Q.90「英文メールをさらっと書くコツ」
この連載は、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。 英語お悩み相談室 質問受付フォーム |
Q.90「英文メールをさらっと書くコツ」
仕事で海外の取引先とやりとりすることがあるのですが、英語でメールを作る時に説明し過ぎてしまい、なかなかネイティブのようにさらっと書くことができません。書く際にまず日本語で考えているのが原因だと思うのですが、上手く書けるようになる方法はありませんか?加えて、コロナ禍のやりとりで、文末などでちょっとした気遣いを表す英語表現があれば教えて欲しいです。(みさき、28歳、会社員)
決まり文句を使って、端的に目的を伝えましょう!
仕事上で海外の方とやり取りをする場合は、実は書くことが圧倒的に多いですよね。時差がある以上、海外にいる方とのやり取りはライティングの方が多くなるような気がします。それを考えると、ライティングにそれほど時間を掛けてもいられませんから、効率良く英文を書きたいところです。
まず、メールを書く上では、受け取る側の人のことをよく知ることが重要です。これまでのやり取りの中で、お互いが知っている内容については再度説明する必要がないので、避けるのが良いでしょう。
はじめての場合には該当しませんが、すでにやり取りをしている相手の場合、共通の話題である企画や製品についてはそれぞれの企画名や製品名などがあるはずですので、それらを使用して再度企画や製品の説明をする必要はありません。また、同僚などの場合には、共通認識のある頭文字を使った略語も使えます。
要件が複数ある場合は、ひとつに絞る
次に重要なのは、ひとつのメールではひとつの要件にするということです。送信先がひとりの場合、どうしてもひとつのメールの中に色々な情報を入れがちですが、要件が二つある場合にはメールを二回に分けて送る方が相手に親切です。たとえば、これまで共同でやり取りしていた内容の報告をするメールとこれから始めようとする企画のメールは別々に送るようにしましょう。ただし、一つの案件の中に、複数お願いすることがある場合には、その複数のお願いが何かを明確にするため、箇条書きにすることをオススメします。相手はその箇条書きをみて、何をすべきか整理しながら読めるので助かるはずです。
件名で使いたい表現
要件を分ける分けないには関係なく、件名で要件を明らかにすることが重要になります。期限などがあるような内容のメールの際には、件名に依頼する内容をひと言で表現し、期限も記すと親切です。相手が、メールを開かずに内容と期限を把握できるというのは、相手の仕事の効率に配慮した気配りで、ありがたいと感じてもらえます。「長すぎず短すぎず」が鉄則で、要件を数語で伝えるようにします。
たとえば
Urgent: Questions About Accommodations for Members From New Local Office in New Delhi
や
Shipping Information
などは長すぎるあるいは短すぎて、あまり配慮があるとは言えませんが、
Accommodations for New Delhi Members by Jul 7
や
Your XYZ Order Delivery Sep 9
とすれば要件も期限も数語で把握できるようになります。
メール本文でよく使われる表現
さて、メール本文の書き方ですが、挨拶は端的に相手の名前を使って書き、その後、自分と相手の関係を分かりやすくするための一文を書きます。
たとえば、
Dear Mr. Murphy:
Thank you for your help with ○○○.
あるいは、最近あまりやり取りがない場合には、よくある決まり文句で
I hope this finds you well.
というのでも構いません。さらには、最近よく頻繁にやり取りしている場合には、この一文は省略しても問題ありません。
ここまでは、相手もそれほどしっかり読むこともないのですが、次の一文が重要です。ここで端的にメールの目的を明確に簡潔に伝えることが大切です。
たとえば、
Can you reschedule the budget meeting?
や
Please make an official request by next Friday.
などのように、最も重要なメッセージを最初に書きましょう。相手にどの要件のことを話しているのかさらに詳しく説明が必要な場合には、この後に続けて書くといいでしょう。相手が知っていることはできるだけ省略して、必要な情報のみを端的に書くことが大切です。
期限までにお願いする依頼内容をメールの最後の方で念を押すこともよくありますが、内容が明確でないので念の押し方としてはあまりよくありません。
Could you schedule a meeting and send the information to all members by Monday at 10?
のように、具体的に依頼内容を書いた疑問文にすると、相手からの確認の返信も期待できます。
返信が不要な場合には、
Please schedule a meeting and send the information to all members by Monday at 10.
というようにすれば大丈夫です。依頼内容が具体的なのでしっかり念を押せます。
最後に結びの言葉は必ずしも必要ではありません。書く場合には、決まり文句で構いません。
たとえば、
Thank you for your advice.
I look forward to your feedback.
Best regards,
などをメールの内容によって使い分ければ十分です。
コロナ禍で気の利いたひと言についてご提案ですが、相手の状況がよく分からない場合には無難なひと言を添えるのがいいと思います。Stay safeという言葉がよく使われていますが、相手の方や身近な方の感染などの可能性を考えると、safeでない状況を示唆しているとも言えるので気になるようでしたら避けてもいいと思います。
たとえば、
Take care,
All the best,
などは相手の状況にかかわらず無難に使える表現ですし、どのような状況下でなくても使えるので便利です。
心遣いを表して、端的に相手に目的を伝えることが最も重要なポイントなので、書き出しの挨拶、締めなどは同じパターンで問題ありません。内容は文章で長々と書かずに要件に関係のある内容を整理して、できれば箇条書きにすると簡潔に書けると思います。内容を自分で整理することで書くのも早くなります。日々の生活の中で、内容を端的に整理してから書く練習をしてみてください。必ず効率良くメールが書けるようになります。