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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.121「新入社員必習!ビジネス英語の基礎表現!!」

4月から社会人になるのですか、勤め先は外資系企業で、英語を使う機会も多いと聞いています。英語で電話応対したり、メールのやり取りや、英語で会議をすることもあるようです。私自身、英語はそれほど苦手ではないのですが、ビジネスで使う英語となると、どんな表現を使えばいいのか、わからないことが多いです。最低限覚えておくべき表現や、勉強方法など教えていただけたら嬉しいです。


 

仕事上の表現は実践で学ぶ

4月から社会人になるとのことおめでとうございます。外資系企業でのお務めだとたしかに英語を使用する場面も多いでしょうし、それだけ不安もあると思います。基本的には、これまで学校で学んだ英語や各種検定対策で触れた英語を使えば問題ありません。しかし、何しろ経験がないことですから、まず、電話応対、メール、会議で使える便利な表現と、どのように継続学習していけば良いのかを紹介させてください。

 

電話応対に必要な表現

まず、電話応対です。電話がかかってきた際、日本語では「もしもし」と電話に出るのはNGですが、英語では通常の電話と同様Helloで構いません。その後、自分の名前と会社名を名乗ります。

Hello. This is Hikaru Takahashi from Pineapple Company.

(はい、パイナップル社の高橋光です。)

 

次の決まり文句ですが、

How may I assist you?

(どのようなご用件でしょうか?)

 

 と、比較的フォーマルな表現で相手の要件を聞きます。How may I help you? でも大きな問題になることはあまりありませんが、相手によって感じ方が違うのでフォーマルな表現の方が無難です。電話をかけてきた相手は、要件を伝えると同時に名乗ることが多いのですが、そうで無かった場合には、こう答えましょう。

May I ask who’s calling, please?

(どちら様か伺ってもよろしいでしょうか?)

 

そして、一度名乗ってくれたのに、聞き取れ無かった場合には、againを加えて、

May I ask who’s calling, again, please?

(もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか?)

 

と聞いてみるといいでしょう。

 

そして、馴染みのない名前や会社名ともなると綴りが分からず困ることも少なくないので、綴りを聞くことも多くなります。そのような場合には、

Could you spell that for me, please?

(綴りを教えていただいてよろしいでしょうか?)

 

と聞いて綴りを書き留めておきましょう。

 

新人に限らず、電話で聞かれた要件に、すぐ回答できることはそれほど多くありません。その際何かを調べたり確認したりする必要があるので、

Can you please hold for a moment while I check on that?

(確認しますので、しばらくそのままでお待ちください。)

 

と言って、相手に待ってもらうようお願いするのがいいでしょう。また、要件に対応する他の部署などに転送する場合は、

I’ll transfer you to the department that handles that.

(担当部署にお繋ぎいたします。)

 

と伝えてから転送しましょう。

 

最後に、電話での要件が全て終わった際には、しっかり挨拶をして電話応対を終了しましょう。

Thank you for calling. Have a great day!

(お電話ありがとうございました。良い一日をお過ごしください!)

 

というように気持ちよく挨拶をして電話を切ればいいでしょう。

 

会議の参加者として使える英語表現

次に会議で使う表現ですが、会議に参加する場合にはそれほど特別な表現は必要ありません。これまで学校で議論する際に使用してきた表現で十分です。たとえば、他の参加者の報告などを聞いて異議がないことを伝える以下の表現、

I totally agree with you, Ms. Watanabe.

(大賛成です、渡辺さん。)

 

やアイデアを提案するための以下の表現

I think we should consider the clients’ perspectives.

(クライアントの視点を考慮すべきだと思います。)

 

もおさらいしておくといいでしょう。

少し注意が必要なのは、異論がある場合です。英語ではどのような意見も直接的に言っても構わないとよく勘違いされますが、反対意見がある場合には、ちょっとした譲歩の表現を入れた方がいいでしょう。たとえば、

That’s a great idea, but have you considered the cost effectiveness?

(それは素晴らしい案ですが、費用対効果についてはどうでしょうか?)

 

などのように、まず相手の意見を認めることが重要です。

時にはもっと詳しく、

While I agree with you on the color scheme, I think we should discuss the cost further.

(配色については賛成なのですが、コストについてはさらに検討すべきだと思います。)

 

のように、賛同する部分と異論を唱える部分について明確にするのも、会議を円滑に進めるために覚えておくといいでしょう。

 

会議の取りまとめ役にとって便利な英語表現

入社してかなり時間が経ってからになるとは思いますが、会議で司会のような役割を担う場合には、いくつか便利な表現があるので、ここで紹介させてください。まず、最初に参加者全員に集まってくれたことを感謝するひと言を述べるのがマナーです。

Thank you all for being here today.

(皆様お集まりいただきありがとうございます。)

 

のような簡単な挨拶で構いません。集まったメンバーがお互いを知らない場合には、簡単な自己紹介をしてもらうのがいいでしょう。英語では、本人を目の前にしてheやsheという代名詞を使用するのは失礼になることもあるので、お互いが名前で呼び合えるようにするといいでしょう。

Could everyone briefly introduce themselves?

(皆さん手短かに自己紹介していただけますでしょうか?)

 

とお願いすれば十分です。次に会議の目的を伝えることが重要です。特に何を終えることが必要なのかを知りたい参加者が多いはずなので、以下のように、

By the end of today’s meeting, we need to decide on the product design.

(本日の会議中に商品デザインについて決定する必要があります。)

 

あらかじめ話し合いにおけるゴール設定をするといいでしょう。そして、議題の紹介ですが、これは単純に、

First, we will be discussing … 

(はじめに・・・について議論します。)

After that, we will be going over …

(その後、・・・について確認します。)

Then, we will move on to …

(それから、・・・についてに移ります。)

Finally, we will talk about …

(最後に、・・・について話し合います。)

 

のように、会議全体の予定を紹介すれば問題ありません。そして、会議中に司会者が参加者の意見を求める場合がよくありますが、その場合には、

I’d like to hear your thoughts on this matter, Mr. Hayashi.

(林さん、この件についてのお考えをいただけますか。)

 

のように促すといいでしょう。議論を続けていると、たとえば、その場に検討する資料が全て揃っていないなど、どうしてもその会議内で議論を終えることが出来ないことも少なくありません。その場合には、その件を次回の議題に上程することが必要です。その場合には、

I suggest we table this discussion for the next meeting

(この議論は次回の会議に上程したいと思います。)

 

のように、議論を次回の会議で続けることを伝えて次の話題に移りましょう。そして、会議を終える際には、会議の内容を簡単に要約するといいでしょう 

Before we adjourn, let’s summarize the key points.

(閉会する前に重要ポイントをまとめましょう。)

 

といって、自分のメモなどを頼りに、大まかに会議での決定事項や未決定事項などを伝えて会議を閉会するといいでしょう。

 

メールに便利な表現集

次に、メールで使える表現です。まずメールの書き出しは当然相手の名前を書きます。

Dear Ms. Johnson,

(ジョンソンさんヘ)

 

そして、自分が書いているメールが一連のやり取りの始まりとなる場合は、本文の最初に

I hope this email finds you well.

(お元気でお過ごしのことと存じます。)

 

という決まり文句で書くのが無難でしょう。相手から返信を受け取った場合には、

Thank you for your prompt response.

(早速ご返信いただきありがとうございます。)

 

という書き出し文をよく使用します。

次にメールを書いた理由や目的を述べるのが一般的です。例えば、 

I'm writing to follow up on our previous conversation regarding the new design.

(先日お話した新デザインについてフォローアップさせていただきたくメールいたしました。)

 

のように、冒頭近くにメールの目的を簡潔に書くことが、多くのメールを受け取る相手への思いやりだと言えます。さらに、メールのやり取りではファイルなどを添付することがよくあります。その場合、 

Please find attached the document you requested.

(ご依頼いただいた文書を添付いたしました。)

 

という表現で添付ファイルの内容を簡単に説明するといいでしょう。そして、本文の最後の方で、 

Please let me know if you have any further questions or concerns.

(ご質問や気になることがございましたらお知らせください。)

 

というひと言を添えるのが一般的です。そして、相手に返信して欲しい場合には、最後に 

I look forward to hearing from you soon.

(ご返信いただけると幸いです。)

 

という表現でその意思を伝えましょう。

 

いずれのシチュエーションでも、実際に仕事が始まれば、先輩や同僚が使用している表現に日常的に触れることになるので、毎日のように表現の学習になります。普段からどのような表現がよく使用されているのか、どのような場面状況で使用されているのか、またやり取りの相手との関係性が親しいのかどうか、なども含めて観察を続けることが、上達への近道となります。教科書を使用して覚えるより遥かに実践的ですぐに使えるので、ぜひ仕事中も学習のチャンスを逃さないようにしてください。これまで学習してきた英語の知識や表現を上手く使って、仕事上出くわした表現を使えるように少しずつ増やして行きましょう。

 


●編集部より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。英語学習についてのご質問はもちろん、留学のご質問なども受け付けております。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!


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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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