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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.59 [TOEIC®︎スコアはリスニングの方が上がりやすい?」、Q.60「単語は書いて覚える?それとも声に出して覚える?」

この連載では、英語学習に悩みを抱える読者の方のご質問に、横本先生が懇切丁寧にお答えしていきます。先生へのご質問はこちらから。お気軽にご応募ください。
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Q.59 「TOEIC®︎スコアはリスニングの方が上がりやすい??」

会社から言われていることもあって、今TOEIC®︎を勉強しています。年に1、2度受けていて順調にスコアは上がっているのですが、なぜかリスニングのスコアのほうが上がりやすいのです。どうしてなのでしょうか?あと、リーデイングのスコアはどうしたら上がりますか?

 

リーディングセクションは実力+タイムマネジメント力でスコアアップ

 リスニングのスコアは順調に上がっているということは、学習の効果が現れている証拠だと思います。リスニングセクションでは、音声がどんどん流れていくので、自分のレベルでは解けない難しい問題を解けずにいても、次の問題が始まればそちらを強制的に解く必要があるので、実力で解ける問題を取りこぼすことなく受験できます。そのセクションで順調にスコアアップできているということは、確実に実力が上がっています。自信を持っていただいて大丈夫です。

 リーディングセクションでは、実力で正解できる問題を必ずしも解いているとは限りません。例えば、実力では正解が分からない難問に5分間使ってしまった挙げ句、これが不正解だとこの5分間で得たスコアは0点です。しかし、その5分間を、実力で30秒あれば解ける問題10問解いて正解すると、5分間で得たスコアは約50点となります。このようなケースがリーディングパート内で数カ所起こり得るため、実際には英語力が上がっていてもそれがそのままスコアに反映されるわけではないのです。

 そこで、リーディングパートで実力通りのスコアを獲得するために、受験テクニックが必要になります。タイムマネジメントが実力とスコアの差を作り出す大きな要因なので、そこを克服するのが得策です。

 Part 5とPart 6では、まず選択肢をみて、問題タイプを見極めてから時間配分を考えて解きます。たとえば、選択肢に

attract, attractive, attractively, attraction

と並んでいるとします。このように接尾辞が異なっている単語が並んでいる品詞問題の目標解答時間は5秒です。その後、空欄前後の、

is ------- decorated

だけを見て、副詞つまりattractivelyが正解だとわかります。他のタイプの問題も同様に選択肢から問題タイプを見極めて、目標解答時間を決めて、解けても解けなくてもその時間内にマークして次の問題に進むことを優先してみてください。

 

 Part 7では、設問を読んで、それぞれの問題タイプによって目標解答時間を設定しましょう。たとえば、

How long will the assignment last?

などのように詳細を問う問題では、assignmentの詳細部分だけをみて解答できることが多いので、目標解答時間は20秒間としましょう。また、

What is NOT mentioned about the new service?

のように、消去法を必要とする問題はパッセージ内に点在する内容を読み取る必要があるので、1分間で解くのも難しいかもしれません。大まかには、1問1分間というのを基本ルールとして、パッセージ毎に目標解答時間を設定するのがやりやすいと思います。パッセージに2問あれば2分以内、4問あれば4分以内で解く練習をしてみてください。

 

このようにリーディングセクションでは、実力だけでなく、問題タイプを見極めて、目標解答時間を設定して実力にあったペースを作るスキルが必要とされているので、そちらの練習も積極的に行ってください。必ずスコアアップします。

 

 

Q.60 単語は書いて覚える?それとも声に出して覚える?

 英検の受験のために英単語を覚えています。今は覚える単語を何度もノートに書いて覚えようとしているのですが、なかなか覚えられずに苦労しています。声に出して覚えるのは、なんだか恥ずかしいです。何か良い方法はありませんか?(舞子、21歳、学生)

 

目的に合った方法で反復しましょう

 単語をなかなか覚えられないという悩みは学習者誰にでもあることですね。私もなかなか単語を覚えられず苦労している学習者のひとりです。結論から言えば、単語学習に近道はありません

 まず、単語を覚えるということについて整理したいと思います。この「単語を覚える」というのは、読んだ時に意味が理解できる、聞いた時に意味が理解できる、書くときに使える、話すときに使える、書くときにスペルを正しく書けるという、単語に関するあらゆることができるようになることを表しています。このうちのいずれか欠けていても単語を覚えたとは言えません。おそらく「なかなか覚えられない」という実感はどれかが出来ないからではないでしょうか。

 ノートに繰り返し単語を書くという作業は、おそらくスペルを正しく書くことに直結している練習なので、そこには効果が現れるかもしれません。たとえば、漢字の「鵂」を覚えるためにノートに100回書いたとします。きっと、この漢字を正しく書けるようになっています。しかし、読み方も意味もわからないので、文章の中にこの言葉が登場しても理解できませんし、文章の中でこの言葉を使うこともできません。

 読んだ時に理解できるようになるには、まず、学習している単語が使われている英文をよみます。次に辞書などを使って、その単語の意味を理解します。そして、元の英文に戻って、英文のまま理解できるかどうか確認し、その単語を日本語訳として理解していないことを確かめます。ここから、さらにその単語を含む別の英文を読みます。そこでその単語を英文のまま理解できるかどうか確認します。これを繰り返すと、読んだ時に理解できるようになります。現代では、インターネットなどで、学習する単語を検索すれば、その単語を含む英文が簡単に探せるので、是非活用しましょう。

 聞いた時に理解できるようになるためにも、同様の学習が理想的です。しかし、学習している単語を含む音声をみつけるのは簡単ではありません。英検の学習をしているなら、英検対策テキストにある音声などをフル活用して、学習している単語を音声で聞いたときに意味が理解できるように繰り返し練習することをオススメします。重要なのは、聞こえてきても日本語に訳さず、英語のまま理解できるようになることを目指すということです

 

 同様に話すには、その単語を使って英語を話す練習が、書くには、その単語を使って英文を書く練習が必要です。単語学習は反復学習が結果に繋がるので、地道に単語を増やしていきましょう。全力で応援しています!

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 特任准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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