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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.35「英語の勉強はまずは単語?」、Q.36「英語を使って専門科目学ぶためには?」

Q.35「英語の勉強はまずは単語?」

 今年から新しく英語の勉強を始めようと思っています。英語に親しみのある知り合いにいろいろ聞いて、まずは英単語を覚えたほうがいいと言われるのですが、学生時代に単純作業的に物を覚えるのが好きではなかったこともあり、躊躇してしまっています。でも、やはりまずは英単語を覚えたほうがいいのでしょうか?楽しく英単語を覚える方法は何かないものでしょうか?どうしたら単語と意味は記憶に残るのでしょうか?(たろう、32歳、会社員)

 

単語は文章を読みながら覚えましょう!

 社会人になってから英語学習を再開されるとのこと、本当に嬉しい限りです。世の中のグローバル化によって英語が必要になり、英語が話せると便利なシチュエーションもかなり増えてきたとは思います。ですが、英語学習となるとやはり悩みは絶えません。お知り合いの英語が得意な方のおっしゃる英単語学習というのは、間違っていないと思います。実際に英語学習には語彙学習が欠かせません。

 ただ、単語テストのために、単語とその対訳を覚えるという作業はそれほど英語力アップにはつながりません。日常の英語使用において、そのような問いはないからです。単語カードを作成して、単語を覚えたりする方も多いとは思います。けれど、英語を使用する際に、そのような英単語の使い方をする方はいないので、ただ意味と訳を覚えることを目的にしていると、実際に使える語彙力は身につきません。そのため、読んでいるあるいは聞いている文章中に登場する単語が理解できたりすること、話したり書いたりするときにその単語が使えることを目的にして、語彙学習を進めていきましょう。

 効果的な語彙学習でお勧めするのは、文章を読むことです。しかもできるだけ多く読む「多読」をお勧めします。おそらく現段階で英語の語彙力はゼロではありませんから、簡単な英文ならある程度読み進められると思います。本を開いたときに知らない単語が5~7語くらいに収まる程度のレベルの本を読み続けると、その知らない単語が自然と身につき、日本語に訳すことはできなくても意味の解釈ができるようになり、また話す、書く際に使えるようになると言われています。Graded Readersというシリーズで自分のレベルにあった本の中から興味のあるものを読んでいき、続けていくことで少しずつレベルも上がっていきます。

  知らない単語が登場した際に調べたくなりますが、この学習方法では調べる必要はありません。もちろん調べることは悪いことではありませんが、ストーリーを読み進めていくと、自然と知らない単語の意味を正確に予測することができるようになりますその繰り返しで、その単語が自分の語彙となっていくのです。それは日本人の子供が日本語の語彙を増やしていくのと同じ学習方法で、もちろん語彙の定着も期待できます。少しずつですが、確実に身になる方法です。焦らずストーリーを楽しみながら英語学習、語彙学習をしてみてください。

 

 

Q.36「英語を使って専門科目学ぶためには?」

 私は現在大学2年生で経済学部に所属しており、専門科目の中にいくつか英語で講義を行う授業が開設されています。私自身英語が好きなのでそうした授業を取ってみようかなと思うのですが、実際授業についていけるのか、不安に感じてしまうこともあります。どれくらいの英語力があれば、英語で行われている授業についていくことができますか?TOEICやTOEFLなど、どれくらいスコアがあれば良いのでしょうか?(サチコ、20歳、大学生)

 

開講科目の情報を基に目標を設定しましょう

 専門科目を英語で学ぶのはハードルが高いですよね。でも、それができるとかなりの英語力アップにつながります。是非チャレンジしてほしいです。

 英語学習者の間でよく間違って認識されているのが、英語学習の目的です。英語学習自体は本来目的ではなく、英語を使用して何かをするというのが本来の目的であるべきです。英語は言語ですので、言語習得そのものは目的ではなく、別の目的を達成するための過程に過ぎません。今回のご相談の場合、経済学部の専門科目を学ぶというのが目的でそれに必要なのが英語ということです。実はこの方が英語力アップを見込めます。

 準備としてどれくらいの英語力が必要かという心配ですが、これは開講されている授業内容にもよると思います。テキストや論文を読んで講義を聞くことが多くなるような授業なのか、あるいは学生がグループになってプロジェクトに取り組むような授業なのかなど、授業形態にもよると思います。いずれにせよ、開講されている授業で使用されている教材を見て、シラバスで授業内容の確認、そして、何より実際にその授業を受講している先輩の話を聞くことが最も重要な準備となると思います。

 TOEICもTOEFLもその授業を受講するための英語力を測るために作成されたテストではありませんが、大学が目安としてそれぞれの授業を受講するのに必要な英語力として提示されているものがあるようでしたら、それを目標にするのも一つの方法です。ただ、テスト対策をしてスコアアップをしたとしても、その授業の準備としては不十分になる可能性があります

 また、専門科目となると、その分野で使用される専門用語が登場します。これは一見難しいように感じるとは思いますが、実は逆で専門知識を使って理解を促すことができます。分野が多岐に渡るものを理解するのとは違い、分野が限られると専門用語以外に使用される表現も比較的限定されるので、理解しやすくなります。最初は大変な思いをするとは思いますが、続けていくうち、専門的なものの方が理解しやすくなります。初めは難しく感じるかもしれませんが、必ずその時がやってきます。苦労も無駄ではないので、是非継続してみてください。

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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