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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.131「一度高めた英会話力を維持する方法!」

三ヶ月ほど前に、フィリピンに2週間ほど短期の語学留学に行きました。授業は、学びが多くて、苦手だった会話やリスニングもレベルが上がったと思うのですが、帰ってきてみてしばらく経った今は力がすこし落ちていて、正直なところ勉強に対するモチベーションも下がってきています。現地にいた頃は、結構楽しく学べていたのですが、一人で学ぶのは向いてないのかなとも思います。今の勉強としては、TOEIC問題を解くのが中心です。

将来、英語を使う仕事がしたいので、会話力を上げたいと思って、英会話カフェなども考えたりしているのですが、効果はありますでしょうか。一人でも学べる良い方法があれば教えていただきたいです。(みゆき、21歳、専門学生)


 

聞いて理解できる表現を、実際に使えるように

短期留学でせっかくレベルアップできたと実感した会話力やリスニング力を上げたいですよね。同時に、現地と同様のモチベーションを維持するのもやはり簡単ではないと思います。それでも英語を使用する仕事に就きたいという目標があるので、ここからさらに会話力もリスニング力もレベルアップしたいところです。そこで今回は、それほど継続が難しくない学習方法を紹介したいと思います。

まず、会話力のレベルアップのための方法の提案です。日本にいながら英会話の相手を見つけるのは難しいと思います。もちろん、英会話教室や英会話カフェに通うなど、定期的にどこかに行って、会話をする練習をするというのは、できることであれば実践してほしいです。ただ、英会話教室や英会話カフェに通っても、せいぜい週に一回程度の頻度ですから、それだけでは練習量が不足しています。特に実践の頻度が足りません。長時間の会話練習を確保する必要はありませんが、短時間でもいいので毎日会話ができるのが望ましいです。ですから、英会話教室や英会話カフェに加えて、別の方法で毎日会話の練習をしてください。

 

SNSで同じ目標を持つ人を見つけてみよう!

さて、肝心の会話相手探しですが、いくつかの方法が考えられます。たとえば、SNSで同じような目標を持った人を探すことです。将来英語を使用する職業に就くことを目指している方は大勢いらっしゃいますし、SNSなどを通して、共通の目標を持つ人を探して、一緒に練習してみるのもいいでしょう。SNSでは通話機能を利用して、気の合う練習相手と英語だけで会話するなど、実践的な練習をするといいでしょう。また、SNSを使えば、日本語を話せない外国の方と知り合うことができます。趣味などがあれば、共通の趣味を持つ外国人と知り合いになって、SNS上で会話することもできます。

ただ、SNS上にはいろいろな人がいます。コミュニケーションをしていく中で、場合によっては不快な思いをすることも考えられます。プロフィールやメッセージのやり取りで、すこしでも相手に違和感を持つことがあれば、そこでやり取りを止めるなど、注意して使用することが大切です。

 

生成形AIを会話練習に使うのも有効!

もう一つは、実際に声に出して練習するわけではありませんが、生成系AIを利用する練習方法です。生成系AIは、こちらが投げかけた質問に答えてくれます。このやり取りをすべて英語で行えば、質問する練習になりますし、AIが使う英語表現の勉強になります。表現で分からないことがあれば、どういう意味か質問すれば答えてくれますし、一対一で行う家庭教師のように利用できます。こちらは声に出さない練習になるので、少なくとも自分が書く表現は声に出して練習したいですし、AIが書いてくれた表現は、是非音声に変えて聞き取りの練習をしましょう。文字を読み上げてくれる機能はWORDにもありますし、そのようなウェブサイトもあるので、フル活用してみてください。

 

理解できる表現と使える表現の差を埋める!

また、リスニングの練習をすると、そこから表現が学べるので、ゆくゆくは会話で使用できる表現を少しずつ身につけることができます。すでに実感しているかも知れませんが、聞き取りで理解できる表現と、使用できる表現には差があります。理解はできても使えない表現があるのが当然の状態で、理解できるという体験を複数回得て、やっと使用する準備ができます。したがって、それぞれの表現に対して、聞いて理解するというのを複数回経験する必要があります。リスニングを通して表現を効率よく学習するには、レベルのあった教材を使用することが重要です。たとえば、英検などは各級で出題される問題の難度が違うので、目標の級の教材を使用すれば、自分のレベルに合った練習ができます。スコアでレベルを示すテストの場合、高得点者も初級者も、解く問題が共通なため、どの問題が自分のレベルに合っているのか判断するのが難しいといえます。いずれにせよ、教材選びとしては、一度聞いてみて、およその理解できるものがいいでしょう。

 

教材は自分にとって適切なレベルを選ぼう!

教材といっても、出版されているテキスト以外でも全く問題ありません。テレビドラマや映画、ポッドキャストなど、最近では無料で聞けるオンラインの素材が無数にありますから、ご自身の興味のある内容のものを選ぶのが理想的です。ただ、適切なレベルのものを使用したいので、一度聞いてみて理解が難しすぎる場合、別の題材を聞いてみるというように、色々試してみて、理解のできるものを探してみてください。理解できる素材が見つかったら、一度しっかり聞いてみて、内容を理解した後、その中で使用されている表現を学びましょう。テキストを使用しているのであれば、スクリプトなどがありますから、それでもいいですし、動画配信サイトなどでも、正確ではありませんが、英語の字幕を利用すれば、ある程度の表現を学ぶことができます。このようにして、理解できていた表現をしっかり明確しながら、表現学習を進めていくとさらに効率よく学習できます。

 

シャドーイングで口に出す練習を!

ゆくゆくは会話で使用することが目的なので、口に出す練習も必要です。ここでは表現の学習と同時に、シャドーイングをするのがおススメです。口に出す練習も含め、表現の学習をひと通り終えたら、音声を流し、1~2秒遅れですべての音声を真似るという練習をします。これがシャドーイングといいます。これは簡単にいえば完全コピーを目指す練習です。表現が正確に聞き取れて、一字一句間違いなくそれを口に出すことができて、音声と同じスピードで子音、母音、抑揚などの発音もできないとこのシャドーイングは成功しません。したがって、表現の学習を含め、聞き取りから発音まで総合的に練習できる優れた練習方法ですので、是非試してみてください。

いずれの方法も継続が重要なので、継続できないような無理な分量の学習することを設定するのではなく、毎日必ずできるような少量でいいので、毎日学習してみてください。そして、就職に生かせる英語力を身につけてください。応援しています!

 


●編集部より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!


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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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