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日中いぶこみ百景

Mao's collection 挖耳勺 wā'ěrsháo

吉行淳之介という作家が「自分が死んだら,鎖骨で耳かきを数本作る。それをかねて懇意だった女たちに配ってもらう。女たちは耳そうじをしながら,目をほそめ,きもちのいい顔をして故人をしのぶ」というようなことをどこかに書いていたのを覚えている。

これは中国製で下のは象牙,上のは水牛の角で作ったものだ。

江南の地で水田を耕していた水牛が老いて死んだ。

しかしその角は“挖耳勺”になり,日本に渡った。

水牛の角は私はその透明感が好きで,“鞋拔子”xié bázi(靴べら)も愛用している。

ちなみに「耳を掘る」は“掏耳朵”tāo ěrduoと言う。

(朝日出版社刊:『話してみたい 中国語必須フレーズ100』より)

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著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

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