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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.97「子供に英語を学ばせたい!何から始める?」

 

小学生2年生の息子がいるのですが、彼には将来的に英語ができるようになってほしいです。そこで、英語に興味を持ってもらおうと、日本語と英語が両方書かれている絵本を読ませたり、ディズニーアニメを英語で見せたりしているのですが、あまり効果はないようで、自分から勉強しようとは思ってくれません。英語のできる子にするには、どのような指導をしてあげたらいいでしょうか?小学生から英語を勉強させるのは早いのでしょうか?勉強し始めるのに良い年齢もあるのでしょうか?私も夫も、学生時代は英語に苦労したので、教えていただけると嬉しいです。(まるこ、35歳、主婦)


 

|親の期待通りにはいかないけれど、

お子さんの将来を考えて、色々試してみようと考えている親は大勢いらっしゃると思います。私もその一人でしたし、なかなか親の期待通りには、子どもたちは興味を持ってくれませんでした。子どもたちがやりたいことと、親が将来のために子どもたちにやって欲しいことには、ずれがあるのかもしれません。それでも、親としては諦められないですし、少しでも子どもたちの将来の英語学習に役立てたいので、できるだけ言語習得理論を基に注意点をまとめてみました。

 

|学び始めるのに早過ぎることはない

まず、英語学習を始める年齢についてですが、これには早過ぎるという年齢はないと思います。日本では、外国語活動として英語に触れるのが3年生、必修の教科として取り入れられるのが5年生です。小学1年生から英語教育を取り入れている国も少なくなく、諸外国の英語教育事情を考えると、日本の英語教育は比較的遅く始まるほうになるといえます。どのように学習するかにもよりますが、すでに小学2年生ということですから、これが早過ぎることは全くありません。

 

|家族全員で日常的に使う基本単語から

さて、どこから英語学習を始めるかという疑問が生じると思います。これまで、英語訳のある絵本や人気アニメの英語版を観させたりしたとのことですが、ここには大きなハードルがあったと思います。

まず、英語に全く触れたことのない子どもにとっては、とても簡単に思える英語も全く意味の分からない言語です。少しずつ世の中のことが理解できるようになってきている年齢ですが、その世の中はすべて日本語でできている世界です。そこにいきなり知らない文字や発音の言葉が入ってきては、抵抗する子どもも少なくありません。確かに英語学習はすべて聞くことや読むことによるインプットから始まることが大前提です。しかし、聞いている内容、読んでいる内容が理解できなければこのインプットも何も役に立ちません。そこで、意味を理解できるように、始まりで少し手助けしてあげてみてください。

 

|発音は、リズムのつかむことから

小学2年生であれば、発音の壁は、英語の童謡など、簡単な歌を歌うだけ、リズムに乗って英語をただただ真似するだけなどでまだ十分です。子音や母音が多少間違っていても、全体的なリズムが合っていることに焦点を絞り、リズム遊びをしてみてください。一人でやらせず、家族や友達も一緒に、間違いを恐れずに、あくまでも楽しみながら、リズムを捉える遊びをしてみてください。少しくらい間違えていても、大げさに褒めてあげてください。このリズム遊びをすると楽しいし、褒めてもらえるとなると継続に繋がります。

 

|語彙学習は、日常的に使う基本単語から

語彙の壁ですが、これは、家の中にあるもの、毎日手に取るもの、目にするもの、口にするものなど、極々日常的な単語から少しずつ覚えていくようにしましょう。Picture Dictionary(絵で描かれた辞書)などを利用して、壁やドアなど、家にあるものを英語でどういうのかなどを、一緒に調べたりして、毎日繰り返し家にあるものを英語で言ってみると少しずつ定着していきます。まだ文を作る必要はありません。単語レベルで構わないので、家中の物を家族全員が英語で言えるようにすると良いと思います。これも一人でやらせるのではなく、家族や友達も一緒に楽しみながらゲーム感覚で続けることがポイントです。

 

|日本語訳から単語を増やしていくのも一つの方法

幼少期の子どもの場合、日本語で物事の概念が形成されていないことも多いので、日本語訳を介さずに英単語を身につけていくほうが良いと思います。しかし、小学2年生となると、すでに様々な概念が頭の中に日本語でできあがってきているので、多少日本語訳に頼る方法で学んでも構わないでしょう。たとえば、色や高さや重さなどを表す単語は、その場に物があれば表現しやすいですが、「Greenは何色?」というように英語から日本語に変換するような覚え方でも大丈夫です。大体500語くらい覚えられるまで、根気よく家族や友達と一緒に続けていきましょう。そして、やはりこれも褒めてあげることが重要です。少しでも学習できたら、大いに褒めてあげてください。

こうした方法で基本的な語彙と発音が理解できるようになってから、教材として映像や絵本に取りかかるといいでしょう。最初は短い物から始めるのがおすすめです。YouTubeでも、有名な絵本などがアニメ化された作品が観ることが可能です。英語だけでなく、映像や効果音などで理解を促してくれるので、基本語彙が身についていれば、理解できるはずです。少しでも理解できていれば多いに褒めてあげてください。ときどき、映像の中にあるおかしな点などに気を取られて、話の内容に集中できないこともあるかもしれませんが、継続してもらうことが最も重要です。少しぐらい内容に関係のないことに気を取られて内容に集中していなくても、気にしないで継続してみてください。知らない間に、少しずつ英語の基礎ができているはずです。

 

英語学習に焦りは禁物です。

ご家族全員で楽しみながら、少しずつお子さんのペースで進めてください。

 


 ●担当編集より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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