Mao's collection 挖耳勺 wā'ěrsháo
吉行淳之介という作家が「自分が死んだら,鎖骨で耳かきを数本作る。それをかねて懇意だった女たちに配ってもらう。女たちは耳そうじをしながら,目をほそめ,きもちのいい顔をして故人をしのぶ」というようなことをどこかに書いていたのを覚えている。
これは中国製で下のは象牙,上のは水牛の角で作ったものだ。
江南の地で水田を耕していた水牛が老いて死んだ。
しかしその角は“挖耳勺”になり,日本に渡った。
水牛の角は私はその透明感が好きで,“鞋拔子”xié bázi(靴べら)も愛用している。
ちなみに「耳を掘る」は“掏耳朵”tāo ěrduoと言う。
(朝日出版社刊:『話してみたい 中国語必須フレーズ100』より)