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教えて、先生!英語学習お悩み相談室

Q.151「あなたの発音はどうして伝わらないのか?」

学生時代から発音に苦手意識があり、それに伴ってスピーキングも得意ではありません。たまに職場に外国の方が来て話さなくてはいけないことがあるのですが、それほど難しい内容ではないものの、発音が微妙なのでいまいち伝わっていないなと実感することも多いです。単語レベルで上手く発音するには何かコツはありますか?また、勉強法や練習法を教えてもらえたら助かります。よろしくお願いします。(44歳、M、観光業)


 

発音に苦手意識があったり、カタカナ発音を脱却したいというのは、多くの英語学習者が抱えている悩みだと思います。お仕事で英語を使う機会があると、どうしても克服したくなるお気持ちもとてもよくわかります。発音に関しては個人差があり、文字での指導は難しいので、今回は英語が通じない一般的な原因を取り上げ、それぞれを克服する方法を紹介します。

 

「声の大きさ」と「単語のみで話す」と伝わりにくくなる

英語が通じない原因のうち、最も多いのが「声の大きさ」です。これは通じていないのではなく、聞こえていないと言うのが正しいのですが、英語で話すことや、英語の発音に自信がない学習者ほど、声が小さくなる傾向にあるようです。研究でも、声が小さいことやボソボソと話してしまうことが、相手に通じない最大の原因だとわかっています。したがって、自信がなくても大きな声で発音することが最優先と言えるでしょう。

次によくある原因は、単語のみで話すことです。上級者ともなれば、文レベルあるいはもっと長い文章レベルで伝えたい内容を説明できるので、発音が多少間違っていても聞き手がそれを補う他の情報があるため、内容の伝達にはあまり支障がありません。ためしに、以下の文を見てみましょう。---の部分が発音の間違いだと仮定して、読んでみてください。

The new sto-- will open at the end of Feb----y.

どうでしょうか。---の部分が欠落していても、

The new store will open at the end of February.

だということはある程度想像できたのではないかと思います。ところが、初級者は流暢に話せないため、どうしても単語のみを並べてコミュケーションを取ってしまいがちです。

たとえば、留学を考えている人に対して何かを言おうとしている場面を想像してみてください。そして、co---geという単語を伝えようとしているとします。ところが、聞き手にとって頼りになる情報はcoの部分とgeの部分だけですから、この単語を想像するのは難しくなります。話し手が大学を薦めようとしてcollegeと言おうとしたのか、あるいは勇気を持って留学すべきだとcourageと言おうとしたのかは、これだけでの情報では分かりません。このように、単語だけでコミュニケーションを取ろうとすると、話し手から得られる情報が発音情報に依存してしまうので、その単語を正確に発音することが不可欠になります。それを克服するには、文以上の長さで話すか、あるいは、正確な発音を身につけることが重要になります。

 

音節を捉えて、3つの要素で強弱を表現する

さて、正確な発音とはいっても様々な要素があります。その中でも通じやすさに大きく影響するのが高低、強弱、長短の3つの要素からなるリズムです。英語の単語は音節という単位に分けることができます。この音節は日本語でいう拍に似ています。しかし、構造が少し違うので、日本人には捉えるのがそれほど簡単ではありません。日本語の拍は、しゃ、しゅ、しょのように小さい文字を含めて数える場合をのぞいて、基本的にはひらがなのひと文字を1拍と数えるのが基本です。たとえば、「やわらかい」は5拍ですし、「がくしゅう」は4拍となります。これは文字からある程度予測できるのでそれほど難しくないのですが、英語の音節の場合、softで1音節、learningで2音節というように、簡単に音節を数えることができないかもしれません。

 

手拍子に合わせた発音練習で音節をつかむ!

ここで英語と日本語の音節の構造の違いについて簡単に説明させてください。たとえば、「やわらかい」の音節(拍)の構造を分析すると、/ya//wa//ra//ka//i/といように、子音+母音がセットで1拍、あるいは母音は単独で1拍という構造だということが分かります。「ん」(/n/)はひとつの子音でも1拍扱いなので例外ですが、日本語の拍はほとんど母音で終わります。

ところが、英語はred (/red/)のように子音+母音+子音がセットになって1音節になっていますし、soft(/sɔft/)やplease(/pliz/)のように、複数の子音が繋がってひとつの音節の中に含まれることもよくあります。英語ではよく登場する、この子音で終わる音節の発音も、複数の子音が繋がっている発音も、日本人にとっては簡単ではありません。この2つの発音を克服するには、まず1音節の単語を1拍で発音する練習を繰り返します。たとえば、red, black, white, blue, green, pinkというように色を表す単語を集めてみましたが、これらはすべて1音節の単語です。これを手拍子に合わせて発音します。注意する点は、すべて1拍で発音を終えないといけないので、●●●●●●と6回手をたたくのに合わせて、これらの6単語を発音してみてください。最初はゆっくりでも構いませんが、少しずつスピードを上げていくといいでしょう。それぞれの音節には母音がひとつずつ含まれているので、その母音をしっかり強くハッキリ発音するのがコツです。

少しずつできるようになったら、今度はカタカナになっている単語をいくつか練習するといいでしょう。たとえば、「ボード」「リンク」「タップ」「バッグ」「ライス」などは、すでにカタカナで馴染みのある単語になっているので、ついカタカナ発音になりがちですが、board, link, tap, bag, riceはすべて、1音節の単語ですから、1拍で発音をすることを意識して練習してみてください。これができるようになったら、もう少し難しい単語に挑戦しましょう。たとえば、「ソフト」、「クリック」「プラン」「ストリート」「ストロング」は順に、3拍、4拍、3拍、5拍、5拍というように、日本語では長さが異なる単語ですが、英語のsoft, click, plan, street, strongはすべて1音節の単語です。それぞれの音節の中に複数の子音が繋がった音が含まれているため、1拍で発音するのは難しいかもしれませんが、最初はゆっくりでもいいので、それぞれの単語を1拍で発音するように練習してみましょう。

ここまで1音節の単語の発音の練習を紹介しましたが、これができるようになったら次は複数の音節を含む単語の発音の練習です。英語には、たとえば、studyやinternationalのように、複数の音節でできている単語が数多く存在します。ちなみにstudyは2音節、international は5音節からなる単語です。ひとつの単語の中に複数の音節が存在する場合は、まず、音節に分ける作業が必要です。基本的にはひとつの母音につき1音節だと考えるといいでしょう。慣れていないと、なかなかうまく音節に分けることができません。そこで、辞書などを使用することをおすすめします。日本で出版されている大半の辞書には、音節の分け方が掲載されています。たとえば、beautifulの場合、beau・ti・fulのように音節の区切り目に「・」が挿入されていて、この単語は3音節だと分かります。音節がひとつしかない場合には、たとえばstrongのようにこの「・」の表記がありません。この音節の区切り目が把握できると、拍の数がわかります。たとえば、stud・yは2音節ですから、2拍の手拍子に合わせて発音しますし、in・ter・na・tion・alは5音節ですから5拍の手拍子に合わせて発音します。

 

英語の発音は、強弱、長短、高低が鍵!

しかし、単純にstudyを●●(2拍)あるいはinternationalを●●●●●(5拍)のリズムに合わせて発音すればいいというわけではありません。音節の区切り目がわかったら、次のステップは強勢と弱勢の把握です。複数の音節からなる単語には必ず強く発音する音節(強勢)と弱く発音する音節(弱勢)があります。この強弱の表現の仕方が日本語と英語では異なるので、日本人が話す英語は●●●●●という一定のリズムで話しているように聞こえます。日本語のいわゆるアクセントと言われる強く発音する部分については強さよりも高さでそれを表現します。箸という単語の発音の説明で、よく手を高い位置から少し下に下げる動作とともに「はし」と発音するのが関東の発音で、逆に、低い位置から上に少し上げる動作とともに「はし」と発音するのが関西の発音です。しかし「は」と「し」の長さにはほとんど違いがありません。つまり日本語では●●という一定のリズムを保ちながら、高低の違いを頼りに違いを表現しています。ところが、英語では高低だけでは足りません。英語では、強弱、長短、高低の3つの要素を使って表現するので、たとえば、名詞のim・portですと、●●のように第1音節のimを強く、長く、高く発音し、第2音節のportを弱く、短く、低く発音します。逆に動詞のim・portですと、●●のようにimが弱く、短く、低く発音され、portが強く、長く、高く発音されます。Studyは●●のリズムで、internationalは●●●●●のリズムで発音しないとうまく通じません。この3つの要素によって作り出されるリズムや音楽的要素が通じる発音には欠かせないので、複数の音節からなる単語の強勢と弱勢をしっかりおさえておきましょう。 

最近では辞書やオンラインでも発音そのものを確認することができますが、聞いて確認するだけではうまく音節の区切り目や強勢や弱勢を確認できないことも少なくありません。少なくとも数か月の間は、辞書などを使用して、音節の区切り目と強勢と弱勢を目で見て確認することを強くおすすめします。たとえばblanketという単語ですと、blan・ketと音節の区切れ目の表記もありますし、/blˈæŋkɪt/というような発音の表記があると思います。この小さい縦棒(/ˈ/)が母音の左上についている場合、この母音を含む音節が強勢となります。ついていない音節は弱勢なので弱く、短く、低く発音します。日本人の多くは、強く、長く発音するのがそれほど得意ではないので、大げさに強く長く発音するのが上達のコツです。また、日本人は共通して弱勢の発音が苦手なので、弱勢の音節は大げさに弱く、短く、不明瞭に発音するといいでしょう。

このように英語の単語を通じるように発音するには、リズムと音楽的な要素がとても重要になります。音節をしっかり捉えて、1音節1拍のリズムで発音することからまずはじめて、強勢と弱勢の違いは、強弱、長短、高低の3つの要素を使って表現して、英語らしいリズムとメロディで発音できるように練習してください。最初は辞書を使用しながら時間をかけて学習するのがおススメですが、慣れてくるとご自身で音節の区切り目が捉えられるようになるので、少しずつで構わないので、毎日継続してみてください。

 

 


★編集部より★

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著者略歴

  1. 横本 勝也

    上智大学 言語教育研究センター 准教授
    カリフォルニア州立大学サクラメント校大学院 修了(MA in TESOL)
    ブリストル大学TESOL/Applied Linguistics博士課程修了 (教育学博士)
    専門は、第二言語習得、英語発音教育。
    著書に、『TOEIC TEST鉄板シーン攻略 文法・語彙』(Japan Times)、『究極の英語ディクテーション Vol. 1』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト 730点! 残り日数逆算シリーズ』(共著、アルク)、などがある。

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