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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.76 「単語帳を使わずにTOEFLレベルの語彙を身につけるには?」Q.77  「1人でできる英会話の練習はありますか?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.76 「単語帳を使わずにTOEFLレベルの語彙を身につけるには?」

留学のためにTOEFLの対策をする必要があり、問題を見たのですが、単語レベルが高く挫折していましました。そこで単語帳を買って学びはじめたのですが、3日くらいでつらくなってしましました。単語帳で勉強する以外で、TOEFLレベルの語彙力をつける方法はありますでしょうか?

 

語彙力は文脈を使って学習しましょう!

 留学のためにTOEFL対策を始めた学習者の方々は、TOEFLの問題で使用されている語彙に驚きます。おそらくこれまで学習してきたものとは違ってアカデミックなものが多く出題されるためだと考えられます。実用的で日常生活で使用するような表現を主に出題する他の英語試験とは違い、TOEFLは、高等教育機関で、あらゆる分野の学習・研究を行うことができる英語力を持つかどうかを評価するための試験なので、出題される問題に使用される語彙もそれなりのレベルだということも納得できます。

 問題を解いてみて、語彙力が不足していることから挫折したという経験から、語彙力を上げるための学習をするというのはとてもいい決断だと思います。ただ、TOEFL対策用の単語帳がどのようなものか、また、それをどのように使用するかで、効果的に語彙力アップができるかどうかが変わってきます。

  どの試験の対策でも同様のことが言えますが、単語帳には日本語の対訳、発音記号、例文が収録されているものが多いと思います。学習者の多くは、単語帳の見出しの語句と対訳を中心に学習しますが、それだけでは、習得するレベルまでの学習にはなりません。それは文中で使われている状態を見てないからです。単語帳には例文が掲載されているものもありますが、1文や2文ではやはり不十分です

 野球に例えてみると、見出し語と対訳のみの学習は素振り、単語帳に掲載されている例文を使用した学習はノックといったところでしょうか。そして、実際に試験で問題を解くということが野球でいう試合形式の紅白戦練習にあたります。素振りやノックだけを繰り返しても、試合形式となるとなかなか上手く結果を出せないのは当然です。実際の文中に登場した語彙を見て、そこから語彙学習に発展させていく方が効率もいいですし、単語の使い方の学習にもなるので、一石二鳥です。TOEFLではSpeakingやWritingで実際に学習した単語を使うことも要求されますから、やはり単語は意味を覚えるレベルでなく、使えるレベルまで学習しなければなりません。

  最初に挫折した問題集を是非もう一度使用してください。ゆっくりのペースで構いません。最初のパッセージに登場する単語を一つ一つノートに書き出して、ご自身専用の単語帳を作っておくと、復習に最適です。1パッセージの中に登場した知らない単語をすべて書き出して、辞書等を使用して意味が分かったら、もう一度パッセージに戻って、どれくらいその英文が読めるかチェックしてみましょう。英文だけを見てパッセージをスラスラ読み進めるようになったら、次のパッセージに進んでください。このように、文章を読みながら、登場する語彙を学習することを強くオススメします。

 効果を実感するには最低でも月単位の時間がかかりますが、試合形式の練習なしでは、公式戦にあたる留学はあり得ません。継続は力なりです。頑張って続けていきましょう!

 

 

Q.77  「1人でできる英会話の練習はありますか?」

英語をバリバリ喋せるようになりたいなと思って勉強しているのですが、一人で勉強するのは厳しいなと最近感じてます。英会話学校も値段もそこそこしますし、今はコロナで行くのも微妙です(汗)何かいいやり方があればと思うのですが、そんな方法ありませんか?(まりん、29歳、販売員〕

 

Withコロナでも出来る英会話学習

 確かに一人で英語学習をするというのは孤独ですよね。話す相手がいるということで、やはり英語を使う機会つまり学習する機会が増やるので、理想的には、誰かと英語を話す機会を多く作り出すのがベストだと思います。さらにWithコロナ時代では、なかなか対面でのコミュニケーションが難しいということもあって、これまでのような英語を使う機会を上手く作り出すことが難しくなっているかもしれません。しかし、英語を話せるようになる練習は一人でもできますし、相手が必要だと感じた場合にも、なんとか探し出すことも出来なくもありません。

 まず、一人で話す練習ということですが、簡単に言えば積極的に独り言をいうことをオススメします。ただの独り言ではなく、しっかり話したいことを絞ってそれについて熱弁します。趣味があればそれについて話すのがベストです。趣味がなければ何か日本らしいもの、たとえば各地のグルメや人気アニメ、日本の伝統文化などについて話すのがいいでしょう。

 趣味に関して話す練習ですが、たとえば、読書が好きだとします。今日読んだ部分の内容を3分間でまとめるように英語で話してみましょう。そして、その話した内容を録音します。次に全く同じ内容を今度は2分間でまとめるようにします。そして、3回目は1分間でまとめるようにします。この少しずつ時間を短くしながら3回反復することで少しずつ流暢になっていきます。しかも、この方法では、語彙の使い方や文法の使い方も洗練されていきます。これを毎日繰り返していくと録音が蓄積されていきます。毎日繰り返して、一週間経ったら、1週間前に録音した音声を聞き返してみるといいでしょう。一週間前には必死にまとめていた英語でも、ここをもう少しこう言えば良かったなどという反省ができます。そして、もう4回目の録音してみましょう。このように繰り返しと振り返りをすることで、少しずつ英語が話せるようになっていきます。

 折角趣味に関して話す練習をしているので、それを共有する人が欲しいですよね。昨今ではSNSなどで、日本以外に住んでいる人とも簡単に繋がることができます。趣味が共通の相手が見つかれば、SNS上でのやり取り、また、電話のような機能やオンライン会議などもありますから、英語で趣味について話して、ただただ楽しい会話をするということも可能な時代になっています。

 会ったことのない人と話すのには抵抗があると思いますし、危険が全くないという訳ではありませんが、趣味を通して知り合うSNS上の友人と英語で話すというのも効果的な学習方法ではないでしょうか。海外にいる人で日本人と繋がる方々は日本文化に興味のある方が多いので、日本文化について話せるように練習しておくと役に立ちます。対面で人と会うことは難しくても、一人であるいはオンラインで人との繋がりを楽しみながら英語学習もできる時代です。是非試してみてください。



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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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