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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.13「英文法って実際必要なの?」 Q.14「生きた英語に触れよう!」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。

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Q.13「英文法って実際必要なの?」

昨年までワーキングホリデーで英語圏に住んでいたのですが、文法にまったく自信がありません。

現地の人としゃべる時は簡単な単語や決まりきった表現を使ってそれなりにやり取り出来たこともあって、文法だけを学ばなくてもいいのかなとも思うのですが、書店でよく英文法のやり直し本みたいなものを見かけると、やっぱり必要なのかなとも思います。英文法を学ぶ意義みたいなものってなんなのでしょうか。必要としている英語のレベルとしては、英会話が出来て、英語で書かれたニュース記事なんかを読めるようになりたいです。

(さとみ、28歳、会社員)

 

A:説明できなくても使える英文法を!

昨年までワーキングホリデーで海外にいらっしゃったということですが、ワーキングホリデーに行く前にはどのような英語学習をされていたのでしょうか。文法がなりたたない英語では、英単語を並べても意味が通じないので、ある程度の英文法はすでに身についていると自覚して自信を持ってください。

 

文法というと、英文を言語学的に説明したり、そのルールを覚えたりするという考えの方が大勢いますが、私の考えは少し違います。日本語と英語の文法は大きく違いますから、それを利用して説明してみましょう。例えば、日本を勉強しているカナダ人が、「きのう、ともだちとおみやげをかいます。」と言ったとしましょう。この文の間違いは何かと考えるといくつかの可能性が考えられます。「かいます」は「買いました」ではないか。「ともだちと」が、本来は「ともだちに」かもしれません。「きのう」というのは間違いで実際には「あした」と言いたかったのかもしれません。このように単純な文の中にも様々な要素が入り文は成り立っています。単純な英文でも、しっかり意思伝達できるということはそれに必要な文法知識があって、それを使えているということです。単語の使い方も文法の一種なので、正しい意思伝達ができていないということは、文法に誤りがある可能性があると考えています。

 

大人が新しい言語を学習する場合、文法的なルール(枠組み)を覚えて、そこに単語を当てはめていくことで文を構築させることができるのに対し、子供は複雑なルールを理解できないので、多くの事例を耳にし、それを観察して文法的なルールを学習します。したがって、学習の初期段階では、子供より大人の方が、学習スピードが速いといわれています。大人であれば、可能な限り長文を用いて英文法を学習すれば、英語表現の幅が広がることは間違いありません。意味が完全に理解できることを確認してから、関係代名詞や不定詞、分詞などは、特に表現を豊かにするのに便利なので学習してみてはいかがでしょうか。

 

英語漬けになれば、自然に身につく文法はかなりあります。ただし実際に身につくには時間がかかります。周りの環境だけに依存する英語学習は楽しく、趣味でやるだけの学習者には効果的です。ニュースの記事を読みたい、日常会話をスムーズに行いたいという目標を折角お持ちなら、文法説明はできなくても構わないので、長文を用いて英文法学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

Q.14「生きた英語に触れよう!」

都内の高校で英語の教員をしている者です。今は高校2年生のクラスを主に受け持っているのですが、生徒に生きた英語を教えたいと思い、教科書の内容が早く終わった時などに新聞を読んだり、WEBの記事を読ませたりしています。生きた英語を学生たちに学ばせるのに適した素材や方法がありましたら、教えて頂きたいです。なお、今教えている高校は大学に進学する子の多い、公立校になります。

(裕一、32歳、高校教師)

 

A:英語でエンターテイメントを体験!

 高校生に生きた英語を学ばせたいというところから、先生の英語教育に対する熱心さが伝わります。先生の生徒さんたちはとてもラッキーですね。

 

さて、生きた英語に触れる素材についてですが、先生がすでに行っているように新聞やインターネットの記事などを利用するのは、とくに時事問題を取り扱うには適しています。メディアを通してすでに知っている内容を英語で読むということには、学習効果も期待できますし、とても教育的に素晴らしいと思います。

 

ただ、高校生ですから、楽しいだけ、面白いだけというエンターテイメントの要素を含む素材で英語に触れるのもいいのではないでしょうか。教育上使用するものですから、トピックは限定されますが、有名人が投稿しているYouTube動画とフォロワーとのやり取りや、twitterにあるツイートとフォロワーのやり取りなども使えると思います。最近では、日本人アスリートの活躍もあり、例えばメジャーリーグの野球中継やNBAのバスケットボールの試合の実況など、様々な素材がインターネットで入手できる時代です。高校生が興味を持っている有名人の配信とそれを受けたファンのやり取りや、スポーツ実況などは、かなりの高校生にとっても面白いのではないかと思います。

 

英語学習のためにいいからという理由で教材を選ぶのは、正論ですし、その教材によって英語学習が促進されることは間違いありません。一方、英語学習に興味がなく、受験があるから、英語という科目があるから仕方なく英語学習をしている生徒がいることも否定できません。それを考えると、英語を使えば手に入る情報を紹介すると、英語学習そのものが有意義になると考えています。これはあくまでも理想論ですから、現場でそれを実現するのは至難の業だと思います。しかし、「受験に必要だから」、「英語という科目である程度の成績が必要だから」など、言語としての英語使用を目的としない素材よりは、「英語という言語を介することで学べること」を提供することで、英語学習がとても役に立つと実感するのではないでしょうか。

 

 〈横本先生とあさひてらす編集部がおすすめするWEBで見られる英語素材!〉

・Will Smith のYouTubeチャンネル

   https://www.youtube.com/channel/UCKuHFYu3smtrl2AwwMOXOlg

・Bill GatesのTwetterアカウント

 https://twitter.com/billgates

・Oprah WinfreyのTwitterアカウント

 https://twitter.com/oprah

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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