Q.138「TOEIC700点レベルを目指す人のための単語学習」
現在TOEIC700点を目指して勉強をしています。対策本をやりつつ、TOEICの単語帳も使って学習しているのですが、その単語帳ではスコア別にセクションが分かれていて、最近TOEIC700点レベルの単語セクションまでやり終えました。
単語帳のセクションとしては900点レベルの単語まであるのですが、目標スコアは700点なのでこのまま700点のセクションまでを繰り返し復習していこうと思っているのですが、これは正しい学習法でしょうか。アドバイスをいただけると助かります。よろしくお願いいたします。(MK、26歳、会社員)
文脈を使った語彙学習のすすめ
対策用テキストと単語帳を併用してTOEIC700点を目標として学習されているとのことですが、その学習方法は概ね間違ってはいないと思います。ただ、そのTOEIC対策用のテキストの種類によっては、そのテキストを使用して語彙学習を進める方が効率よく目標スコアを達成できると思います。また、単語帳を使用する語彙学習には注意が必要なので、それについても簡単に説明させてください。
難しい語彙も積極的に学ぼう!
まず、ご存じだと思いますが、TOEICには200点の学習者と300点の学習者の差を見極めるための比較的簡単な問題と900点の学習者と950点の学習者の差を見極めるためのかなり難しい問題が混在します。それは問題だけではなく、語彙レベルにも当てはまります。現在お使いのTOEIC対策用テキストが700点目標の学習者向けのものでなく、いわゆる問題集の場合、せっかくなので、レベルに関係なく問題文に登場する語彙表現をすべて学習するつもりで学習することをおススメします。実際にテストを受験する際、語彙表現はレベル別に整理されているわけではありませんし、難しい語彙表現が含まれていたとしても、それを理解して問題を解く必要があるわけですから、本番で登場するような難しい語彙表現も含めて学習する方が、本番で難しすぎる単語に出くわして困惑することも避けられます。
一方、ご使用の対策用テキストが700点目標の学習者向けの教材の場合、単語帳で学習した語彙表現が理解できるようになっていれば、それほど難しいと感じる語彙が登場することもなく学習を進められると思います。しかし、本番で出くわすはずの難しい語彙表現はそれほど使用されていない可能性もありますので、本番に備えるためにも、単語帳の700点レベルまでの単語が定着したら、次のレベルにステップアップして学習した方がいいでしょう。まだ定着していないようでしたら、あせらず700点レベルの語彙表現を一瞬で理解できるようになるまで繰り返し学習しておくといいでしょう。
文中での使われ方を必ず確認!
さて、単語帳を使用した学習方法の注意点についてですが、一番大事なのは、単語を単体として暗記する方法だけで終わらせないことです。TOEICに限らず、選択肢にある単語などのような特殊なケースを除いて、学習した語彙表現はほとんどの場合文中で使用されています。そして、せっかく学習した単語も文中で使用されている状態で理解できなければ意味がありません。
単語帳には例文が収録されているものも少なくないですが、短い例文を読んだだけでは、文脈の中で使用された単語の学習には不十分ですし、なかなか定着もしません。学習した語彙表現が長文、会話文、スピーチなどに登場した際、瞬時に意味が理解できるようになるためには、実際に長文、会話文、スピーチを使用して語彙学習をする方がより実践的です。
「聞いて即座に意味がわかる」習熟度を目指そう!
そして、なにより重要で見落としがちなのがリスニングの語彙力です。リスニングのテスト中は、音声がどんどん先に進んでいきます。学習した語彙表現の意味を思い出すのに時間がかかっているようでは、知っている語彙表現も聞き逃してしまい、文全体を理解できない恐れがあります。新しく語彙表現を学習した場合、その音が聞こえてきた瞬間に意味が理解できる状態にしなければ語彙学習の成果は出ません。このことを踏まえると、単語帳を使用した語彙学習だけでは不十分だということが分かると思います。
リスニングの語彙力を上げるためには、対策用テキストにあるリスニング教材に収録されているスクリプトなどを使って、知らない単語を学習し、繰り返し聞いて、必ず音声だけを聞いてすぐに意味が理解できるようになるまで学習しましょう。
スクリプトを読んで意味が理解できる、単語だけ見たら理解できるだけでは不十分です。必ず音声だけを聞いて意味が理解できるようになることを目標にして、学習してみてください。
語彙定着は、スペーシングが鍵!
さらに、単語学習にはスペーシングと言って一定の期間を空けて学習することが望ましいといわれています。学習直後には覚えている単語でも、翌日、3日後、1週間後と時間が経てば、徐々に忘れていくのは当たり前の現象です。単語学習は何日かおきに復習して定着しているかどうかの確認が不可欠です。その確認はもちろん単語帳で行うと効率よく感じるかも知れませんし、それでも効果はあるのですが、実際にその単語が使用されている英文の中で理解できているかどうかを確認する方がより実践的です。したがって、リーディングの語彙力ならリーディングの教材を、リスニングの語彙力ならリスニングの教材を用いて、語彙学習をして、確認作業も数日空けて元の長文教材やリスニング教材を使ってしっかり理解できるかどうか確認することという学習していくことが有効的だと思います。
すでに使用している対策用テキストのレベルによって語彙学習の方法を少し工夫すると、本番のテストの対策になりますので、是非高いレベルの語彙の学習も進められるよう頑張ってください。全力で応援しています!
★編集部より★
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