何か用ですか?
中国人に電話する。「やあ,やあ,こんにちは,元気ですか」などと挨拶をする。
と,いきなり「何か用ですか」と言われた。
これにはちょっと驚く。
久しぶりの電話にはちがいないが,それでも「何か用?」とはご挨拶だ。
だが,ふと思った。中国語ではこういう応対は少しも不自然ではないし,よく教科書などでも次のようなやりとりを見かける。
A:喂,吃过晚饭了吗?(もしもし,夕食は済んだ?)
B:吃过了,有什么事儿吗?(済みましたが,何かご用ですか)
日本なら「どうしたの?」と聞くところ,中国ではズバリ「何の用か」と聞く。
身近な中国人に“有什么事儿吗?”の意図するところを聞いてみた。
「いや,だって何か用事があるから電話してきたわけでしょ。久しぶりだったら,なおさら何か用事があるわけでしょう。それは自分から言いにくい事かもしれないから,こちらから問いかけてあげるわけです。すると<実は〜>と話しやすくなるわけでしょう。親切なつもりなんですよ。」
昔中国に滞在していた時,よく電話することがあったが,電話が通じるや,向こうから“你是谁?”(お前は誰だ)と言われた。こちらはつい「お前こそ誰だ」と聞き返したくなったのを覚えている。日本では電話を受けた方が先ず名乗るだろう。
しかし不思議なことに,受けたほうが,中国語で,
喂,我是相原。
と応える方式だと,なんだか「俺は相原だが,何だ」というような,どこか尊大で偉ぶっている感じになるのである。
こういうのも,微妙な日中の違いだ。