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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.23 「英語4技能まずどれから学ぶのがいいの?」、Q.24 「小学校英語について」

Q.23 「英語4技能まずどれから学ぶのがいいの?」

 高校2年の光と言います。僕の学校はそんなに進学校ではないのですが、先日進路相談があって大学に行くことにしました。調べたら、僕が受験する時には色々な大学で英語を「読む・聞く・書く・話す」力、いわゆる4技能が問われると聞きます。この4つの中では、まず何から取り組んだら良いのでしょうか?お勧めの勉強法なども合わせて教えて頂けると助かります。

(光、17歳、高校生)

 

『読む』『聞く』から『書く』『話す』へ

 大学受験には4技能が取り入れられることから、多くの高校生はもちろん、中学生や指導される先生方も頭を抱えているかもしれません。「英語に関する知識を学ぶ」ことより、「英語を使用する」という教育的な目標を考えると、そういった授業内容になるのは当たり前といえば当たり前なのですが、それが受験で問われるとなるとまた話は違いますよね。

 

苦手な英語をまず何から取り組めばいいのかという質問ですが、「読む」あるいは「聞く」できれば同時に行うことをお勧めします。「読む」も「聞く」も2つのアプローチを使って学習すると効果があると思います。

一つ目は、数ページくらいまでの長さの比較的短めの読みもの、あるいはリスニング教材を使って、そこに登場する語彙(単語と熟語)について辞書等を使用しながら意味、発音、使用例を確認し、また、品詞分解を含めた文法の学習をします。こちらのアプローチではパッセージ全体の意味を理解するというよりは、細かい部分までしっかり精読をします。

 もう一つのアプローチは、比較的簡単に分かるような読み物、あるいはリスニング教材を利用します。辞書を使わなくても何となく全体的な意味が把握でき、全体のストーリーをスムーズに読み進められるような教材を探すといいでしょう。学校の図書館などにもあると思いますし、オンラインでも探せるものもあります。購入しても中古なら比較的安価で手に入れることができます。リスニング教材はオンラインで手に入れられるものの方が便利でいいと思います。こちらは量で勝負です。とにかく、簡単なもので構わないので、内容をサラッと読み進めて、大量に読んだり聞いたりします

 

この二つのアプローチを続けると、「書く」「話す」基盤ができます。時々、「書く」「話す」練習もしてみると、自分の「書く」「話す」力がどれくらいついているのか把握できるので、お勧めです。「書く」時には必ず記録に残るので、あとから見直すことができますが、「話す」練習をするときには、録音しておくと、あとから聞き返して、もう少しうまく話すにはどうすればいいのか自己評価ができます。自己評価をしたら、同じ内容について繰り返し「書く」「話す」練習をすると少しずつ上達します。

 

少しずつで構わないので、毎日継続してください。それが一番効果があります!

 

 

Q.24 「小学校英語について」

 小学生の娘を持つ母です。今年から英語の授業が始まっているみたいで、学校から帰ってくるとその日に覚えた英語の表現(自己紹介の時の英語など)を使って、私に話しかけてきたりします。

すごく楽しそうにしているので、私も娘がもっと英語を勉強できるような環境をつくってあげたいのですが、私自身英語が全く出来ないので教えてあげることも出来ず、お金もかかるので英語の塾はしばらくあとでもいいかなと思っています。

なにか手軽に小学生の娘に英語に触れさせてあげられるような方法はないものでしょうか。よく聞くラジオの講座とかが良いのかなとも思うのですが、どうなのでしょうか?

(さちこ、39歳、主婦)

 

「可能なものは何でも利用して一緒に学習!」

 小学生のうちから英語の授業を楽しんでいるようですね。本当にうれしいですね。「折角楽しんでいるので、もっと英語を楽しく学習できる環境を整えてあげたい」という親心には心から賛同します。

 

塾となるとお金もかかりますし、送り迎えをすることを考えるとそれも負担になってしまうかもしれません。もちろん、塾や英会話レッスンに通えば楽しいこともあると思いますし、それで伸びるお子さんもいらっしゃいます。ですが、ご家庭でできることも無きにしも非ずです。ラジオ講座でも、YouTubeなどの子供向けのチャンネル、ケーブルテレビや衛星放送で視聴できる子供向けの英語番組など、誰かとのやり取りはできないにしろ、「英語を聞く」、「英語を目にする」環境を整えることはできます。

 

誰かとのやり取りをさせてあげたいときには、市や自治体が週一回などで定期的に主催する英会話レッスンなどもあります。不定期に開催されるワンコインレッスンのような比較的安価で受講できるものもあるので、それらを利用したりするのもいいと思います。また、外国人がよく集まる教会などに足を運ぶと、英語を話しているお子さんがいたりします。

 

また、親が話相手になってあげられることはとても素晴らしいことなので、折角ですから、お子さんと一緒に学習していくというのはいかがでしょうか。お子さんにその日に学習した表現などを聞いて一緒に使ってみたり、お子さんの学習内容に限らず、比較的簡単な表現について「1日1つ表現を覚える」などを目標にして少しずつお子さんと一緒に学習してみる。覚えた表現などを視覚化して壁に張ったりカレンダーに書き込んだりして、繰り返し目にしたり口に出したりできる環境を作ると、学習効果が上がっていいと思います。

 

あまり頑張ってやりすぎると折角楽しんでいる英語学習を負担に思ったり、難しいと思ったり、面倒だと思ってしまう危険性もあります。決して無理はせず、強要はしないように、あくまでも自発的に学習できるような環境を整えてあげてください。

 

 

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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