奇数か偶数か
知り合いの中国人女性のYさんが結婚することになった。お祝いをしなくては。お金はいくら包めばよいのだろうか。日本なら友達ならまあ3万円ぐらいか。
ところが中国人だから,奇数でいいのか,という心配が頭をもたげる。日本だと,奇数好みだから,お祝いのお金も1万,3万,5万というところだ。
4万や6万というのはあまり聞かない。5万のつぎは10万に跳んでしまう。こういうのは彼女自身に聞くわけにもゆかない。
それから,結婚はめでたい事で偶数でよいが,反対の葬儀などでは奇数でおくやみを包むと聞いた。
結婚式の日取りでは,日本は大安吉日を選ぶが,中国では偶数日を選ぶ。ところが一見奇数日にみえて,実は陰暦で決めていることもあるので厄介だ。
そういえば日本では奇数年にお祝いする「七五三」がある。また1から5の数字で好きな数はと聞くと,たいてい3と答える傾向があるらしい。三といえば,日本三景とか三種の神器,石の上にも三年とか,三はよくでてくる。長嶋選手の背番号も3であったし,三塁を守り,打率は3割台だ。
七も奇数で,日本人はラッキーセブンとして好むが,中国ではそれほどでもない。
縁起が悪いとして嫌いな数に4と9がある。4は「死」に通じるとして,忌み嫌われる。これは中国でも同じで,4はsiであり,死もsiである。
一方,9は日本では「苦」と音通で嫌われ者だが,中国語の発音では9はjiuで「久」に通じる。これは「幾久しく」の意味をもち,男性から女性に花を贈るときにも9本や99本が好まれる。また9は数の極まるところ故,9月9日は重陽の節句となっている。この日は敬老の日でもある。9には「長寿」の意味もある。
日本人も好む数少ない偶数は8だろう。漢字で書くと「八」で末広がりとして縁起がよいとする。中国では8はfa,つまり「発」と音通。「発」は「発財」でお金持ちになることであり,電話番号,車のプレートなど8のつく番号は大人気である。
ところで式間近のYさんへのご祝儀をどうしよう。他の中国人に電話で聞いてみた。すると中国では200元とか,600元,あるいは666元とか888元という数が好まれるという。縁起のよい偶数がこれでもかと並んでいる。
しかし,これは人民元だ。何の解決にもならない。