Q.68「英語の文章を読むのが苦手です...読むことを得意にするには?」、Q.69「英語力はどれくらいの期間で落ちていきますか?」
季節は秋から冬へ。コロナウイルスの感性者も増加傾向が見られると各種メディアで言われていますが、そんな時もコタツにみかんと英語学習、休まず続けていきましょう! この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。英語学習にお悩みのある方は、ぜひ横本先生へのご相談を。どんなことにお悩みなのか出来るだけ詳しく書いて頂けると、その分先生もアドバイスしやすくになります。下記のフォームからお待ちしています。 |
今年で社会人2年目になります。今度、仕事で英語の文書を読む必要が出てきて、最近慌てて勉強しています。会話はそんなに困らないのですが、取引先から送られてくる文書の解読が出来ず、、、かなり苦労しています。思えば高校大学と、会話のクラスは良かったのですが、読解になると本当に苦手で、もっとよく勉強しておけばよかったと思っています。長文を読むには、やっぱり単語ですか、それとも文法ですか。日本語と同じようにスラスラ読めるようになりたいのです。何をどう勉強すればいいのか、期間はどれくらいかかるか教えて欲しいです。(高橋、24歳、団体職員)
仕事でよく使う表現に絞って練習する!
仕事で英語の文書を読むとなると責任もあり、実際かなり焦ると思います。ビジネス上の文書は、教科書で読んできたものとは違いますし、英語の文書を読むことに慣れていない方には大変は負担がかかります。しかし、仕事ですから、避けるわけにはいきません。なんとかして克服したいものです。そこで、仕事上の英語という点を利用して、焦点を絞って学習してみてはいかがでしょうか。
まず、会話はそれほど困らないということですが、まず日常会話とビジネス文書の大きな違いは、形式や構成です。ビジネス上では無駄な表現を省くのが礼儀なので、短い表現で的確に内容を伝えようとします。それにより、必然的に基本的なビジネス文書の形式や構成に則って書かれている文書が多くなります。
ビジネス文書によく見られる形式や構成が理解できてくると、よく用いられる表現も同時に学ぶことができます。それも日常会話では使わない、例えばPlease find attached …などのような表現も学習できます。それらは決まり文句のようなものとして、覚えておくと便利ですし、読解にも役立ちます。そのような定番の表現をまとめて覚えることで、それほど細かい文法を再度学習する必要はないとは思います。ただ、仕事上の責任もあるので、間違って解釈しないためにも、文法知識に不安があるようであれば、どのような文も基本5文型に分類できる程度の基礎文法知識は身につけておいた方が安心です。
また、読解力の自信のなさには、おそらくこれまでの学習時間の影響もあるでしょう。会話に関しては得意なこともあって、積極的に練習することもあったかもしれませんが、苦手な読解に関しては避けてきたのかもしれません。どのスキルもそうですが、読解力は読む量に比例します。仕事をしながら読む量を確保するのは大変ですが、仕事上よく使う表現やその業種や分野で用いられる専門用語などを、別ファイルにメモ書きしておくなどして、積極的に覚えておくと、仕事上の文書を読み取るのには慣れてきます。
ビジネス文書とひと言でいっても、メール、注文書、送付状、契約書など、様々あるとは思いますが、仕事上で扱う種類の文書を重点的に学習しましょう。また、通常の仕事で使う文書であれば、TOEICのリーディングで十分練習出来るはずです。特殊な分野であれば、それにあった参考書などを購入して練習するといいでしょう。
これまで苦手で避けてきたリーディングも、量をこなせば会話と同様に上達しますから、自分の力を信じてリーディングの練習をしてください。必要な分野に絞って学習すれば、スラスラ読めるようになるのにはそれほど時間はかからないと思います。頑張ってください。
Q.69「英語力はどれくらいの期間で落ちていきますか?」
昨年、短期留学でアメリカに行って、英語力がかなり上がったのですが、コロナで英語の授業がなくなり、英語に触れる少なくなりました。この間オンラインでTOEICの模試があって受けてみると、リスニング力が落ちていてがっかりしました。使わないとその分英語力が落ちるのはわかるのですが、帰国子女の友達とかは普段日本語しか使わなくても英語力は落ちないと言います。母国語レベルになると、単語を忘れたりする事はなくなるのですか?やっぱり毎日勉強しないとダメですか?(N T、20歳、学生)
毎日の生活の中での英語表現を考える
折角身についた英語力をなんとしてでも維持したいお気持ち、とてもよく分かります。帰国子女の友人が、普段使わない英語を忘れないのは、日本人が日本語を忘れないのに似ています。しかし、それはネイティブレベルとか中級者レベルとかという、語学力のレベルの違いではなく、それとはまた別の次元のことに理由があると考えられます。
日本人が英語を学習する際には、単語や文法を学習して、書かれている文章や話された文章を理解したり、言いたいことを書いたり話したりすることを目標に学んでいます。ここには、はっきりとした言語を使用する目的がありません。すなわち、この学習方法では、学習した表現を使って、別のことを成し遂げる必要がありません。
一方、帰国子女の方々は、生活する上で英語が必要だったはずです。つまり、日本にいる英語学習者のように英語で表現されたことを理解したり、英語で言いたいことを表現するのが目的ではなく、別の目的を達成するのに英語が必要だったということです。たとえば、数学や歴史の授業を理解して、宿題や課題をしたり、友達と一緒にスポーツをしたり、パーティで楽しんだりすることが目的で、英語はそれを達成するための手段に過ぎないという点で根本的に英語学習者とは違います。
英語は学問ではなく、言語なので、何かをするために必要な道具のようなものです。したがって、言語を使用することを定着させるには、別の目的のために英語を言語として使用する機会を十分に経験する必要があります。
おそらくコーヒーショップやファーストフードショップに行って注文するくらいのことなら、今でも難なくできると思います。それは、その目的を達成するために英語を言語として使用した経験が十分にあるからだと考えられます。現地で生活すると、いろいろな場面で英語を使用する機会があると思いますが、短期留学の場合は、経験できることの数も、その頻度も限られているので、まだ定着するまでの経験を積まずに帰国してきた可能性があります。
ただ、日本にいても、様々な場面で、英語では何を言うのかを考えながら生活することができます。毎日の生活の中で経験するあらゆる場面において、英語ではどう言えば目的が達成できるのかを考えながら過ごすと、少しずつ学習できていきます。どう表現すればいいのか分からない場面が学習のいい機会です。そのように毎日の生活の中で英語学習に取り組むのはいかがでしょうか。相手がいなくて、独り言のように表現してみるだけでも、効果は期待できるので、是非取り入れてみてください。