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Q.86「英語で日記をつけて、発信力を高めよう!」

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Q.86「英語で日記をつけて、発信力を高めよう!」

英語で日記をつける学習方法が良いと聞いたことがあるのですが、どんな学習効果がありますか?どんなことを書いたらいいなど、おすすめの学習方法があったら、教えて欲しいです。(悠太、19歳、専門学生)

 

興味のあることを少しずつ書いてみましょう

 英語で日記をつけることをオススメする教師は少なくありません。

 一人で英語学習する場合、検定対策用の問題集を解いたり、本や雑誌を読んだり、洋画や海外ドラマを英語で見たりすることが多いですよね。これらの学習方法は、結局、リーディングとリスニングの学習、つまりインプットの練習です。インプットに頼る学習も悪くはありませんが、話したり書いたりするアウトプットのスキルを伸ばすには、やはりアウトプットの練習が必要になります。日記をつけることは、書く活動なのでアウトプットの練習になります。日記をつけることは、一人でもできる数少ないアウトプットの練習といえるでしょう。

 アウトプットの練習だからという以外にも効果が期待できる理由があります。それは、日記を習慣とすると継続学習につながるということです。英語学習には継続が不可欠です。日記というのは、毎日続けるものですから、必然的に継続学習になります。ただし、日記を継続するにはちょっとしたコツが必要です。

 まず、頑張り過ぎないことが重要です。最初の数日間はやる気があるので、頑張って1ページ分の日記を書く人も少なくないと思いますが、そのうちの多くの人はいわゆる三日坊主になってしまう傾向があります。長く継続するには、無理をしないで、一日に書く分量を少なめに設定することをオススメします。日記の長さで設定するのも一つの方法です。レベルによってですが、一日3行だけとか、5文だけとか決めたり、1日5分間など、時間で設定するのもひとつの方法です。一日の設定した分量で書き終える必要はないので、次の日に続きを書くということも可能です。いずれにしても、1日の分量は、もう少し書きたいと思えるレベルにとどめておくと継続しやすくなります

 また、書くトピックも継続に重要な要素となります。日記というと、何か書くに値する特別なイベントや出来事があればいいのにと、小学生の夏休みの宿題で書くときに悩んだ人もいると思います。もちろん、その日に起こった出来事を書くのもいいのですが、それでは、ネタ切れになってしまいそうです。それより、毎日継続できるような趣味について書いたり、一つのことを書くのに長くかかりそうな場合には、数日分に分割して書くなどすると継続に繋がります

 

自分の興味のあることを英語にしてみましょう!

 また、趣味に関して少しずつ書くという習慣は、SNSに投稿にも応用できます。SNSの場合、共通の趣味を持つ仲間が読み手として存在しているので、継続する理由にもなりますし、また、同様に仲間が書いたものを読むことで書き方の学習にも繋がります。仲間の投稿を読んで、表現を学ぶことは実践的で効果的な学習といえます。

 興味のあることであれば、何でも構いません。たとえば、Jポップが好きだとします。好きなアーティストの新曲の歌詞をそのまま訳すのではなく、歌詞にあるストーリーを簡単にまとめてみたり、コンサート情報の告知を英語にしてみるなど、英語で表現できることは沢山あります。同じ人についてばかり書く必要もないので、ネタが尽きる心配はないはずです。

 日記をつけることで効果が期待できる理由は他にもあります。それは自己分析です。書くという作業をすることで、自分が書きたい内容のうち、何が表現できて、何が表現できないのかが明らかになります。これは語学に限らず、何の学習においても重要なことです。自分ができることと出来ないことをしっかり把握して、できないことを出来るようにしていくことが上達への近道です。日記をつける中で、難しくて上手く表現できないと思ったときには、辞書などを頼って書くのも効果的ですし、それが難しい場合には、後回しにしても構いません。日記以外の学習を取り入れているならリーディングの学習、あるいはSNSを取り入れるなら仲間の投稿などを読みながら、使えそうな表現を学びましょう。以前は上手く表現できなかったことも、継続学習による積み重ねによって少しずつ使える表現が増えていきます。

 

書いた英文のチェックも忘れずに!

 SNSで投稿となると、多くの人の目に触れるので、投稿前に書いた内容、表現、語彙、文法などをチェックし、推敲すると思います。友達とのメールのやりとりや自分だけのためのメモや作文練習ではなかなか行わないこの推敲をすることで、自分が書いた英文の間違いに気づくことがよくあります。この気づきの瞬間が学習です。自分が書いたものにそのような気づきがないと勘違いしている学習者は少なくありませんが、実は自分が書いた文章にも多くの間違いがあることに気づきますし、それが更なる学習に繋がります。

 このように日記をつけるということで、継続学習につながり、自己分析が可能になり、推敲が習慣になるなど、さまざまな学習効果が期待できます。続けられそうな興味のある分野で少しずつ少量の日記を書いてみてはいかがでしょうか。

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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