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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.39「英語の勉強 基本はリーディング??」、Q.40「単語をどのくらい覚えれば、英語は話せるようになる?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.39「英語の基本はリーディング??」

 横本先生こんにちは。私の母は大学で英語を専攻し、むかし英語の先生をしていたこともあって私が英語の勉強をしているのを見ると、いろいろアドバイスしてくれます。そんな母はいつも「英語を身に付けるなら、まずは読むことから始めなさい」と言っているのですが、どうしてリーディングが大事なのでしょうか?母に聞いても「とにかく大事」というばかりで、ちゃんと答えてくれません。どうして大事なのでしょうか? (めぐ、16歳、高校生)

 

言語学習はInputが基本

 英語が堪能のお母さんがいらっしゃって大変心強いですね。リーディングが大事だというアドバイスも納得です。リーディングが大事な理由をいくつか説明させてください。

  まず、言語学習はInputが基本となります。Inputというのは受け取る情報全般を指しますが、言語学習ではリスニングとリーディングを指します。この、Inputで得た語彙、文法に関する情報を脳が処理して、それが使える準備ができると話せたり、書けたりするようになります。

 リーディングもリスニングもInputではありますが、リーディングにはいくつか利点があります。まず、新出の語彙を目で見ることができ、綴りも分かるので辞書を使用して意味を確認したり、その語彙が他の文脈でどのように使われているかを調べるのが比較的容易に行えます。

 また、英文の構造も目で見ることによって分析しやすくなります。関係代名詞や間接疑問文などのように複雑な構造をしている英文も、目で見ることで理解しやすくなります。さらに、リーディングでは、文章全体の構造も理解しやすくなります。段落と段落のつなぎ目の表現や、ストーリー展開などの文章の全体像を見るのには、読み返すことができるリーディングが適していると言えます

 発音に関してはリーディングだけでは学べませんので、リスニングを入れて、個々の英単語がどのように発音されるのか、英文中ではそれぞれの単語がどのように発音されるのかなどを耳から学習することも大事な学習です。リスニングも取り入れるとより効果的な学習ができます。

  読む物は簡単に読み進められるもので構いません。英語学習者用に作成された、簡単な単語ばかりで書かれた多読用の本がありますから、図書館などで借りて、多読を続けるとかなり英語力アップにつながります。映画になったような小説や、有名人についてのドキュメンタリー、科学的事象の説明など、様々なトピックの本がありますから、おそらく楽しく読み進められるものが見つけられると思います

 多読には単語力アップ、読解力アップ、文法力アップと多くの効果があることが分かっていますから、是非多読を楽しんでみてください。

 

Q.40「単語をどのくらい覚えれば、英語を話せるようになる?」

そろそろ真面目に英語を勉強したいと考えており、学ぶにあたってやはりまずは単語が大事かなと思っているのですが、英語が話せるようになるにはまず何語くらい覚えなくてはいけないのでしょうか?ネットなどを見ると、「100語で話せる」というような声もある一方、「2000語~3000語は必要」とも聞くのですが、実際どうなのでしょう?100語ではやはり足りないのでしょうか?(ふゆこ、40代、主婦)

 

2000語使えることを目標にしましょう

 英語学習を始めようという姿勢がとても嬉しいです。英語学習者の間では、やはり必要な単語数というのは気になりますよね。今ではインターネットを利用した学習方法も学習に関する情報も多く存在しとても便利ではありますが、様々な情報が手に入るというのは、それだけ信憑性のある情報を得ることが難しいですね。

 まず「100語で話せる」というのは、英語を使用する場面をかなり限定すれば不可能ではないとは思います。試したことはありませんが、たとえばトラベル英会話のような、限定的なシチュエーションでいう表現を100語以内でいうことは、できてしまうかもしれません。但し、相手が言う言葉を理解するのには100語では足りないことは確実です。現地に行けば、100語以内で話してはくれないので、これを目標にするのは非現実的だと言えます。

 言語学的に英語表現を量的に分析するコーパス言語学という分野があります。このコーパス言語学のお陰で分かったことは、ネイティブの話し言葉に登場する全単語のうち、90パーセント近くを2,000語が占めており、3,000語となれば、全話し言葉の95パーセント以上を占めることになることが分かっています。

 つまり、かなり高いレベルでの表現をするような小説や、学術論文などの書き言葉、あるいは、かなり高度で専門的な議論をする場面でない限りは、2,000語が使えれば十分会話は成り立ちますし、3,000語習得すれば、ほぼネイティブ並みに話し言葉を使えるようになるということです。

 とはいえ、単語帳などを使用してただただ覚えるだけでは使えるようにはならないので、それぞれの単語がどのような場面で、どのような英文の中で、どのように使われているかを理解しながら、覚えていきそれを真似て使えるようにしていくことが重要です。日本語で考えて、それを英語に訳すことを極力避けて、あくまでも英文中に使われていた表現を真似することを繰り返すことで、2,000語を使えるようにしていくことが重要です。

 2,000語というととても多く感じるかもしれませんが、it, on, for, youなど基本的な単語を含みますので、それほど多くないはずです。少しずつで構いません。何しろ継続が英語学習では最も効果がありますので、毎日少しずつ単語を増やして、是非目標を2,000語レベルにしてみてください。

 

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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