べったりとあっさり
コロナウイルスは「新しい日常」をもたらすと言う。これまでの日常とは異なるスタイルが生まれるだろうか。
例えば,日本がお辞儀であるのに対し,中国は握手である。人に触ろうとする。今,ウイルスのせいで,握手はためらわれても,肘同士を合わせたり,拳を突き合わせ握手に替えたりしている。どうしても体を触れあわせたいらしい。
習慣の力は頑固である。
日本人の踊り,盆踊りもよさこい踊りも阿波踊りも,日本のそれは人に触れあわずに踊るのに,中国は触れあうことに抵抗がすくない。中国では夜の公園で社交ダンスに興じているのをよく見かけた。
べったり中国にあっさり日本。ウイルス対策には日本のほうが向いている。
大学で,隣り合わせに坐る学生がいる。べったりくっついて坐るのは中国人に多い,そんな話をきいたことがある。
街で女性同士が手をつないで歩いている。子供ならともかく,いい大学生や若い女性がそうしている。中国でそれを眼にした日本人,「いやあ,“同性恋”かと思いましたよ」そう言っていたが,勿論,そんなことはない。ただの仲良しである。男性でもよく,肩をくみながら街を歩いているのを見かける。日本ならまずおめにかかれない風景だ。そんなわけだから,男女の恋人同士なら,まず間違いなく手をつなぎ,肩寄せ合って街を行く。
我が家の前には大学があり,中国からの留学生も多いようだが,ときどき信号待ちで,男女が手をつないでいたり,女子学生同士が仲睦まじくしているのを眼にする。私は「これは中国人同士にちがいない」と踏んで,そばにゆき,耳を傾けると,非常に高い確率で,中国語が聞こえてくる。