Q.53「高度な英単語の覚え方」、Q.54「英文メール フォーマルとカジュアルの使い分け方」
この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。 |
英検1級の合格を目指して勉強しているのですが、単語の難易度があまりにも高すぎて困っています。日々海外ドラマを字幕なしで観てたりするのですが、テストに出るのは馴染みのない語ばかりで、暗記するのに苦戦しています。語幹でなんとか推測して、正解を選ぼうとしていますが、間違ってしまうことも多々あります。単語を効率よく確実に覚える方法を教えてください。(元四谷の大学生、27歳、会社員)
文脈とリストの合わせ技で語彙学習する!
語彙学習というのはなかなか一朝一夕にはいかないものです。私もまだまだ勉強中の身ですし、自信を持って語彙学習の方法を提供できるような立場ではないのですが、やはり英検1級の合格を目指すレベルともなれば、日常的に話し言葉で使われる語彙の枠を超えて学習しなければなりません。
それはどういうことを表すかというと、英検1級の語彙を克服するには、話し言葉ではあまり使われない書き言葉を学習するべきだということです。言い換えると、ドラマや映画などは、話の内容に関わらず、話し言葉で作られているはずなので、英検1級で要求される語彙の学習には足りないということです。コーパス言語学という分野の研究によると、ニュースも含める話し言葉においては、大体基本単語3,000語程度しか使用していません。
単語を覚えるというのは、もちろん単語帳のようなもので身につけたり、語幹や接頭辞などによって意味を推測するなどという方法も悪いとは言えません。ただ、文脈とともに語彙を覚えていく方が身につきやすく、語彙の意味を覚えるだけでなく、文中でどのように使うのかも合わせて学習できるのが最大の利点です。したがって、英検1級に登場する語彙の学習にはやはり読み物があった方がいいと思います。
New York Timesなどは実際にはニュースだけでなく、コラムなども多くありますので、様々な分野の内容を読むには最適な題材だと思います。辞書なしで英字新聞を読めるようになれば、英検1級の語彙も克服できるのではないでしょうか。
英字新聞に限らず、専門的な内容の記事や、小説にも話し言葉には登場しない語彙が使われています。自分の興味にあったものから始めるので構わないので、教養のある大人が読むような読み物を読んで、わからない単語は単語ノートを作るなどして書き出しましょう。文脈の中で読むことと、単語ノートの学習を平行して行うと、その新しい単語に出くわす頻度が増えて学習効果が見込めます。
単語ノートを読み進めるだけでも、効率いい語彙学習はあまり望めないかもしれません。読み物に触れ、文脈の中で新しい単語を学習し、それを単語ノートなどに書いて繰り返し学習してください。近い将来、英検1級に合格されることを願っています。
Q.54「英文メール フォーマルとカジュアルの使い分け方」
私は先生と同じカリフォルニア州立大学に留学していた明子と言います。日常会話の英語は問題なく使いこなせるのですが、ビジネスはまだまだ初級者なので(汗)、ご質問したいことがあります。日々英語でビジネスメールを書いたりしているのですが、カジュアル過ぎないか不安です。例えば、客先へのメールにしても“I hope you are doing well”とか“How’s it going?”とかで始めることが多いのですが、この表現で正しいのでしょうか。英語には敬語が存在しないとは思いますが、ビジネスで丁寧でかつネイティブっぽいこなれた言い方があれば教えて頂きたいです。(明子、25歳、商社勤務)
フォーマルとカジュアルの2パターンを使い分ける
日常会話が難なくこなせてもやはりビジネスともなると、不適切な表現があるかもしれないという不安がありますよね。とくに日本語では多くの不適切な表現がありますし、英語でも同じように失礼にあたる表現があるのではないかと考えるのはとても自然なことだと思います。
日本語のメールほどではないにしろ、英語においてもビジネスメールとなると多少のルールのようなものがあるようです。そこでいくつか注意点をまとめたので参考にしてみてください。
まず、相手との関係によってフォーマルにするか、少しカジュアルな表現にするかを決定することが重要です。たとえプライベートな付き合いもあって、仲のよい相手であっても、社員の一人として会社を代表してメールを送っているので、あまりにもカジュアル過ぎる表現は避けた方がいいと思います。初めてメールする相手からお互いのことを少し知り合うまでの間使えるフォーマルな表現と、少しやりとりをしてお互いのことを少し知り合った頃から、プライベートな付き合いがある相手まで使える比較的カジュアルな表現をまとめてみました。
比較的フォーマルな冒頭の表現は定番の
Dear Mr./Ms.~
を使います。極力避けたいですが、相手の名前がどうしても分からない場合は、
Dear Sir/MadamやTo whom it may concern で代用しても構いません。
すでに知っている相手で、以前にもらったメールの結びにファーストネームが書いてあれば Dear の後にファーストネームを使っても大丈夫です。それから、いくら仲が良くてもビジネス上はHiやHeyなどの表現は避けた方が無難です。特に何かを依頼するメールの場合には避けましょう。
初めてメールを書く相手の場合には、相手の名前の直後に簡単な自己紹介文を入れますが、そうでない場合は、すぐに要件に入るのも礼儀だとよく言われます。
I am writing regarding ~
I am writing in reference to ~
相手からのメールへの返信の場合には、次のような表現も一般的です。
Thank you for your email regarding ~
In response to your email, I am happy to ~
要件を述べ終えたら締めの一文を入れます。
I look forward to hearing from you.
We would appreciate it if you could ~.
Please feel free to email me if you have any queries.
If you would like any further information, please contact me.
最後の結びの言葉ですが、初めての相手の場合には無難に
Sincerely,
を使うことをオススメします。2回目以降なら
Best regards,
を使っても十分フォーマルに受け取ってもらえる表現だと言えます。仲良くなってからでしたら、
Regards, や Thank you,
でも失礼にはなりません。
これらのように相手によって使い分けはするものの、やはりあまりカジュアルにはなりすぎないことがポイントです。相手からのメールにある表現を読み取って、フォーマルとカジュアルの2パターンだけでいいので使い分けてみてください。