては、話し言葉のスクリプトがいいでしょう

 話し言葉のスクリプトを使用するというのは、必然的に手本となるリスニング教材がついているはずです。これが、話し言葉のスクリプトが音読に適している最も重要な理由です。手本となる音声をしっかり聞いて、発音の練習も併せてしましょう。個々の単語の発音はもちろんですが、単語やフレーズのリズム、意味の区切り目、全体のスピードなどに注意して、しっかり真似できるように心掛けてください

 どこまで音読練習を続けたらいいのかという点についてですが、これはリスニング教材のスピードでできるようになることを目標にしてください。自分ではスラスラ読めているように感じていても、実際には手本の音声より遅い場合もあれば、逆に早すぎて聞き手に伝わりにくくなったりしてしまいます。シャドーイングやリピーティングを取り入れて、手本とする音声と全く同じスピードで音読できるようになりましょう

 また、自分が音読した声を録音して聞いてみましょう。そうすれば、どの程度明瞭に発音されているか、抑揚は適切か、区切り目は適切かなどの確認ができます。この確認作業が学習効果を高めることになるので、是非、自分の音読の声を録音して、聞いてみて、自己評価してみてください。

 

 

 

Q.42「英語を学ぶ必要は本当にあるのでしょうか?」

 東京オリンピックということもあってか、英語の学習熱が近頃すごく高まっているように思えます。でも、全ての人に英語が日常的に必要となる日は来るのでしょうか?

 私の両親は埼玉県で飲食店を長年経営していますが、今のところ英語を使うような状況に遭遇したことはないといいますし、私の3つ上の姉は都内の銀行で窓口業務をしていますが、たまに外国人のお客さんが来るけれども、同僚で英語の出来る人が全く対応するので困らないだそうです。

 テレビのCMやネットの記事を見ると、英語は出来たほうがいいとは思うのですが、出来なくても大丈夫なのかなと思います。もちろん外資系企業や総合商社で働こうと思えば必要なのはわかるのですが、日本の会社に就職する限りでは英語を学ぶ必要はとくにないのではないかと思われ、本当に日常レベルで英語を必要とする人はごくわずかな気がしています。

 たとえ仕事で使うことがなくても、英語は学んでおいたほうがいいのでしょうか?または、普段の生活で使うことはなくても、英語は学んでおくと良いことがあるのでしょうか?教えて頂けると嬉しいです。(恵介、21歳、大学生)

 

英語は医療保険のようなもの

 英語学習をする目的や理由は日常的に実感できる方とそうでない方がいらっしゃいますよね。私も以前は英語に携わる仕事に就くことを想像もしませんでしたし、実際教師という職業を先に目指し、英語という科目にしたのは、採用人数が多かったという理由だけであって、数学教師の採用人数が多ければ数学教師を目指していたかもしれません。私個人の人生はともかく、将来英語を使う機会があるかどうかわからない場合でも、英語学習はした方がいいと思います。

 私は、英語学習は医療保険のようなものだと考えています。今健康でいても、いつ病気になるか、ケガをするかわからないですし、どれだけ気をつけていても病気にかかったり、ケガをしたりして、入院が必要になることもあります。そういうときに備えて医療保険に入り、毎月保険料を払っています。人によっては、入院が必要な大病や大ケガをしないまま一生を終えるかもしれません。そういう場合でもおそらく、保険料を払い続けてきたことを後悔はしないと思います。

 そして、医療保険は病気やケガで入院が必要になってからでは遅いという点が英語学習との共通点です。もちろん、何を学ぶのにも時間がかかりますが、英語学習にもかなりの時間を要します。一朝一夕に英語を習得するというのは到底無理な話ですから、保険のようにいつ必要になっても大丈夫なように備えておくといいのではないでしょうか。

 現在、仕事や日常で英語を使っている方々の中でも、多くの方々が中学や高校で英語を勉強していたときには、まさか自分が将来英語を使うことになるとは想像していなかったと思います。また、そのような方々が、もっと早くからちゃんと勉強しておけばよかったと後悔しているというのも、よく耳にする話です。病気やケガで入院したときに、医療保険に入っておけばよかったと後悔するのと同様に、英語が必要になってからその場しのぎで英語学習をしても、必要な英語力はつきません

 英語が今すぐ必要ではないのでしたら、楽しみながらマイペースで続けることができるということなので、安心して少しずつ毎日続けられるような無理のない量の学習をお勧めします110分程度でも構わないので、毎日継続することを心掛けてください。継続学習が何よりも効果的な学習方法なので、是非続けられる工夫をして、いつやってくるかわからない英語を使う機会に備えてみてください。

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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