Q.117「ネイティブのように流暢な英語を話すには?」
先日、留学経験のある友人から、自分の発音は平坦だと言われました。自分ではそんなつもりはなかったのですが、英文を音読して録音した音声を聞いてみると、確かに、抑揚がない感じがしました。私自身、留学経験がないので、日本語の発音に引きられているのかなと思うのですが、流暢な発音が出来るようになるためには、どんな練習なり経験が必要でしょうか?
高低、強弱、長短のすべてを使って表現しましょう!
留学経験がなくても、英語を流暢に話す方は少なくありません。せっかく英語学習をしているので、抑揚のある流暢な英語を話したい気持ち、とてもよく分かります。留学は誰もができるわけではありませんし、留学が必ずしも英語学習にベストな方法というわけでもありません。日本にいながらも、上手く話せるための練習をしていきましょう。
高い学習効果は、自己分析から生まれる!
効果的な英語学習のためには、まず自己分析がとても重要になります。
留学経験のあるご友人から、平坦な発音だというフィードバックがあったのは、とてもラッキーです。自分が話す英語に関してフィードバックをくれる人に出会うのは容易ではありません。学校なら担当教員などがその役割を担ってくれますが、学校から離れてしまうと、なかなかそのような人物に会うことはできません。正直に英語に関するフィードバックをくれる貴重なご友人なので、これからも頼りにすると良いと思います。
しかもご友人のフィードバックをきっかけにご自身で英文を音読したのを録音して、抑揚があまりないことに気づいたのもとても大きな一歩です。これは定期的に行うべき有効な自己分析です。是非、録音した音声データはファイル名に日付を入れるなどして、いつの録音か分かるようにして、保管しておいてください。数ヶ月後のそれを聞いたときに、自分がどのように上達したか実感するのにとても役立ちます。この自己分析によってすでに効果的な学習が始まっていると言っても過言ではありません。
高低:日本語以上に音の高低差をつけた発音を
日本人が話す英語に抑揚が足りないのには、いくつか理由があります。まず一つ目は、日本語が高低差のあまりない言語だということです。たとえば、日本語の「雨」と「飴」では音の高低差を使って、意味を使い分けています。いわゆる標準語では「雨」は高低というパターンで、「飴」は逆に低高のパターンで発音しています。実はこの高低差は英語話者の人には上手く聞き分けられないほど小さいものです。つまり、日本人は、日本語の微妙な高低差を聞き分けているので、英語を話す時にそれほど大きな高低差がなくても、十分高低差を付けていると錯覚してしまうのです。
これを克服するには普段から大げさに高低差をつけながら発音する必要があります。長めの単語を使って、強勢と弱勢の位置を確認したら、大げさに高低差をつけて発音練習しましょう。高低差を5段階に分けるとして、たとえば「雨」が3-2、「飴」が2-3というパターンとしましょう。それが英語のcom・put・er を2-5-2、friend・ship を5-2と発音できるように練習しましょう。
リズム:音節を把握し、弱勢と強勢を意識して発音を
次に問題になるのは、英語のリズムです。日本語の抑揚は高低差を主に使って表現するのに対し、英語は強弱と長短も合わせて使って表現します。
まずは強弱です。これは声の大きさで強弱をつけることはもちろんですが、強では明瞭な、弱では曖昧な発音をします。たとえばcomputerは、com・put・erという三つの音節に分けることができますが、comもerも弱勢です。弱勢の母音は、/ə/で発音することがほとんどです。この弱勢は声も小さく曖昧な発音なため、あまり上手く聞こえません。一方、putは強勢を持つ音節なので、はっきり発音されます。
このように強勢部分は大きな声ではっきりと発音し、弱勢部分は小さめの声で曖昧に発音することで、英語らしい強弱のリズムを表現できるようになります。これを練習するには、まず、それぞれの単語がいくつの音節から成り立っているのか知る必要があります。辞書によって表記方法が違うこともありますが、com・put・erと表記されていることが多いようです。
その次に、強勢を持つ音節の発音をしっかりする練習が必要です。putの部分の発音は/pjut/ですが、これを大きな声でしっかり発音する練習をします。また、弱勢部分の発音練習も重要です。comもerも、曖昧な母音/ə/を使って弱く低く発音できるよう練習しましょう。
長短:強いところは長く、弱いところは短く発音!
そして、強弱と合わせてもうひとつ重要なのが長短です。日本語の「雨」も「飴」も「あ」と「め」の強弱、長短にそれほど差がないのに対し、英語では強勢は強く、長く発音され、弱勢は弱く、短く発音されます。computerなら、強勢のputが最も長く、それ以外のcomとerは短いのが特徴です。弱勢を「タ」、強勢を「ターン」と置き換えて、たとえばcomputerは「タ・ターン・タ」のリズムで練習するようにしましょう。
オーバーラッピングで、文レベルでの音の完コピを目指そう!
さて、このように単語レベルの高低、強弱、長短を表現できるようになったら、次は文レベルです。文レベルの抑揚の練習でおススメなのはオーバーラッピングです。
オーバーラッピングは、手本となる音声に100%自分の声を重ねるように行う発音練習です。それぞれの音節を発音するタイミング、強弱、高低、長短をすべて完璧にコピーするのが目標です。
オーバーラッピングの素材には、これまでリスニングで使用したことのある意味の分かる教材を使用しましょう。意味を伝えることを前提に行わないと抑揚のある英語を話す練習にはならないので、必ず意味の学習が終わっている教材を使用してください。そして、しっかり伝えたい意味を込めながらオーバーラッピングに挑戦してください。簡単ではありませんが、単語レベルの積み重ねと文レベルのオーバーラッピングを繰り替えし練習すれば、英語らしいリズムで抑揚のある発音ができるようになります。定期的に録音して自己分析を行いながら反復練習してください。続けていけば、かならず抑揚のある英語が話せるようになるので、ぜひ取り組んでみて下さい!
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