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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.66「発音の上手さは才能か?」、Q.67「東南アジアと欧米への語学留学に違いはあるの?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.66「発音の上手さは才能か?」

あまり発音に自信がないのですが、どうしたら上手くなりますか?このあいだ「発音が上手いかどうかは、最終的には才能による」とある本の中で書かれているのを見つけたのですが、本当でしょうか?(さき)

 

〇発音にも継続学習が不可欠!

 発音の勉強なかなかは上手くいかないですよね。発音は、発音方法を理解したからといってすぐに上手くなるわけではないので、あまり上達した実感がわかずに諦める学習者も少なくないようです。確かに才能があって、それほど苦労せずにネイティブのように発音できるようになる学習者もいますが、かなり少数です。それより重要なのは、練習すれば必ず上達するということです。発音学習に関する研究では、効果的な学習方法をすれば、年齢や才能に関係なく上達することがわかっています。

 発音学習の目標は、ネイティブのような発音ではなく、聞き手が誰であっても聞き取りやすい発音を身につけることです。ネイティブのような発音を身につけられるのは、先ほど言った才能を持った極少数の学習者であって、通常は通じやすい発音を身につければ十分です。現に、英語はネイティブよりもノンネイティブの方が多い珍しい言語です。つまり、ネイティブにもノンネイティブにも伝わりやすい発音でれば、日本人のアクセント(訛り)があっても全く問題ありません。日本人のアクセントがあっても、ゆっくりはっきり話して、通じることの方が重要です。

 

 次のステップは耳を鍛えることです。発音が上手くなるためには、耳を鍛えることが効果的だと分かっています。個別の音(母音と子音)でいえば、かなり多くの音があるように思うかもしれませんが、通じる英語に重要な音に絞って練習するといいでしょう。練習の際には、一音で単語の意味を変えてしまう音(ミニマルペア)、中でも日本人には/l/と/r/ (light vs. right)、/v/と/b/ (vase vs. base)、/ɑ/と/ʌ/(cot vs. cut)などが特に重要です

 これらの音の違いが聞き分けられるようになると、自分が発音する際にも区別できるようになると言われているので、発声できない場所では聞き取りだけでもやると効果があります。

 そして発音で重要なのはリズムです。正しいリズムで英語を話すとかなり通じるようになります。個別の音が間違っていてもリズムが正しければ通じることも多々あるほどリズムは重要です。リズムの学習で重要なのは強弱、長短、高低を捉えることです。単語レベルですと、まず長い単語は音節に区切ることができます。たとえば、internetという単語は、in・ter・netの3つの音節から成っていて、第1音節が最も強く、長く、高い音で発音されます。カタカナのインターネットは7拍で発音する単語なので、リズムを作り出す音の構造が違います。このように英語と日本語にはリズムが全く違うので、これを克服すると通じやすい発音ができるようになります。文レベルになっても、意味を伝える上で重要な単語が強く長く高く発音され、そうでない単語は弱く短く低く発音することを意識してみましょう。

 発音学習も継続が重要ですから、日本語と英語の個別の音やリズムの違いを毎日少しずつ捉えられるような練習をしてみましょう。必ず通じる発音が身につけられます。

 

 

Q.67「東南アジアと欧米への語学留学に違いはあるの?」

最近、短期の語学留学に行こうと思っているのですが、費用の安さからアメリカやイギリスではなく、シンガポールへの留学を考えています。しかし、シンガポールでは英語は第二言語ということもあり、発音が独特なのではないか、いい先生に巡り合えるかなど、不安もあります。やはり、値段は張っても、欧米に留学したほうがいいのでしょうか。(ゆうき、27歳、看護師)

 

〇留学先の国より、話す機会を重視する

 短期の語学留学を考えている学習者は少なくありません。短期の留学とはいえ、費用も安くありませんから、色々な可能性を考慮するべきだと思います。ここでは、考えるべき点をいくつかに絞ってまとめたいと思います。

  ず、語学留学の目的は英語の習得なので、それが達成できればどこに行くかはそれほど問題ではありません。ただ、話すための英語力となると、話す機会を多く持ちたいものです。私の個人的な経験や見聞では、折角高額の費用を支払って英語圏に語学留学しても、日本語で話す機会が多くなります。というのも、大体の語学学校には日本人がいて、そこで知り合った日本人と仲良くなり、結局は日本語に頼る生活してしまい、英語を話すのは語学学校の教室と買い物に出掛ける時のみというようなことになることが多いようです。よっぽど強い意志を持って、日本人とも英語で話す努力をしない限りは、日本にいて、毎日英会話学校に通うのと変わらないような生活になってしまいます

  個人的には、シンガポールへの留学というのは経験がありませんが、シンガポールの現地の学校に通っていた帰国子女を教えたことがあります。彼女はとてもきれいな英語を話しましたし、それほどシンガポールの英語の影響を受けているような印象はありませんでした。発音、語彙、文法に多少の違いはあるものの、言語として英語をしっかり使用している国ですし、語学留学ということで学校に通うようであれば、そこには必ず有資格の教員がいるので、それほど心配することはないと思いますし、シンガポール英語とネイティブの英語の違いが分けるようになったのなら、それはそれで大きな学びだとも考えられます。

 また、将来英語を使用する場面を想定した場合、ネイティブと話す機会よりも、ノンネイティブと話す機会の方が多くなるので、シンガポールのような母国語としてより第二言語として英語を話す人たちと交流できるのは、とても実践的で有意義な留学になります。最近の英語教育における研究では、ネイティブの英語のみを使用して学習することを理想としないという意見も多く出てきています。

  最後に、やはり最重要視したいのは、話す機会です。語学留学というような学校に行く場合は、学校だけでなく、学校以外で英語を積極的に使うのが最も効果的です。折角日本語が通じない国に行くわけですから、極力日本語を使うことを避けて、英語で生活するように努力してみてください。必ず結果が伴います。頑張ってください!

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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