Q.57「実用的な英語力を身につけるために必要なこと」、Q.58「発音が上手くなる、とっておきのコツとは?」
この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。 |
Q.57「実用的な英語力を身につけるために必要なこと」
私は、中学の頃から英語の勉強を始めて、現在までに英検2級にT O E I C735点を取得しています。ですが、字幕なしで英語もわからないし、洋書も読もうと思うのですが、辞書ばっかり引いていて、英語ができる感じではありません。やっぱり本当の英語力を身につけるには、四六時中英語に触れる環境、それこそ留学みたいな刺激が必要なのかなと思うのですが、留学出来るほどの費用は捻出できません。日本にいて実用的な英語力を身につける方法はないのでしょうか?(久美、21歳、大学生)
実用的な英語を身につけるには、実用的な英語対策をする
実用的で使える英語を身につけたいですよね。英語圏に住んで、英語漬けの毎日を送ると日常で使われる英語表現を耳にすること、目にすることも多くなるので、確かに実用的な英語を学ぶ機会は増えますが、日本にいながらでもできることはあります。まず、実用的な英語を身につけたいというそのやる気が必ず目標達成に役立つはずです。
ここで、これまでの英語学習についてすこし振り返ってみてください。英検を受験したときには英検のための練習問題を解いて練習し、英検に出題される問題に慣れる努力をしたり、TOEIC受験の際にはTOEICのための練習問題を使って、TOEIC特有の問題タイプに慣れるような学習したと思います。逆にいえば、TOEIC受験のために英検の練習問題を使って学習したり、英検受験のためにTOEICの問題集で対策をする人はあまりいません。
同様のことが実用的な英語にも言えます。つまり、実用的な英語には実用的な英語のための対策をしなければなりません。字幕なしで英語のドラマを観るには、英語のドラマを観て練習する必要がありますし、洋書の本を読むためには、洋書を使って練習する必要があります。洋書は、著者が言葉を巧みに使って書いているので、単語のレベルも高く、もう少し上級者になってから挑戦してみてください。ここではまずドラマを使った実用的な英語対策の学習を紹介させてください。
ドラマは、実用的な英語学習にとても役立ちます。日常で英語を使用することを目標にする場合には、映画ではなくドラマが望ましいです。また、ドラマでもSFや歴史物などの日常ではあまり使うことのない表現が多く登場しそうな作品より、日常の生活でありそうな話を面白くしたりロマンティックに描いた作品を選ぶといいでしょう。
これという作品の中から、英語字幕付きのものを選びましょう。英語字幕があることで、辞書を使って新しい表現の学習することもできますし、聞き取れない表現についても字幕で確認することができます。また、何度も同じ表現が出てくると、辞書なしでも意味が分かるようになってきます。その場合日本語に訳せないこともよくありますが、それは、日本語に頼らず英語を学べたという証拠です。この日本語を使わずに英語を学べたときには、その表現を使うことができるようになっていることがよくあります。それはその英語を学習ではなく習得しているからです。
この方法は地道ではありますが、検定対策を乗り越えてきたのなら必ずできるはずです。少しずつ続けていけば、分かる表現、使える表現が増えてきます。是非、継続して頑張ってください。
Q.58「発音が上手くなる、とっておきのコツとは?」
英語の発音に自信がないのですが、どうしたら上手くなりますか?N H Kのラジオ講座の講師の発音に比べると、自分はすごく下手くそだなあと毎回思ってしまうのですが、何か上手くなる秘訣があれば教えてください。あと、スラスラ英文が組み立てられるようになる練習方法があれば教えて頂きたいです。(みか、17歳、高校生)
発音は「高低、強弱、長短」を意識し、スラスラはチャンク単位で学習しましょう!
きれいな発音で英語を話す人はかっこいいですよね。ラジオ講座の講師ともなると、相当きれいな発音で話すのだと思います。
ある程度大人になってきてから発音を身につけるためには、アプローチを変える必要があります。幼いこどもであれば、耳だけに頼って発音学習ができるのですが、それだけでは不十分です。なぜなら、日本語を流暢に話せるようになった大人の日本人には聞こえてこない音、特に子音と母音が英語には存在するからです。
とはいっても、何か違うということを感じることはできます。たとえば、/l/と/r/の発音の学習をすれば、redとledという単語を聞き比べたとき、全く同じ音ではないことを感じることはできます。ただ、聞き取りばかりを繰り返してこれらの発音が良くなるのには時間がかかります。現代では、それぞれの子音、母音の発音の仕方について、比較的容易に調べることができます。舌の位置、形、唇の形、口の開け方など、意識しながら、少しずつ子音と母音を正確に発音する練習をしてみましょう。時間がかかりますが、きれいな発音を目指すなら避けられません。
そしてなにより、音の高低、強弱、長短に注目するべきです。それぞれの単語の中にも高低、強弱、長短がありますし、文やフレーズレベルになると、さらに高低、強弱、長短が重要になってきます。実は、この高低、強弱、長短は日本語にも存在しますが、差が小さいのが特徴です。つまり日本人の耳は、高低、強弱、長短の小さな差を聞き取れるということです。飴と雨の違いなどがこれに当たりますが、英語ではこの小さな差を作り出すだけでは、不十分です。
高い、強い、長い音をしっかり高く、強く、長く発音して、低い、弱い、短い音を大げさに低く、弱く、短く雑音のように発音して、たとえば
I’m happy to go back to school again.
でしたら、
アイムハッピトゥゴウバットゥスクーラゲイン
のようにリズムよく発音してみましょう。
また、英文をスラスラ組み立てるコツですが、よく使う表現はチャンクレベルでセットにして一つの表現として覚えて使うことが望ましいです。例えば、
I went to the park to play badminton with my family.
という文を、
I went to the park / to play badminton / with my family.
という3つのチャンクに分けたとして、それぞれのチャンクは一つの表現として扱います。これらのチャンクは順番を入れ替えても、他のチャンクと入れ替えても使える表現です。これを繰り返すと、スラスラ英文を組み立てることができます。重要なのは、このチャンクのレパートリーを増やすことです。そうすれば、レパートリーにあるチャンクを使って、様々なことが言えるようになります。
発音もチャンクも地道な学習ではありますが、継続すれば少しずつ上手くなります。頑張ってください。