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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.55「英語初心者がまずやることは?」、Q .56「子どもとできる在宅時の英語学習!」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.55「英語初心者がまずやること」

英語が話せるようになりたくて勉強したいのですが、どのような勉強方法がいいかわかりません。英語初心者向けの勉強法はありますか?中学レベルの英語も自信がありません。中学レベルから英語が喋れるようになる勉強法を教えてください。(リョウタ、19歳、会社員)

基本単語と語順を優先的に!

 英語を話したいという気持ちがとても大切ですし、英語教育者のひとりとして、とても嬉しいです。ここでは、初心者向けの練習方法を紹介させてください。

 まずは基本単語を身につけることが重要です。実は英語が苦手という学習者でもすでに5~600語、あるいは中には1,000語近くの英単語を知っていることがよくあります。英会話をスムーズに進めるにはあと1,000語、つまり2,000語くらいはあるとかなり楽にコミュニケーションが取れるはずです。会話を目的とする場合、音で単語を覚えないと意味がありませんから、音声のついた教材を見つけて単語学習をしてみてください。

 単語学習と同時に、英語の構文に慣れることが必要です。ご存じかもしれませんが、日本語と英語は語順が違うので、コミュニケーションでは大きな妨げとなります。英語でコミュニケーションを取る場合には、頭の中で、語順を変えて整理して練習すると、徐々に英語の語順に慣れてきます。

たとえば、

I found a good café near the station.

と言いたいとしましょう。ここでは

私は ⇒ 見つけた ⇒ いいカフェ ⇒ ~の近くに ⇒ 駅

というように、日本語の語句を英語の語順に変えて考えるようにします。すると、最終的には変換するのは単語だけになるので、それほど難しくなくなります。もちろん別の構文もありますが、基本的には、

誰が ⇒ 何した ⇒ 何を ⇒ どこで/いつ 

という順で考えるようにするとうまくいきます。

 もうひとつ押さえてほしいのはis, am, are, was, wereつまりBe動詞です。何かの様子を表すのに使われる表現ですが、日本語では『~です』や『~でした』にあたる表現です。こちらも語順が違い、状態を表す言葉(形容詞)の前にこのBe動詞がきます。

例えば、

This bag is heavy.

のように、

このバッグは ⇒ ~です ⇒ 重い

という語順になります。

 

 これらの語順の違いはとても重要で、英語には「~は」「~に」などの助詞がなく、その代わりに語順がその役割をしています。語順の違いには慣れが必要ですので、毎日5文くらいは文を作って言ってみるといいでしょう。とても簡単な例文でいいので、たとえば、

My sister turned on the TV. (妹が ⇒ つけた ⇒ テレビ)

というような日常にある場面を少しずつ英語にしてみるように心掛けましょう。分からない単語の部分はその部分だけ日本語にして、英語の語順で考えるだけでも練習になります。

 初心者がすぐに英語をペラペラ話せるようになるわけではありませんから、焦らず少しずつ、言える表現を増やしていきましょう。

 

 

 

Q.56「子どもと出来る!在宅時の英語学習!!」

コロナウイルスの影響で、子供が家にいる時間が増えました。そこで、ステイホーム期間で英語の勉強ができたらいいかなと思うのですが、何かいい方法はないでしょうか。子供は中学生1年生なのでまずは英語を好きになってもらいたいのですが。(ゆうみ、43歳、主婦)

 ご自分もお子さんと学習を楽しみましょう!

 中学1年生のお子さんがいらっしゃるということで、今後の英語学習に対する不安も、英語好きになってほしいと願いも、親として当然だと思います。ステイホームのおかげで、家でまとまった時間が共有できる今こそ何かできるチャンスかもしれません。英語学習も例外ではありません。

 こどもが何かを好きになるのにはいろいろ理由があります。単に楽しい、友達と一緒にできる、自分が認められる、難しいことを考えなくてもいい、褒められる、あるいは中には難しいことにチャレンジすることで好きになるお子さんもいらっしゃいます。好みは人それぞれですが、お子さんが続けたい、もっとやりたいと感じる環境を作ることが大切です。いろいろな活動を試してみて、お子さんがもっとやりたいと言い出すものをいくつか探し出すといいと思います。

 ひとりでできる活動もありますが、ステイホームで家族と時間を共有できることを利用するなら、家族で一緒にする活動が望ましいです。その際にとても大切なポイントは、一緒にいる人が楽しむことです。活動の内容にかかわらず、一緒にいる家族が英語を使って何かを楽しんでいれば、必然的に英語は楽しいものだという認識が生まれます。家族全員が、間違えることも楽しんで、大きな学習の妨げとなる「間違いはダメ」という固定観念を作らないように注意してください

 理想的には、お子さんと同じ目線で楽しめるゲームがオススメです。ゲームには勝敗がつきものですが、お子さんが十分勝てるようなものが望ましいです。たとえば、スマホのメモ機能の音声入力モードをオンにして、英単語をどれだけ正確に入力できるか競ってみてください。発音がある程度正確でないと正しく入力できませんので、それを競うのも楽しいですし、誤入力された単語もなかなか面白いものです。

 もう少し発展させて、スマホを英語モードにし、英語の音声認識機能を利用するのもいいでしょう。英語で近くのレストランを探したり、明日の天気予報を聞いたりできます。手本がなくては難しいので、聞きたい内容の手本をインターネットなどで検索して、その発音をまねるように練習するといいでしょう。うまく言えるようになったら、実際に音声認識機能を使って、上手く欲しい情報を聞き出せるか試してみてください。上手く行かないときでも予想外の回答が返ってきたりして、それはそれで楽しいひとときとなります。

 テキストを使う学習は長続きしませんから、ゲーム感覚でいつの間にか30分英語で遊んでいるというような活動が理想的です。いろいろ試してみて、もっと続けたい、もっとやりたいと感じる活動を続けさせてあげてください。

 

 

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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