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日中いぶこみ百景

行政単位を考える

日本の行政単位といえば,「都道府県」だ。「1都1道2府46県」などという言い方を聞いたことがある。

 中国ではどうか。これに相当する言い方はないが,われわれに親しいのは“省”という単位だろう。省は台湾をふくめ23ある。省レベルで中国の地図はほぼ覆い尽くせるが,実はそれだけではない。

 

 まず自治区がある。少数民族の自治区で,次の5つだ。

 内蒙古自治区/寧夏回族自治区/新疆ウイグル自治区/

 チベット自治区/広西壮族自治区

さらに4つの直轄市がある。

 北京市/上海市/天津市/重慶市

そして最後に特別行政区として,2つ。

 香港特別行政区/マカオ特別行政区

 つまり,「自治区,省、直轄市,特別行政区

の4つが同一レベルでならぶわけだ。

 

 日本のような「都道府県」といった表現に倣えばどんな言い方になるか。是非,記憶のためにも考えて欲しいところだが,今のところ無い。ともあれ,これが一級行政区である。(中国語では“行政区”という)

 

 この下にあるのが,市である。そして,市の下にあるのが県である。ここは日本と逆だ。県は市に含まれるのだ。市の一部として県がある。

 市は二級行政区,そして県は三級行政区になる。

 

 では,県の下はなにか。

 ここで郷や鎮が四級行政区として登場する。郷鎮企業という言葉があるように,郷と鎮は同じレベルになる。

 ここまでが,正式な行政単位で,実は村はこの下になる。いわば五級レベルということになる。

 以上,大まかに述べてみたが,さらに「区」とか「路」,「社区」「街道」といった細かい単位もある。住所を確定するためには必要だ。

 一緒にPodcastをやっている南通出身の朱さんに実家に手紙を書くと住所はどうなるか,聞いてみた。

 中国 江蘇省 南通市 如東県 ××鎮 ○○路 マンション名 ○○号

 

参考:『聴く中国語』201912月号特集「中国の省・市・県・郷、大きいのは一体どれ?」

 

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著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

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