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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.108「ポッドキャストのシャドーイングで、リスニング力アップ!」

主にシャドーイングを中心に英語学習をしています。今は、市販のTOEICや英会話の教材を使用していますが、生の英語が学びたいので、Podcastなどでおすすめの番組などありましたら、教えて頂きたいです。(ふじの、37歳、主婦)


 

TOEIC問題のシャドーイングも勉強になる!

シャドーイングを中心に学習をされているということは、本格的に英語に取り組まれている様子が分かります。大変嬉しいです。

これまで、市販のTOEICの教材や英会話の教材を使用されていたということですが、「それでも、かなりの効果があったのでは?」と想像します。TOEICで使用される英語は、実践的な英語表現に近いものが多く、シャドーイングを通した発音学習もかなりの効果が期待できそうです。

TOEICが実践的な英語に近いとはいえ、教材の収録時に話すのはプロのナレーターです。もちろん、TOEIC対策用の教材で使用される英語表現は綺麗でとても良い教材ですが、プロのナレーターではない方が話す英語でもシャドーイングすると、リスニング力はさらにアップしていくでしょう。

 

Podcastの豊富なトピックを通して英語を学ぼう!

Podcastと言うと、英語学習用というわけではありませんが、私が個人的にSpotifyを使用しています。無料版を使用しているので、コマーシャルも放送されますが、英語の番組を聴いているときにはコマーシャルも英語になり、それも練習の一つになります。

Spotifyに限りませんが、まず重要なのはご自身の興味のある分野のものを聞くことです。継続学習のためには、それが最も効果的だと思います。私の場合、TED Talksに興味があるので、キーワード検索でTED Talksと入力し、ヒットしたいくつかの番組を聞いています。TED Talksはプレゼンターによって、様々なトピックについてのトークを聞くことができ、あまり飽きることなくほぼ毎日聞いています。しかも、あまり内容的に不適切な物に出くわすことがないので、比較的題材選びには困りません。

 

ただSpotifyを利用した場合、スクリプトがないのが難点です。シャドウイングを用いた学習をするにはスクリプトがあったほうが良いと思います。

幸いにTED Talksの多くはYouTubeでも視聴することができ、YouTubeの自動生成の英語字幕機能をオンにすることで、100%ではありませんが、ある程度正確なスクリプトが手に入ります。

 

自動生成字幕の出るYouTubeもおすすめ!

もちろんはじめからYouTubeで動画を検索するのも便利です。YouTubeの検索バーにご自身が興味のあるキーワードを入力すると、関連する動画が数多く表示されます。一つ動画を見ると、関連する動画が表示されるようになるので、似たようなトピックの動画を簡単に探すことができます。

もちろん、すべてが英語とは限りませんし、英語の動画だからといって、かならずしも英語を話している訳ではありません。音声ではなく、文字と音楽だけで構成されている動画も少なくありません。一度再生してみて、使えそうな物を選びましょう。また、YouTube上の動画には、内容が学習に相応しくないものが含まれていることもあるので注意してください。比較的真面目なキーワードを使用して検索するのがオススメです。

 

シャドーイングは、耳を最大限活用する学習方法!

すでにシャドーイングを用いて学習されているので、ご存じだとは思いますが、最初に字幕やスクリプトは見ない方が良いと思います。まずは聞いて、意味が理解できることが最優先です。

分からない箇所があった場合、その箇所を繰り返し聞くなどして、出来る限り自力で内容を理解するようにしましょう。何度聞いても理解出来ない場合は、その表現を知らない可能性が高いです。字幕やスクリプトに頼って、理解出来ない箇所の表現の学習をしましょう。それが終わったら、再度音声に戻り、音と表現、そして意味が合致するように繰り返し聞き込みましょう。

 

耳で聞くだけで意味がすんなり理解できるようになったら、いよいよ声に出す練習です。最初は字幕やスクリプトを読みながらでも構いません。音声の後にしっかりついて行くように、音声の完全コピーを目指しましょう。

個々の母音や子音の発音はもちろんですが、イントネーションやリズム、間の取り方については、元の音声と100%同じになるようにしっかり練習しましょう。繰り返し練習し、字幕やスクリプト無しでもできそうになったら、是非音声だけを頼りにシャドーイングをしてみましょう。

 

発音に慣れたら、オーバーラッピングに挑戦!

また、シャドウイングに慣れてきたら次のステップとしてオーバーラッピングに挑戦してみましょう。シャドーイングは1~2秒遅れで音声を完全コピーするものですが、オーバーラッピングは100%同時に発音する練習方法です。スクリプトを見ながらでもいいので、元の音声とご自身の声が100%重なって発音できるよう練習してみましょう。

 

自分の発音を録音し、元音声と比較しよう!

シャドーイングでもオーバーラッピングでも重要なのは、ご自身の声を録音してみることです。スマートフォンなどの録音機能を使用して、ご自身の声を録音し、それを聞いてみましょう。また、元の音声と同時に再生してみると、どれくらい完全コピーができているのか確認しやすくなります。このプロセスを繰り返すことで、発音が上達していきます。

 

シャドーイングにしてもオーバーラッピングにしても、話している英語の内容を伝える気持ちで行わないと意味がありません。英語内容を、自分の言葉として話すことが大切です。それを念頭に、聞き手にメッセージをしっかり伝えるように発音してください。それによって、英語表現も発音も身についていきます。ご自身の好きな内容のトークを探して、それが自分の声で言えるようになるよう、応援しています!

 

 

★編集部のおすすめPodcast★

Fresh Air(https://www.npr.org/podcasts/381444908/fresh-air

アメリカ・フィラデルフィア発のインタビュー番組。多様なゲストとホストであるテリー・グロスのインタビュー力が冴える充実した内容が魅力です。

英語のレベルは難しく感じられるかもしれませんが、市販の英語教材の音声とは異なる、実際に話されている英語に慣れるのに最適な番組です!

 


●編集部より:英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!
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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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