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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.125「発音上手になる方法!」

英語の会話が苦手です。とりわけ、発音が壊滅的で、英語を話すこと自体に恥ずかしさがあります。ライティングは簡単な構造のものであれば書くことができますが、咄嗟に口に出そうと頭の中で瞬間的に英作文するのは、なかなかできません。やはり、文法知識が足りていないのでしょうか。スピーキングの勉強法や、どんな教材(素材)を使えば良いかなど、ご教示いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。(26歳、会社員)


 

反復練習で流暢に話せる内容を増やしていく

まず、スピーキングに苦手意識のある学習者に共通していることは、英文を書く際に、日本語で考えて英文に訳す作業をしていることです。この場合、日本語の文を無意識のうちに作って、それを英訳するという、発話までに2ステップが必要となるので、なかなか流暢に話せるようになりません。これを克服するには、英文から学んだ表現をそのまま使う練習をするのがおすすめです。つまり、英文中に登場した表現のみを部分的にコピーし、それをそのまま使う練習をするということです。日本語で考える方が簡単ですし、スピードも早いので、日本語で考えたくなる気持ちもよく理解できますが、日本語の文を英文に訳すという作業は通訳士の方が行う非常に高度な技術になります。それを流暢に行うのは、決して簡単ではありません。

英語で考えて英語で話すための練習として、それほど難しくなく、辞書なしでも読めるレベルの文章をまず読んで、読んだ内容を口頭で説明できるように練習をしましょう。コツとしては、元の文章に登場した表現を使って説明するという点です。この練習によって、英語を英語のままで理解し、表現できるようになります。

 

練習量、反復量が足りているかを見直そう!

スピーキングに苦手意識のある方にもう一つ共通して言えることは、スピーキングの練習量、反復量が不足していることです。どのスキルの練習でもそうですが、上達には練習量と反復が不可欠です。ご自身の経験よく思い返してみてください。おそらく最も流暢に英語を話せるのは、自己紹介だと思います。それは、これまで英語で自己紹介をするという経験を何度も積み重ねてきたため、練習量も反復回数も圧倒的に多いからです。他の内容について話すのも同様です。ひとつの話題について話すことを何度も繰り返せば、その話題については流暢に話せるようになります。このように反復によって流暢に話せる内容の数を増やしていけば、やがて話題に関わらず様々な場面で共通して使用できる語彙や表現方法も同時に増えていきます。これを積み重ねていけば、最終的には様々なトピックについて流暢に話せるようになります。 

スピーキングの練習には特別な教材は不要です。まずは身近な内容から話せるようになる練習が必要なので、たとえば、毎日数枚の写真をスマホで撮ってみて、それを描写する練習をしてみるなど、自分にとって無理なく続けられる練習をしましょう。どのような方法で話す内容を決めるにしても、簡単に話せる内容に絞って練習することが重要です。

そして、もう一つ重要なのが録音することです。自分が練習した英文を必ず録音して、2~3日経ったら聞き返してみてください。その際、しっかり意味が通じるかどうかを自己評価するのに加えて、使用している表現を見直したり、発音を直したりすると上達に役立ちます。録音を聞き返すと、不思議なほど修正が必要な箇所に気づきます。自分のスピーキングを自己評価したら、また再度録音し、またそれを数日後に聞き返して修正するということを、満足のいくレベルまで続けていきましょう。

 

発音の上達には、英語のリズム、音節を意識した練習を!

次に発音についてです。自己評価がかなり低いようですが、これも練習することで上達します。ネイティブのような発音を目指す必要は全くありませんし、コミュニケーションに支障がないレベルの発音は、練習によって身につけることができます。

流暢に話すこととある程度関係しますが、文全体のイントネーションやリズムを重点的に練習しましょう。比較的簡単な英語で話されているリスニング教材を見つけて、シャドーイングをしてみてください。スピードもリズムも抑揚もすべて完璧にコピーできるまで繰り返し練習しましょう。リズムに焦点を当てるなら、英語の歌を歌うことも良い練習になります。日本語のような発音では、リズムに乗れず上手に歌えなくなってしまいます。例えば、songという単語は英語では1音節ですが、カタカナの「ソング」にすると3拍の音になってしまいます。この差を克服しないと、リズムに乗って英語の歌を歌うことができません。うまく聞き取れない場合には、辞書で音節の数を調べてみるのもいいでしょう。このように、リズムやイントネーションを優先的に練習してみてください。

スムーズなコミュニケーションのために、多くの日本人の発音で、特に克服したいのが、/l/と/r/の区別と、/b/と/v/の区別です。これを習得するには時間がかかりますが、どうしても克服したい音になるので、地道に練習することが必要です。

最近では、YouTubeなどの動画配信サービスでも映像を使って、発音の仕方を丁寧に教えてくれるチャンネルも少なくないので、是非探してみてください。そこで、舌や唇の使い方などをしっかり学んで、それを実践できるように少しずつ毎日練習してください。それと同時に、英語を聞いているときに、これらの音が登場したら、少し意識して聞いてみましょう。音の聞き分けができるようになると、それで発音も上達することが分かっています。意識して聞き続けると、いつの間にか聞き分けができるようになってきます。

最後にとても大事なのが声の大きさです。自信のなさから声が小さくなりがちなのですが、コミュニケーションにおいては、はっきり大きな声で話すというのが大前提です。日本人の英語が通じない大きな要因は、声の大きさにあります。発音に自信がなくても、流暢に話せなくても、大きな声で話しましょう。そうすれば、相手も理解してくれるはずです。

 

今回紹介した勉強法は、少しずつこなすことでも必ず上達していきます。ぜひ隙間時間を利用するなどして、毎日少しずつ練習してみてください。

 

★編集部のおすすめYouTubeチャンネル

Rachel's English

アメリカ英語の発音の仕方について、非ネイティブスピーカー向けにやさしく解説してくれます。メンバー限定の有料のコンテンツもありますが、無料コンテンツも充実しています。(毎週更新)

https://www.youtube.com/channel/UCvn_XCl_mgQmt3sD753zdJA

 

YouGlish 

l”と“r”の発音や、“v”と“b”の発音の聞き分けなど、多くの日本の学習者にとってわかりづらい発音はここで検索をしてみてください! たとえば、“Learner”という単語を検索すると、YouTube上の動画から該当部分を探し出し、発音される部分のみ再生してくれます。一つの単語の色々な人の発音を聞きたい時にぜひ! なお、英語以外の言語にも対応しており、多言語学習者にもおすすめです。

https://youglish.com/

 


英語学習に質問やお悩みのある方は、ぜひ横本先生にご質問をお寄せください。一人で考えて答えが出る悩みもあれば、悩み続けて時間が経ってしまうことも多いと思います。英語学習についてのご質問はもちろん、留学のご質問なども受け付けております。ご質問はこちらから。ぜひお気軽にお聞かせください!


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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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