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日中いぶこみ百景

日本観光 穴場は都庁

中国のサイトをみていたら,日本への観光で,東京都庁をすすめていた。浅草やお台場でなく,新宿の都庁とは変わっている。眼をとおしてみた。

 都庁といえば,警備が厳重で,いかめしい所かと思うだろうが,開放されている。都民はもちろん,他県の人も外国人も記帳のうえ入ることができる。これだけでも中国人にとっては意外なことのようだ。

 おすすめは45階の展望台,ここも無料である。六本木にある展望台など,入場料金2,000円とまで紹介している。

 さらに驚いたのは都庁食堂。日本の公務員の食堂はどんなものか,興味津々。

都庁のお役人様の毎日の食事,どれほど豪華かと思えば,意外や意外,ごく当たり前の,淋しそうなランチ。焼き魚,揚げ物,小鉢,味噌汁にご飯。カレーもある。しかし,いずれも量が少ない。日本人はあまりご飯を大食しない。中国人には物足りない。しかも公務員はちゃんとお金を払って食べている。その額400円から700円。(人民元でなら26〜46元)首都東京でこの値段なら安いもの,懐がさびしい旅行者にはありがたい。特に良くもないが,悪くもない。一言で言えば,あっさり,エコノミー。

 ランチの写真も載せている。ごく普通の定食である。日本の首都の公務員はこんなに質素な食事をしているのかというつぶやきが行間から聞こえてくる。

食堂のテーブルもごく普通のそれで豪華さはない。

 最後に日本の公務員の給料まで紹介し,決して高くないと結ぶ。中国では公務員試験の競争率は大変なもの。給料もいいし,安定性は折り紙付き。比べて日本では仕事が大変だし,給料の安さから「割が合わない」と人気がないことまで調べている。

 観光地としての紹介よりは,自国の公務員のありかたへの警鐘を鳴らすものと思われる。確かに,日本に暮らす中国人からは,日本の役所の窓口応対は「とても親切だ」と好評である。

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著者略歴

  1. 相原 茂

    中国語コミュニケーション協会代表
    1948年生まれ。東京教育大学修士課程修了。中国語学,中国語教育専攻。80~82年,北京にて研修。
    明治大学助教授,お茶の水女子大学教授等を経て,現在中国語コミュニケーション協会代表としてTECCの普及に努める。
    NHKラジオ・テレビでも長年中国語講座を担当。編著書に,『はじめての中国語』(講談社現代新書)『雨がホワホワ』『ちくわを食う女』『中国語未知との遭遇』(ともに現代書館)『ときめきの上海』『発音の基礎から学ぶ中国語 新装版』(ともに朝日出版社)『「感謝」と「謝罪」はじめて聞く日中“異文化”の話』(講談社)『講談社中日辞典<第三版>』『講談社日中辞典』(講談社)など。

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